あらすじ
住む人を失い、取り壊されるのを待つばかりとなった祖父が暮らした家。祖父の一周忌でその家を訪れた莉子は、庭の蓮池が見える広縁で、老婦人からふしぎな話を聞く。「あのつぼみの中には何が入っているか、ご存じ?」そして、蓮の花が開くとき、時間を越え、少女はいつかの夏へと旅をする。それは、かつてこの家で暮らした人々の想いをたどる旅でもあった。タイムファンタジーのオールタイムベストが、ここに誕生しました。
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何より先ず、ハードカバーが素敵です✨✨✨ほんまに田舎の夏の朝の情景をありありと目の前に思い出させてくれる、ノスタルジックな描写に心が洗われました。じぶん、田舎 ないんですけどね(笑)手もとに置いて何度も読み返したい作品です
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主人公と一緒に時間を旅しているような感覚になった。
読後は優しい気持ちになって今をより大切に生きようと思えた。
当たり前にある身の回りの環境も長い年月の中で少しずつ変わっていて、たくさんの人達の物語を紡いできているのだと思った。
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再読。蓮の花が咲くこの時期に読みたくなる本。文章から感じとられる景色がたまらなく清々しい。莉子とおじいちゃんはもちろん、おばさんとの関係も愛おしく、何度読んでも暖かな読後感が残る。
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今年の課題図書ですが、まずこの装丁に一目惚れ。こんなに綺麗な装丁初めて見ました。
紅色の花をつけた一面の蓮の花の上に、半透明の白のカバーがちょうど朝もやのようで、溜め息が出るほどの美しさ。まさに作中に出てくる夏の朝の光景を見ているよう。
カバーをめくってみるとわかりますが、実際に描かれている蓮の花ははっと息を飲むぐらい色鮮やかなんです。もう、この装丁を見ただけで買って手元に置いておこう!と思いました。
本田さんの心が洗われるような綺麗な文章にぴったりのイラスト。挿絵があるのも嬉しかったです。
ストーリーもすごく良かった。小さい頃ときどき遊びに行った母の実家の匂いみたいなものをなつかしく思い出しました。
蓮の花のエピソードが素敵。
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2015.5.21
2015読書感想文課題図書。
中学2年の女の子が、祖父の家で不思議な体験をする。
「あのふっくりしたつぼみの中には何が入っているか、あなた、ご存じ?」
蓮の花が開くとき、祖父や母たちのいた時代にいきつく。ちょっとしたタイムスリップものかと思ったけれど、忘れていた自分の体験を思い出すことができた。
近しい人の死は悲しいだけではなく、大切なことを思い出させてくれるきっかけにもなるということなのかなと思いました。
著者の『未完成ライラック』が好きだったこともあり、懐かしさも感じることができた一冊でした。
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子供の頃、夏休みに祖母の家に泊まった時の光景が蘇ってくるようで懐かしい気持ちになったし祖母に会いたくなった。
蓮のつぼみが開花すると共に人の想いを放つ、その想いを受け取った主人公と家族の関わりに心があたたかくなった。
蓮の実ご飯食べてみたいしおばあちゃんに会いたいな、おじいちゃんにも会ってみたかったな
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夏のノスタルジーを感じる作品を探していて出会った本。美しい装丁にも惹かれた。
亡くなった祖父の家の庭で夏の朝に蓮の花が咲く時、莉子は祖父の過去へと誘われる。蓮の花のつぼみは『想い』をためていて花開く時に解き放たれるという祖父と家族と蓮の花の物語。
中の挿絵も美しく、夏らしいノスタルジックで素敵な物語で最後まで読むとまた最初から読み直したくなった。そして蓮の花の咲く瞬間を見たくなる。
『トムは真夜中の庭で』『黄色い夏の日』が好きな人にはおすすめしたい。
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大きな緑の葉の先に、紅色の蓮の花。表紙の絵がとてもやさしい。夏の朝、広縁から見える蓮池。蓮の花は4日間咲き、開花時間は午前の数時間。開くとき、ぽんという音がするらしい(?)
ふわっと包み込まれるような幻想的な情景が浮かびそう。ぜひ見たくなった。
莉子が、亡くなった祖父の家へ泊まり、夢の中で過去へ遡るファンタジー。小さな謎がタイムスリップするうちに、解き明かされていく。
未来からやってくるという設定が面白かった。過去という形跡があり今が存在している。そんな想いを馳せる時間があってもいいと思った。セピア色の古い家族写真を見ているような懐かしい気分になり、読んでいるうち祖父母の顔が浮かんだ。
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蓮が咲くころに想い出しては読みたくなる物語です。
装画は美しい蓮の花が描かれ、半透明のカバー越しに蓮がぼんやりと透けるようにみえる。それは蓮にまつわる不思議な物語にいざなう扉のよう。
莉子がおばあちゃんの家で時を遡る5日間の物語。
そこで出会うのは祖父。
祖父にとっては少年期、青年期、壮年期、老年期、そして最期を迎える時と人生全般で5回出会った少女。その少女は孫だったのだと気づく祖父のもうひとつの物語がまたおもしろい。
莉子の過去への旅は偶然ではなく必然だったのだろうか?
