【感想・ネタバレ】世界と日本がつながる 感染症の文明史 人類は何を学んだのかのレビュー

あらすじ

私たち人類は「理性」をフル活用して、「国家」を作り出し、そして宇宙と生命の神秘を解き明かそうとしています。
その一方で、いくら超越的な存在になったとしても、生物としての基本的な行動パターンは変わっていません。
そのため、地球に誕生してから今日まで、細菌やウイルスが引き起こす感染症にたびたび冒されてきたのです。

古代・アテネの疫病に始まり、東ローマ帝国を襲った「ユスティニアヌスの疫病」、同時期に中国で起こった「晋の疫病」、奈良・平安期の日本で広まった疫病。
そして、ハンセン病、黒死病(ペスト)、天然痘、結核、コレラ、インフルエンザ――。
こうした感染症のパンデミックに対して、人類はいつも理性を持って戦い、封じ込めようとしながらも挫折を繰り返し、そして共生・共存してきました。

新型コロナウイルスが流行しはじめてから3年、私たちはようやく日常の生活を取り戻しています。
そんないまだからこそ、過去の人類の歴史を振り返ってみることが私たちには必要です。
さまざまな振興のウイルスに冒される21世紀は「感染症の時代」と言われています。
本書で得た学びは、次なるウイルスの脅威が世界を襲ったとき、必ず我々日本人の指針になるはずです。

古今東西の世界史と日本史を知り尽くした著者だから描けた、誰も読んだことのないまったく新しい「感染症の文明史」。
渾身の大作が満を持して登場!

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ネタバレ

人の心は繰り返す

・あまりに災厄が酷くなると、人は神聖や清浄さ、更には葬儀などの宗教的な感情を顧みなくなる。
神々なんかいないじゃないか、と人々は自暴自棄に陥り、信仰は廃れていく。
・集団免疫:多くの人が罹患した結果、殆どの人が免疫を持つこと。
・内省的な思考(仏教など)は、人々が豊かになり、社会がどんどん発展している時には、なかなかメジャー化しない。
逆に全てが崩壊して行く時には、「自分たちが求めたものに意味があるのだろうか。
もっと大事なものがあるのではないのか」と、人々がその教えに耳を傾ける傾向がある。
・感染症の爆発は、細菌やウイルスが伝染することに加え、免疫機能の低下によって起こる。
慢性的な飢えで栄養不良となって、体温が下がり免疫力が落ちれば、病原体の増殖に勝てず一気にやられてしまう。
彗星や噴火の影響で地球規模で寒冷化が起これば、感染症が爆発的に拡大するエピデミックが起こる恐れがある。
・明治のころの日本は、内務省に一元化した衛生行政、下水を石炭酸消毒、
患者が出た家に対しては往来を最小限に留め、患者が回復あるいは死亡した後に消毒し、
その後10日を過ぎるまで登校や出勤を禁止させた。
また大規模な検疫所に船舶を沖止めし、所持品の蒸気消毒ないし焼却(この場合は弁償した)、
患者の隔離、死者はその場で火葬、患者が一人でもいれば同乗者は5日間隔離させ、
患者が完全にいなくなって初めて上陸させ、入浴させ、経過観察としたのだ。
防疫は国家の安全保障にかかわる問題である。防疫は国防の一部なのだ。
従って警察業務と厚生省業務がセットになって、ある程度の強制権を持たないと防疫はできない。
日本が(中国武漢省発の)コロナ禍において、後手後手に回ったのは、
GHQによる内務省の解体(ひとまとめだった建設省、運輸省、厚生省、警察庁、入国管理庁がバラバラにされた)と
省庁の縦割りによる日本弱体化政策の後遺症である。
・人類はいかにして細菌やウイルスと戦い、また共存していったか。
その歴史を振り返り、心に刻んでおくことは、次なるウイルスの脅威が世界を襲った時、必ず指針となるだろう。

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2023年04月08日

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