【感想・ネタバレ】遺体鑑定医 加賀谷千夏の解剖リストのレビュー

あらすじ

京都府警に持ち込まれた傷害致死事件。引きこもりの大学生が、異様な姿で死亡した。伏見署に連行された母親は「娘の身体を突き破って悪魔が出てくる」と興奮気味に話し、供述は要を得ない。夫の事故死をきっかけに彼女がのめり込んでいた新興宗教は、「悪魔祓い」と称して、信者に加虐的な扱いをすることもあったという。遺体の状況から、母親の虐待を疑う京都府警は、検屍と司法解剖を千夏に依頼するが……(「エクソシズム」)。京都市北区の河川敷で、首のない遺体が発見される。被害者は刺青があり、小指も欠損していることから、暴力団関係者とみなされるが、身元はわからない。激しい暴行を加えられた後、首を切断するほどの動機とは一体何なのか? 現場に駆け付けた検視官の都倉は、何かしっくりしないものを感じながらも、何が違和感なのかわからない。司法解剖を担当した千夏の見解を聞くうち、都倉はあることに気づく。(「梟首」)など、4話を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

現役の解剖技官の方だけあって、解剖シーンのリアリティは圧巻。
特に最後の凍ったご遺体のシャーベット状の描写がいい意味でえぐい。
あれは本物を知らないと描けないと思う。
新人の久住君の成長ぶりが作中で見えたのもよかった。
最後の話ではインフルエンザで肝心の解剖シーンで不在だったけれども。

不可思議なご遺体を解剖することによって真相を探っていくミステリ。
各話で中心人物が違うのが目線が変わって面白かった。
但し凄腕の千夏さんからの視点だけは徹底的に排除されているように感じた。
辛い過去持ちの彼女の内心はまだ見えてこない。
今後分かってくる展開もあるのだろうか。

変わったご遺体を扱うだけあって、事件の真相は「そんなんありか」と思うネタも。
特に「梟首」の種明かしは凄まじかった。
本気で「そんなんありか」と思ってしまった。
そんな真相すら見抜いてしまう千夏さんの凄さよ。

事件としてだけではなく、全体的な話の雰囲気として印象的だったのは赤いマニキュア(ペディキュア)を塗られた足の話。
話が二転三転して、色々考えさせられる話だった。

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2024年11月27日

Posted by ブクログ

現役の解剖技官の方が書いたお話。
ミステリー作家さんではないので、トリックはなし。事件を解決することより、解剖をして、遺体に何が起きたのかを書いた作品だと感じた。通常の殺人事件などを扱った作品では、描かれない視点から描かれているのが面白かった。
また、この作品は短編集で、話によって視点となる主人公が変わっていくのも面白かった。

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2023年12月13日

Posted by ブクログ

 小松亜由美さん2冊目。『イシュタムの手 法医学教授・上杉永久子』よりも本作の方が早い刊行だったんですね。こちらも法医学・遺体鑑定に係る医療ミステリーで、法医学(解剖)のリアルを描く原点なのかと感じました。

 主人公は法医学解剖医・加賀谷千夏。寡黙だけれども腕はピカイチ。彼女の握るメスが、死者にまつわる謎を解き明かしていく展開です。解剖場面の描写がリアルで濃く、事件や死者の背景が薄い印象もありました。

 エピローグあってプロローグなし? 代わって冒頭に秋田の地方紙の事件記事が…。この意味するところは最終話まで不明(ほぼ見当が付いてましたが)。
 4篇それぞれで視点人物が変わり、優秀だけれども陰のある加賀谷千夏の、人物像としての輪郭が徐々に浮き彫りになっていく構成の工夫が読み手を惹きつけます。

 千夏の司法解剖に向き合う姿勢からは、声無き声を掬い上げ対話する、死者への敬意と行為の矜持が感じられます。また、新米解剖技官の成長譚を盛り込むのも、次作以降に引き継がれているようです。

 作者自身も現役解剖技官であり、鋭い観察眼と解剖技能への向上心が、魅力的な2人(優秀な千夏・新米の久住)を創り上げたのでしょう。隣り合わせの死と生が浮き上がる描かれ方に好感がもてました。

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2025年08月21日

Posted by ブクログ

会話が関西弁(京都弁?)多めなので何となくの雰囲気でざっと読む感じになってしまう。解剖シーンも生々しいので、全体的にざっとしか読めなかった。千夏の過去は気になるけど次作は保留かな…。

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2025年02月07日

Posted by ブクログ

憶測だけではなく、遺体を通して事実を確認していく仕事のすごさを感じました。

淡々としている印象の裏には、背負っている何かがあるのかもしれないなと思いました。

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2024年12月25日

Posted by ブクログ

現役の解剖技官の方が著者だけあって、解剖の様子がとてもリアル。医療業界で働いてる人間としては法医学も興味があったのでこんな感じなのかと想像しやすかったです。話は短編4作品で淡々と進んでいく感じ。

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

小松亜由美『遺体鑑定医 加賀谷千夏の解剖リスト』角川文庫。

医学部法医学教室で現役の解剖技官を務める著者による法医学ミステリー。4つの短編とプロローグを収録。

無味乾燥。まるでノンフィクションのようなドラマ無き法医学ミステリーという感じだ。いずれの短編も面白いテーマであるのにミステリーの要素が希薄で、主人公を中心としたストーリーに山谷が無いことが残念でならない。

『エクソシズム』。全くミステリーは感じられず、まるでノンフィクションのような短編である。主人公は遺体鑑定医としても普通の仕事をしただけに過ぎないように感じた。交通事故死を切っ掛けに娘に悪魔が取り付いたと悪魔祓いを主体とする怪しげな新興宗教に嵌まった母親による娘の傷害致死事件。遺体鑑定医の加賀谷千夏は娘の遺体を解剖し、真実を暴く。★★★

『梟首』。遺体となった暴力団関係者の背景には余り触れられず、死亡原因が明らかになり、めでたしという感じで、ドラマの無い無味乾燥の短編。河川敷で首の無い遺体が発見される。遺体には刺青があり、小指も欠損していることから、暴力団関係者と見られた。暴力団が見せしめのために殺害したのではと刑事は先入観を持ちながら、司法解剖に立ち会うが、加賀谷千夏が再び真実を暴く。★★

『紅い墓標』。加賀谷千夏が極めて司法解剖により掴んだ事実にのみ目を向け、刑事たちの先入観を一蹴する。それはそれで良いのだが、余りにもドラマが希薄だ。美術大の裏山から発見された切断された両足。足の爪にはペディキュアが施され、女性の足ではないかと思われた。また、バンパー痕があることから、交通事故の疑いもあった。司法解剖と刑事たちの捜査から浮き彫りになる事件の真相。★★★

『腐爛と凍結』。やはり加賀谷千夏は司法解剖にだけ徹するのみ。余り物言わぬ主人公にその人物像が見えて来ない。精肉店の夫婦が遺体となって発見される。夫の遺体は腐爛していたのに対し、妻の遺体は凍結していた。★★

『エピローグ』。冒頭の花火師夫婦殺害事件の新聞記事に触れたものの、余り進展は無い。殺害された花火師夫婦とは主人公の加賀谷千夏の両親だった。

本体価格720円
★★★

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2023年03月13日

Posted by ブクログ

法医学に携わってる作者さんなので、遺体の解剖シーンがリアル。
ミステリというよりかは異状死体がどうしてでてきたのかを暴く話で、内容は難しいけどどういうふうに検死をするのかの参考になるのかも。

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2023年03月01日

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