祖父亡き後、壊されようとしている家や蓮の池は『あるべき場所にあるはずのもの』が消えようとしている。
祖父から莉子へと手渡された想いを受け止めることで、物が消えても家族の「想い」や「物語」は消えないことを莉子は知る。
母親を亡くした莉子は、母の存在が消えてしまう淋しさを抱えていた。
過去への旅は、母の写真がなくなっても母の想い、母の物語はなくならない。その確認の旅だったのかもしれない。
「蓮のつぼみの中には『想い』が詰まっている。言葉になることができなくて、空をさまよっていた誰かの想い。露と一緒に蓮の中に沁み込んで根や茎を巡り、最後は蕾に溜まって、開花とともに再び空へ放たれるのです。受け取ってくれる人が現れるまで、同じことが何度も繰り返されます。」
蓮の花を観る度に思い描くフレーズになりました。
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先ずは本の装丁が好き。
そしてタイトルも良い。
ファンタジーだけど、有り得そうな設定。
この家を壊さないでと願ってしまったが、古くて手入れが出来ない古い家は日本のどこにでもあるんだろうな、と。
しかし物語と言えど、この家の蓮の時期に見てみたいと思った人も多いはず。
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主人公の少女の素直な心と、少女を取り巻く(平凡ではあるけれど)優しい大人たち、そして美しい挿絵。そして舞台は夏の朝。
とても爽やかに心を洗ってくれるような物語でした。
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梅雨明けの少し前から真夏へと向かう季節に咲く蓮の花。
四日の命といわれるその花は、早朝に蕾をほどき始め、陽が高くなる前には再び花を閉じてしまい、四日を過ぎれば散りじたくを始めてしまう。
あまりにも儚い命。
けれどその潔い生き様に、見る者は毎夏のように魅せられている。
次の夏も、また次の夏も。
毎夏変わらぬ色鮮やかな紅色の花びらと甘い香りは、遠い夏の記憶を呼び起こす。
今は亡き祖父の庭で、蓮の蕾の中に隠されている"想い"を受け取った中学2年生の莉子。
それは自分のルーツを遡る時空を超えた旅だった。
亡き母や祖父母との再会は少女を"大人"へと導いていく。
莉子はこの夏の貴い記憶をいつまでも忘れないだろう。
言葉数は少ないけれど、じわりと伝わってくる祖父の優しさが胸に染み入る。
声には出さないけれど、いつでも莉子を想い見守っている。
莉子に向けられた祖父の温かな眼差しに、私も今は亡き祖父の温もりを思い出した。
挿絵の美しさにもため息がもれる。
中学校の課題図書という本作、多くの中学生に届くといいな。
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装丁がすばらしい。美しい。
祖父が亡くなり取り壊されることになった家。
法事のあとその家に残り、家を片付ける叔母・佳乃を手伝うことにした莉子。
「あのつぼみの中には何が入っているか、ご存じ?」
祖父の家で蓮の花を見ながら、そう話す老女。
蓮の花が咲くときのポンという音を聴いてみたいと、早起きして庭の蓮を見に行くと…。
亡くなった母の少女時代。
祖父の少年時代。
時代を越えて繋がる優しい思い。
忘れないで。思い出して。
莉子の家族は、お父さんと弟の陸とお父さんの再婚相手の麻美(あさみ)ママ。
仲の良い家族で、何の問題もない。
でも莉子は思ってしまった。お母さんの場所が無くなっちゃう。
誰にも言えなかったその思いを、おじいちゃんだけはわかってくれていたような気がする。
誰にも言わなかった莉子の気持ちと、それでも母を思ってしまう莉子の気持ち。
どちらもおじいちゃんはきっとわかってくれていた。
おじいちゃんはいなくなり、家も取り壊されてしまうけど、莉子の手には確かな家族のつながりが。
今年の中学生の部課題図書。
少し書き足りない部分もあるけれど、人の想いが紡がれる優しく穏やかな物語。
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蓮が花開くときは、ポンッという音ともにしまいこまれた「想い」が空に解き放たれる。
そんな話を聞いた莉子は、おじいちゃんの一周忌の後、祖父宅に留まり、早朝の蓮池に向かう。
蓮が花開く瞬間、
莉子は過去へとタイムスリップしたのだった。
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2015年読書感想文中学生向け課題図書。中学生はこのお話を読んで、どんな感想を持つのだろうかと楽しみです。香り立つ蓮の花の咲き誇っている様子が文章と挿絵とから色鮮やかに思い描かれ、健気な少女の幻想的なお話の世界に滑らかに引き込こまれていきます。
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課題図書だったので読んでみた本!こういう雰囲気の本だいすきなのでとても楽しく読めたー!
