あらすじ
ケイとメイおばさんは、普通の人には見えない不思議な存在=「アヤカシ」が見えてしまうという秘密を共有しています。象牙の鍵盤を持つピアノを弾くよう促す、牙のない象…女主人の窮地を救うため生きた鳥となって姿を現す鳩時計の鳩…どれもが、読んだあとだれかに語って聞かせたくなるような魅力的なお話です。メイおばさんの小学生時代の秘密に分け入っていく息づまる後半、じんわり胸に落ちるラスト。物語の醍醐味をどうぞ!
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Posted by ブクログ
個人的にはとても好きな作品。
小学三年生の啓がメインかと思いきや、メイおばさんの方が実はメインだったという。
伏線をきれいに拾ってもらったなぁという感じ。
ただ、この、なんというか。
ちょっと大人な雰囲気というか。少し俯瞰してみている雰囲気というか。そういうのは、小学生にはまだよくはわからないかもしれないなと思いました。主人公も今、改めて見直したら小学校3年生。5年生ぐらいの雰囲気ですからねぇ。でも、このぐらい素直じゃないと「アヤカシさん」は見えないのかもしれないですね。
Posted by ブクログ
小学4年生のケイと、ケイと10歳しか変わらないメイおばさんを中心に描かれたお話。
二人は他の人とは違う、特殊な能力を持っており、それは物に宿っている精霊、いわばアヤカシを見ることのできる性質を持っている。
ケイはとてものんびり屋な正確で、興味を持ったものや疑問に思ったことをそのまま口にしたり行動に移したり、子どもらしい少年。
メイおばさんは、自分自身がアヤカシを見ることができるゆえの苦労から、今ではアヤカシが見えようが話しかけられようが無視を徹底している。しかし、甥のケイはどんなにメイが厳しく怒っても好奇心に負けてアヤカシと関わってしまう。
その様子が頻繁に描かれており、自分勝手さが目について正直この人とは関わりたくないタイプだなと思ってしまう。
私自身、メイおばさんと同年代に当たるので、視点がケイよりではないというところから来る感情なのかもしれない。
けれど、ケイくらいの年齢の子から見たら、20歳くらいのお姉さんを見ると、ガミガミうるさくて、ちょっと自分勝手でいて、でもどこかかっこよく見えるのかもしれない。(私は全くかっこよくは映らないが)
でも、このガミガミうるさいメイおばさんも後半は少し、しおらしくなる。
ずっと心につかえていた、しこりがやっと溶けてきたようだ。だから、今までのアヤカシに対しての接し方が完全無視という方法であり、文章だけの本でありながらも、耳を塞ぎたくなるほどのケイに対しての説教は、この、自身のアヤカシ関連の相当な嫌な出来事があってのことだったのだと言うことがわかる。
また、人やものは繋がりを求めていて、どこか知らぬ間にも繋がりがあるのだと。
時間や季節、過去から今、そして未来、色んな物同士にも、繋がりがあるのだと。
未熟な私にはわかるような、わからないような。
考え方が根本的に違うというのもあるのかもしれない。だけど、このような考え方もあるのだ、ということだけは覚えておこうと思う。