あらすじ
近代の大衆が生み出したイデオロギーが、「全体主義」である。
困難と義務を放棄した“できそこないの個人”が全体主義社会を望むのだ。
20世紀のナチスやソ連、現代では中国などが全体主義国家として挙げられるが、
むしろ日本の症状のほうが深刻だと著者は警鐘を鳴らす。
そもそも「自己欺瞞」によって近代を受け入れた日本は、
全体主義に対峙すべき「保守」が根付かなかった。
そこへ、合理性と効率性を追求するグローバリズムと社会の分断を煽る
新しいテクノロジーが浸透し、人間性の抹殺が日々進んでいる、と。
我々に残された対抗手段はあるのか? ニッポンを蝕む全体主義の正体を暴く。
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Posted by ブクログ
相変わらずの「適菜節」ですね。
近代人はそれまでの制度や束縛から解放され「個人」となることができたが選択の責任に耐えられず、「世間」に無条件で従い日和見主義的な政治家を支持する・・ 確かに最近ごく少数の政治勢力のリーダーを除くと政治家の「顔」が見えにくくなり、数の上での民主主義を成立させるための「その他大勢」になっているように見えます。自分で考え、判断することの重要性がかつてなく重要になってきていますが、マスコミも横並びでプロパガンダの垂れ流し状態ですから、今まで以上に自分で考えることの重要性が高まっているということですね。
Posted by ブクログ
前半は、全体主義の歴史を鋭く追及し、後半は安倍氏、橋本氏を激しく批判しています。私はこれは後半の批判を先に持ってきて、前半の話の中に安倍総理や橋本徹を入れて書かれた方が分かりやすく、面白いが気がしました。戦前の日本やナチスに代表される全体主義と比べるのが、安倍氏や橋本氏では役不足で分かりにくさを感じました。もし機会があったら、自民党や維新の会と全体主義との考察を読んでみたいです。