過去に戻る、っていうのがすごいおもしろいし、蓮の花や周りの植物とか自然の描写がとっても綺麗で美しかったです…挿絵の水彩画も素敵だった!
最後に、ここでこの伏線が生きる!っていう場面があって全てつながった瞬間がとてもよかった!過去のこれがあったからこそ今があって、今こうなっているのにはこの過去が不可欠だったんだと思うと感動しました。
Posted by ブクログ
すごいよかった
おじいちゃんが亡くなって家も庭もなくなっちゃう
遺品整理におばさんと家に泊まる
蓮の花が開く朝タイムスリップする
懐かしい家の様子とか
変わっていく家とか(長く住んでるとあるある)
昔ながらのあったかい家族仲良し四姉妹とか
さかのぼる因果とか
ノスタルジーでおじいちゃんステキで
なんだかとってもよかった
はすごはんたべたい
はすみたい
と思った
いいはなし
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原田知世が主役(デビュー作かな)をやっていた映画をみているような、そんな雰囲気。それをもっと柔らかい陽の光で包み込んだって感じ。挿絵もよくて、雲の上に載っているような感じで読んでしまった。
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もやの中から蓮を見ているような素敵な装丁に惹かれて読み始め。
亡くなったおじいちゃんの家の整理で泊まっていた主人公の莉子が、毎晩おじいちゃんの過去の夢を見ていく話。
日を重ねるごとに夢の時代は過去に遡って行って、この家の人と蓮の思い出を知っていく。
不思議な展開が表紙と相まって、穏やかに進んでいくのが読んでいて心地よかった。
蓮の実ごはんの炊ける匂いも、味も気になる。
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蓮の花の開花とともに過去へタイムスリップする、というユニークな設定ですが、穏やかで品のある文章のため、最後までスムーズに読み進めることができました。全体を通して温かく、優しさにあふれた物語です。
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子供の夏休みの課題図書として購入した本ですが、大人が読んでも面白い話だと思います。ただお話としては良くあるパターンのタイムトラベルものです。SFではなく文学として書かれているところがポイントですが、それでもどこかで読んだ感があるストーリー展開です。
ちょっと面白いなと思ったのは、主人公が時間を行ったり来たりする中で、「今」でない時代、昔に行って体験したことを「今」の時代の人に話をする部分です。しかもその人はその昔にも若い人物として登場しているのです。
その人はどう反応するのかと思って読み進めると、意外とすんなり受け止めて主人公の相談にのったり、話を聞くのを楽しんだりしているというのが妙に新鮮な感じでした。
後は子供がこの話をどう理解して読書感想文を仕上げるのかが心配です。
Posted by ブクログ
現在、長男が中二で 課題図書になっていたので 読んでみました。
過去を さかのぼっていく 主人公。もし、自分だったら 怖がらずに 過去を 冷静に 受け入れることが できるかな?
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地味なタイトルに、児童書とは思えないミセス向きの表紙。全くどんな話か知らずに読んだが、意外に面白くあっという間に読み終わった。
読んですぐは、結構いいと思ったのだが、時間が経つとそれほどでもない気がする。
主人公の少女は短い間に母と祖父を亡くし、母の死後たった一年で父が再婚するという衝撃を立て続けに受けている割には、精神的ダメージもほとんどない。祖父の住んでいた思い出の家がなくなってしまうことについてもすんなり受け入れる。
物語自体はうまくできているけど、ディテールの書き込みが足りないというか、作り込めていない。
離れのおばさまのエピソードなんかもう少し詳しく書いても良かった。
これは挿し絵の問題だが、時代ははっきり書いていないにしても、一番古い場面は戦後すぐだと思われるが、その頃の少年の下着は褌か?
まあ、でも中学生にはいいのかも。戦争にあまり触れないのも今の国の方向性とは合ってるし。
挿し絵はとても美しく、中学生の母より祖母くらいの年齢の人にうけそう。
比べちゃいけないけど同じタイムスリップ児童書でも『トムは真夜中の庭で』には全く及ばない。