【感想・ネタバレ】ウクライナ戦争は世界をどう変えたか 「独裁者の論理」と試される「日本の論理」のレビュー

あらすじ

『豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス』ウクライナ戦争、中国の台湾進攻関連動画、総PV4000万超(2022年7月現在)。
テレビ東京報道局元モスクワ支局長が全面緊急書き下ろし!

各識者推薦!!

成毛眞氏(「HONZ」代表)
「国際情勢を知る上でいま最も注目するジャーナリスト、必読の1冊!」

折木良一氏(自衛隊元統合幕僚長)
「ロシアの軍事侵攻は対岸の火事ではない。いまこそ日本の安全保障を見直せ」

◎被害者意識にとりつかれた「ロシアの論理」を歴史から理解する
◎なぜロシア軍は“弱い”のか? サイバー空間でも不利なのか?
◎NATO、北欧諸国、米中……ウクライナ戦争が変えたパワーバランス
◎“台湾戦争”想定シナリオと、左右の対立を超えた日本の安全保障の未来像を提示

ウクライナ戦争の戦況と歴史的背景、米中、日本への影響までを1冊で理解できる。
深く、分かりやすい解説で圧倒的反響を呼ぶ気鋭の報道記者、初の著書。
必読のノンフィクション!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 ウクライナ戦争開戦(2022/2/24)前から、たまたま見ていた「テレ東Biz」の豊島キャスター著作。開戦半年という絶妙のタイミングで出してきた。
 振り返るつもりで読んでみたが、もはやかなり先を見通して、中国台湾戦争勃発を視野に、如何に日本は論理を組み立てていくかというところまで話している。

 第1章、2章は開戦に至る経緯などの反芻にほどよい。
 第3章「戦時下のウクライナから」は、テレ東BizなどメディアでUpdateした情報収集したほうがよいかな(7月以前の情報で、2か月ほど古い)。第4章「ロシアと戦う国々の論理」は、もはや参考程度に。
 第5章「プーチン大統領暗殺は起きるのか?」は、ちょっとセンセーショナルで中盤の山かなと読んだが、できるかできないか、できるとしたら何を根拠に、どんな状況なら、という、あくまで思考訓練的なお話だった。

 我々、日本人として重要なのは、最後の2章だろう。ウクライナ戦争は、あの地域だけの話ではなく、大国ロシア、隣国ウクライナの関係は、中国=台湾間に置き換えて考えるべきという話だ。

 第6章「中国・習近平の台湾侵攻」。
「世界経済は、アメリカ、中国のふたつのエンジンで飛ぶ飛行機である。両国で世界のGDPの約40%を占める。世界全体の2%にも満たないロシアとはレベルが違う。」

 この差をどうみるか?!
 一朝一夕に、すぐ開戦とはならないと見る向きが大多数だが、今は、その準備の段階だという論調で本書は書き進む。 本当の危機は2030年代だと。

 そして、恐るべきは最終章、「試される日本の論理」だ。
 2030年代に至るまで、その準備期間に、外交手腕、経済力、政治力を駆使した戦争回避の提案もあるのかと思ったが、中国が台湾侵攻を準備を始める第1段階から、戦争勃発の第2段段階、米軍参戦の第3段階、それぞれのシミュレーションと、そのための準備や、準備できない障害(法整備、軍事力、世論等々)を述べていることだ。
 もはや、台湾侵攻は不可避のことだと言わんばかりに・・・。

 ロシア・ウクライナ戦争の教訓のひとつとして、ウクライナ大統領の動きがある。

「世界の指導者たちに、ゼレンスキー大統領は一つの発信のかたちを示したと言える。」

 日本の国家元首はこれが出来るか? あるいは、日本国民はトップを支持し、自らも国を守る強い意志、姿勢を示せるのだろうか?

「人は、自ら困難を乗り越えて戦おうとする人を助けたいと考えるものである。ウクライナ人が自ら闘ったことが、多くの物理的支援につながったことは忘れるべきではない。」

 は、とても大きな示唆だと思った。
 湾岸戦争の時に、金だけ出して・・・と、世界的に評価されなかった当時が思い出される。

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2022年09月12日

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