あらすじ
涙氷の降るその山脈で雪蟷螂の女が起つ。この婚礼に永遠の祝福を。長きにわたって氷血戦争を続けていたフェルビエ族とミルデ族。その戦に終止符を打つため、ひとつの約束がなされた。それは、想い人を喰らう“雪蟷螂”とも言われるフェルビエ族の女族長アルテシアと、永遠生を信仰する敵族ミルデ族長オウガの政略結婚だった。
しかし、その約束の儀は、世代を超えた様々な思惑が交錯することによって阻まれる。果たして、極寒の地に舞う恋の行方は……。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ロージアとガルヤの話は、圧倒的なインパクトで衝撃
的だった。
ロマンスとは真逆の状況下で二人の間に生まれたあの
深い想いは「愛」という言葉さえ軽く感じてしまう。
二人きりで会ったのは2回だけだし、時間が長いわけ
でも会話が多いわけでもない…
なのに、分厚い手袋の描写と、ガルヤがロージアに囁
いた最後の言葉「俺の永遠を…」で一気に感情が持っ
ていかれてしまった。
ロージアに感情移入した分、オウガの悲しみ、苦しみ、
憎しみもひしひしと感じた。
やるせない。
個人的には、メインになると思い込んでいたアルテシア
とトーチカの話をもっと聞きたかった。
あっでも、書き下ろしで夜の王に会えて嬉しかった。
最後に、また夜の王に戻ってきた!という感じ。
Posted by ブクログ
正直最初は、他の人喰いたちの物語に比べてどううかなぁ……とか思っていた
思っていたけれど、雪蟷螂というこの物語も本当に最高であった
タイトルに雪がつくように、雪の時期が長い地方は寒々しく凍える印象がある一方、苛烈で情熱的な女たちに心が熱くなる
雪蟷螂であると自らを言う女たちの誇りが本当に素敵で、敵である男にも愛を持って鎌を向くのがとても印象的だ
部族は長年だ戦いに明け暮れており、終止符を打つための婚礼を
婚礼に至った花嫁と花婿は…めちゃくちゃ殺伐で刃物も出てきてどうなっちゃうの!?と
ただのハッピーエンドじゃないのがとても良かったなぁ
今作の主人公であるアルテシアと、その身代わりとして育てられたルイ
私としてはこの2人の関係性から目を離せなかった!
主従だけでない関係性
とても似ている2人は全く似ていなくて、情熱的に愛する存在も違っていて
あぁそっか、結末は彼女が…って
雪蟷螂の冥利に尽きるであろうと想像する
過去の邂逅部分で教えてくれる、もう1人の愛の物語
彼女の気持ちを考えると複雑な思いはあるけれど、あぁ、蟷螂の宿命ってなんて、なんて残酷で愛すべきものなんだろう!って
命をかけて白の世界で苛烈に愛する姿が愛おしい
蟷螂は愛する雄を喰らい尽くす
Posted by ブクログ
人喰い三部作の第三部、私は紅玉いづきさんの言葉の魔法にかかっているのではなかろうか...そう思うくらいにドンピシャではまってしまう。毎回読む度に「これがいちばん!」と思う....
地獄のような、楽園のような、生涯をかけた恋、というのが宣伝文句で、
あなたを、喰べてしまいたいほどに、愛している。
というのが裏表紙に書かれている本文。
この「喰べてしまいたいほどに」のフランク感と「愛している」の丁寧な音並びが最高に良い。
え、だって「ほどに」と「愛している」だよ?
これね、試しに逆転させてみたのだけれど、「喰べてしまいたいくらいに」と「愛してる」じゃ駄目なんだよ...やっぱりいづきさんは魔法使いだ...
Posted by ブクログ
とにかく白が美しい!
美しくて厳しい自然と女性が印象に残った。
雪蟷螂の題名回収が美しくて…最初から結末は何となく分かっていたけど想像の何倍も美しい言葉に飾られてた
Posted by ブクログ
ああ、、つな、がってたんだ、、、ね
フクロウの過去のことがすこしすこしわかってよかった。ちょうど馬車で「ルイ」がトーチカとフェルビエから遠ざかっていく時、ミミズクとフクロウはどんな絵を描いているのかな。ディアとエルザは街にでも出てるのかな。トトとホーイチはどんな会話してるのかな。
全部全部気になる。
この話は他の巻よりも主人公とかに拘ってなくて題名の通り「雪蟷螂」として生きる、生きた、生きてきた女性の話だった。
それぞれにきちんとすっきりとした終わり方があって、それぞれが幸せになれるスタート地点に立てて、これから幸せになってほしくて(叔母さんについてはなんとも言えんが)尚且つ全部繋がっているのが凄い。
ミミズクの話フクロウの話
デュークの話オリエッタの話
ディアの話エルザの話
トトの話ホーイチの話
ゼクンの話ティーランの話
ミレイニアの話ダミアンの話
アルテシアの話トーチカの話
ルイの話オウガの話
ロージアの話ガルヤの話
魔女の話
この綺麗で魅力に満ちた物語たちの続きをまた覗きみれたらいいな。
Posted by ブクログ
こんなにも世界観が確立されて、ライトな読み心地なファンタジーは実はあまりないのでは?ファンタジーのエントリーモデルとしては最適な気がする。とにかく先が気になりぐいぐい読んでしまうし、ライトノベルではあるけれど、しっかりとした骨格がある点も評価されているポイントだと思った。
面白い…
Posted by ブクログ
もとの雪蟷螂も大好きだったのて即座に購入(サイン本は手に入れられなかった…)。
改めて読むからこそわかる良さもすごくあった。以前とは違うところで泣きそうに何回かなった。
前回は挿し絵がまたよかったから、今回ないんだなぁと思っていたけど、あとがきでそのことにも触れていてなるほどなぁと思った。
また最後で「あっ」という気づきがあり、ほか今年でた完全版を読んでいる人はこれも読んでほしい。
限定のSSもこのあと読むぞー!
Posted by ブクログ
過酷な環境で独自の思想をもち、戦い続けてきた民族同士の婚姻譚。
『この婚礼に祝福を』その言葉通りに進むほど、お互いの溝は浅くなかった。
愛情のあり方とは多様であると、登場人物に教えてもらえる。
それが成されるかは、是非読んでいただきたい。