あらすじ
「自分には生きている価値がない」「ブサイクだから異性にモテない」。
極端な言葉で、自分を傷つける人が増えている。
「自分が嫌い」をこじらせてしまった人たちの、自傷行為のように見える言動。
その深層心理にひきこもり専門医である精神科医が迫る。
誰にでも何歳からでも起こり、一度おちいると出られない、徹底的な自己否定。
「ダメな自分」の思い込みを見つめ直し、健全な自己愛を取り戻す方法を探る。
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Posted by ブクログ
深掘りTVで少しお話を聞いて面白かったので早速拝読。
大事だと思われるところ
問題に気付き、相対化する
そのためには筆者の主張である、
すべての母は毒母であり、すべての母娘関係は支配関係である
ということが、問題の存在そのものを気づくための促しとなる。
母親の権威を相対化すること、
母親からできることは、母となる前の自分、自分が自分であった時の話をすること(娘がそれを聞いてみること)
めちゃくちゃ大事なこと。
孝を最高原理とする儒教倫理的な抑圧が、親による虐待、体罰、ネグレクトといった行為を隠蔽してきたという事実。
自分の価値観はもちろんだが社会の価値観のアップデート、変化、古い道徳観念からのの解放。(日本の公教育では逆行してるのではないか。子どもの教育はリベラルな校風教育目線をもつ私立でなければ、、ここで格差との絡みも出てしまうのではと、読んでいて感じた)
186ページ、坂口恭平氏がご友人だとか。坂口氏は双極性障害に罹患しているが、うつの時に大量の文章を書かれるそうだ。また書くことは自己治療となるそうだ。
ヤマギシ会について。カルトと規定。確かに激烈なカルト、財産没収だけでも当然カルト認定。
自己肯定感を高めたいという欲求。悪あがきと言っても良いか?それと優生思想との関係。自己肯定感がえられず、自傷的自己愛に陥ると自分が無価値だから死にたいという考えにいたる、それは、著者によると優生思想の萌芽といえ流。優生思想とほぼ同一。なぜなら良い悪いなど、生についての価値判断は不可能だから、だそうだ。生はあらゆる価値の上位概念だから価値判断の埒外とのこと。日本社会では、生に対しそのように崇高には捉えられていない、残念ながら。
生の平等性は担保されておらず。明らかに憲法違反だけど、自民党や、一部のお間抜け野党政党は、生の分別を平然とやらかしてるしな、、などとぶつぶつ言いたくなる。
198ページに坂口恭平氏再登場。
スリランカ上座仏教スマナサーラ氏の無常を知る人、つまり我執を捨てた人
我執のない人の特徴が坂口氏に合致。
本当に自傷的自己愛に陥り苦しんでいる当事者であれば著者がおすすめしている坂口恭平氏の著書やスマナサーラ氏の著書の方が本書より読みやすいかもしれないと思ったし、すごい人とは感じていたが改めて坂口恭平氏の稀有な存在に脱帽
自分が世界の中心という認識(そうおもうこともできる、、というふうに理解したが。そう思えるような子ども時代が大切ということか)そして自分は世界の一部に過ぎないという認識。これが社会性、相手への共感やコミュニケーションの必要性につながる。
著書がいう自己愛とは、自分大好きの言い換えではなく、自分自身でありたい欲望。
ここには、事象的自己意識に陥りがちな承認への欲求や不満とは関係なく、自分そのものがある。
自分が好き自分が嫌い自分が判らない、が全て、自分自身でありたいという欲望の中に含まれているという。これは、発見。
著書は、この強い欲望はしばしば好奇心の形をとるという。これは本当にわかる、納得。
健全な自己愛を育むための方法。さまざまな提案。具体的でわかりやすい、無理なくできるところから提案されているところもよい。個人の尊厳を守る、自分の尊厳は自分で守る。そのための環境調整、必要ならされたこと、経験したことを記録する、我慢しない!
日本的な耐えて我慢して成長するみたいな気持ち悪い言い分は間違い、そこに自分を置かない我慢しない。大事だな。
対人関係の拡張少なくても今ある関係を失わないこと!!利他的になりがちならあえて損得勘定で自分を利するような考えをすること。問題発生時には健全な被害者意識を持つこと、自分のせいにしない。
少しでも好きなことをする。身体をケアし運動したり体調や見た目を整える。
オープンダイアログ。対話というアプローチ。医療の現場で有効。
家庭や学校職場でも有効。対等な対話忖度なし。
リフレクティングという手法による本人への緩いアドバイス効果。
最後の方は大変実用的に、自傷的自己愛に悩む人へのストレートな呼び方になっていて、さまざまな、社会や家庭で人と関わる=つまり誰でも誰もがこの本に目を通したら良いと思う。
今の世の中、自分だったら、、という想像力が自然と欠如してしまいその裏返しとして、強い承認欲求やそれが得られないことからくる自己否定、自己肯定感の低下などになっているのかな。他者にも自分にもなんらかの共感やなんらかの違和感を正常に当たり前に持つことが入り口でもあり出口でも入り、平静であろうと思った。
坂口恭平氏の作品しっかり読もうと思った