あらすじ
SF短編、全作品収録の決定版が登場!
2023年、TVドラマ化を機に、藤子・F・不二雄のSF短編シリーズ全111作品+αを単行本全10巻に再編集し、装いも新たに刊行!
「SF・異色短編」シリーズ6冊(第1~6巻)と「少年SF短編」シリーズ4冊(第7~10巻)に分け、それぞれ概ね発表順に収録します。
第10巻の収録作品は以下の通りです。
<第10巻収録作品(少年SF短編)>
・「創世日記」
・「四畳半SL旅行」
・「かわい子くん」
・「街がいた!!」
・「征地球論」
・「ニューイヤー星調査行」
・「宇宙からのオトシダマ」
・「絶滅の島(雑誌掲載版)」
・「絶滅の島(単行本版)」
・「スーパーさん」
・「ぼくのロボット」
*過去に刊行された、既存の『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』全8巻とは作品の収録順と巻立てが異なります。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『四畳半SL旅行』
藤子・F・不二雄のSF短編で完全に不可解な話って珍しい気がする。SFというよりはファンタジーに近い。
あまり関係ないけど、この「日本風の一部屋で起こっていること」を「四畳半〜」って表すのっていつからある表現なんだろう。四畳半神話体系が初出だと思っていたら全然そんなことはないらしい。
『かわい子くん』
ヒロインがすごく良かった。医学部中退のSF作家の卵の年上女。知的にも人生経験でも実際年齢でも主人公を上回るヒロインがけっこう好き。
その割に完全な天才として描かれているわけでもなく、おちゃめな心理描写も差し込まれていて惹かれた。
ビジュアルがもう少しよければ…
『征地球論』
地球人の行動をシニカルかつ淡々と説明していく宇宙人。こんな形で人間の人間らしい生活を皮肉るような短編はかなり多い気がする。宇宙人のデザインが良い。
『ニューイヤー星調査行』
調査団長とニューイヤー星人の温度差がよい。
聞かれなかったら何も言わなかったり、逆に相手を喜ばせるために平気で嘘を教えたり、異文化との噛み合わなさの描写がなんとなくリアルで良かった。
『宇宙からのオトシダマ』
最後のコマで黒幕みたいに登場するヒロインがなんか面白かった。これ作者としては主人公が報われた形のオチとして扱ってるんだろうか。それともあっさり鞍替えする女の調子の良い感じを皮肉っているんだろうか。
『絶滅の島』
雑誌掲載版がやたらグロかったので、そのせいで単行本で編集が入ったのかと思ったら全然そんなことなかった。ただ雑誌版がわかりにくいだけだった。
『スーパーさん』
これはSFじゃなくてさすがにギャグ。
「ふしぎなこともあるものです。デパートをはじめたとたんに、むすめがデッパとなりました。」
笑った、くだらなすぎる、人をバカにしている
Posted by ブクログ
『絶滅の島』、初出がスターログ誌だからかかなり読み手のリテラシーを要求するネームになってるけど、単行本でかなりわかりやすく再構成してるな。さすが。
Posted by ブクログ
特に印象に残った作品は、『宇宙のオトシダマ』です。
「きみだってだれだって変わっていくんだよ。きみたちの体を形作っている細胞は、すごい勢いで入れかわっている。だいたい七日から十日ですっかり別人になってるみたい。」
この物語には関係ありませんが人間の細胞は常に入れ替わっているので、1年前の自分、もっと言えば1日前の自分でさえ今日の自分とは違うと考えられます。したがって、1日前に起こった嫌な事、1年前のトラウマなどを現在も引きずって、「どうせ私は出来ない」なんて言っている時点でバカらしくなります。そういう、気持ちは無くしたいものです。
後、最近知ったのですが落とし物を拾って届けると、お礼として金額の一割もらえるらしいです。
「ま、いろいろあって、ほんとの大人になっていくのだ。」
失恋、失敗、挫折などを経験して大人になっていくのでしょうか?
私は失恋と挫折を経験したことがないので、将来直面するのだろうと思うと不安です。
これで、SF短編もすべて読み切ってしましました。10冊読んで一番面白かったのはやはり、『ミノタウロスの皿』です。この作品は、超えられない。
Posted by ブクログ
『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス』10巻。これにて全10巻完結です。
「街がいた‼︎」はお話の冒頭から「間違えた‼︎」のダブルミーニングでコメディ系なのかな、と思って読み始めたら、単純にホラーだったのでびっくり。行きすぎた技術の暴走という怖さ。
ラストのセリフで、なんというか教育CMみたいな押し付けがましさが残ってしまった「絶滅の島」。素直に受け取れない自分は、つまらない大人になってしまったものです。そういう一面もある。
「四畳半SL旅行」の主人公のように、何かに没頭しすぎて現実と想像の境を飛び越えてしまいたい、と思う自分もいるのだけどもね。主人公は飛び越えてしまうのだけども、それを「しまいたい」と願望の域にしてしまっているという程度なのだろうな、自分の想像力は。