【感想・ネタバレ】アラサーがVTuberになった話。のレビュー

あらすじ

過労死寸前でブラック企業を退職したアラサーの私は気づけば妹に唆されるままにバーチャルタレント企業『あんだーらいぶ』所属のVTuber神坂怜となっていた。「VTuberのことはよくわからないけど精一杯頑張るぞ!」と思っていたのもつかの間、女性ばかりの『あんだーらいぶ』の中では男性Vというだけで視聴者から叩かれてしまう。しかもデビュー2日目には同期がやらかし炎上&解雇の大騒動に! 果たしてアンチばかりのアラサーVに未来はあるのか!? ……まあ、過労死するよりは平気かも?

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VTuberを題材としたWEB発お仕事コメディ。

過労で倒れたことを機にブラック企業を退職したシスコンアラサー男が、ひょんなことからVTuber神坂怜としてデビュー。

基本的に有能だが堅物で、演者よりも裏方向きキャラの男を配信者として主人公に据えているのがこの作品の特徴。

女性Vばかりの箱でぽっと出の男性Vとして視聴者の反感を買い、炎上、炎上の日々。
これといった面白トーク等もない虚無配信で低評価を稼ぐ日々。伸びないチャンネル登録者数。

そんな逆境も社畜時代に鍛えられた鋼メンタル(妹ちゃんのコメントだけはあっさり貫通してしまう)で淡々と活動を続けるうち、少しずつファンが付くようになり…。

本作はVTuber神坂怜と、その配信の視聴者やSNS等を通じた関係者らとのちょっとしたやりとり、掲示板での視聴者同士の交流の様子にクスっとしたりほっこりしたりを味わう作品となっている。

気が付けば読者もすっかり神坂怜のファンになっているかもしれない。
昨今増えつつあるVTuberものの中でもイチオシ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 ブラック企業で心を壊したアラサー(元)サラリーマンが、妹の勧めで企業Vtuberに再就職する物語シリーズの1巻である。

 なろうやハーメルン他で連載されているネット小説の書籍化作であり、この1巻では2章までが収録されている。
 書籍版加筆なども含まれているが、基本的な本筋はネット版と同一であり、そこに変更はない点は最初に記述しておきたい。


 本筋は、わりと世知辛いタイプのVの物語。
 帯に書かれたあらすじを参照すると、

>女性ばかりの『あんだーらいぶ』の中では男性Vというだけで視聴者から叩かれてしまう。
>しかもデビュー2日目には動機がやらかし炎上&解雇の大騒動に!

 といった感じで、のっけから大コケして伸び悩む羽目に遭っている。
 そんないわゆる「底辺」に分類される配信者となった主人公の日々を描いた物語である。
 Vの黎明期で、女性Vが主体となって活躍する時代をモチーフにしているため、その意味でも非常にやりづらい環境設定であり、彼の底辺化は必然に近い。

 この辺、わりに簡単に人気Vとなる物語が多い(ネット小説の)界隈ではちょっと珍しい題材だとは思う。

 そんな中で、虚無配信と揶揄されながらも毎日配信を行う主人公・神坂怜(※Vの方の名前)。
 ブラック時代で摩耗した精神では四桁のお気持ちマシュマロにも痛痒を覚えず、アンチの批判も何のその、淡々とした彼の配信の日々がこの物語では綴っている。
 自箱の先輩後輩との交流や、他箱のVや個人Vとの絡み。あるいはママなどの絵師との関係。
 そんな日々を地味ながら、しかし滋味を含んで描くストーリーのほのぼのさ、ハートウォーミングさは、小説としての魅力を十分に備えていると思う。
 適度に厳しい掲示板風景なども、良いスパイスになっている。


 そんな原作(ネット小説)の魅力に加えて、この書籍化ではイラスト担当のカラスBTKさんの美麗なイラストが華を添えている。

 原作ファンの忖度なしに言って、本気で素晴らしい。
 何より表紙を飾る主人公の顔が良い。ぶっちゃけそこが購入の決め手になったくらい。

 また、後輩のルナ・ブランは作中で某キャラが「推せる」と言っているが、これは確かに推せるデザインだ。
 一方、彼女と同期の日野灯が人気面で一歩及ばないというのも、デザイン上で納得してしまう。
 こうしたイラストのバランスにも優れているのが本作の特徴である。

 なお、作中では彼らは(おそらく中の人のプライベートに配慮して)リアルな情景もすべてVのグラが利用されている。
 女子高生Vの素顔を見たいという方は、そこはちょっと購入の際に注意が必要だろう。

 代わりに酢昆布ネキのコスプレイラストや清楚アレはちゃんと描かれてあるので、それで我慢して欲しい。(酷い言い草)

 イラストの中でも特に秀逸なのが、12話で描かれたスパチャしてくれたmikuriママのメッセージを前にした彼の一枚。
 彼の自罰的な思いをサラリと描いた一枚だが、この絵は本当に胸が痛んだ。
 自分の不出来を謝る彼の言葉は、それ自体が重いが、この絵であのシーンは完成された気がする。


 書籍版加筆として、ブラック企業勤めの時代を描いたプロローグと、あとは後半の柊先輩3d化記念のリアイベでも一幕加えられているのが目につく。

 他にも、掲示板に潜伏する妹ちゃんの所感の付け足しや、リアイベにおける前説の内容、あるいはmirkuiママのサインなど、原作ファンが楽しめる追加も多い。
 設定資料では簡易的なQ&Aも付属していて、遊び部分が充実している。

 総じて、原作ファンもそうでない方も大いに楽しめる書籍化だろう。
 売れ行きは好調のようで、重版出来&続巻決定の報も出ている。めでたい。

 3章以降も魅力的なエピソードが待ち受けている。2巻に収録されるだろうFPS大会編なども盛り上がるエピソードだ。
 2巻以降に盛り上がっていくあんだーらいぶ男子組の絡みも大変楽しい。


 この楽しいシリーズがより広く知られていくことを祈りつつ、ここでは星六つで評価しておきたい。

1
2022年11月15日

匿名

ネタバレ 購入済み

期待しないで読んでみたら、思った以上に面白かった。
材料(キャラやストーリー)はそこまで特殊でないのに、料理が上手いとここまで作品映えが変わるのかと。

所々に出没する主人公がオモロイ。

#ほのぼの #癒やされる

0
2025年10月06日

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