【感想・ネタバレ】最後のページをめくるまでのレビュー

あらすじ

小説の、ラストで驚きたい方はぜひどうぞ。ベスト本格ミステリ2018(本格ミステリ作家クラブ選)の1編に選出された「使い勝手のいい女」のほか、特殊詐欺に関わる男を描いた「わずかばかりの犠牲」、〈あなたの夫はあたしの婚約者です〉と名乗る女性が突然現れる「監督不行き届き」など、『どんでん返し』がテーマの5編を収録したミステリー短編集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読み進めるのが楽しくて素直に読書を楽しめる作品でした
1番最初、主人公が元カレを殺してその遺体を風呂場に置いてると思ったら魚を捌こうとしてただけでしたってお話と最後の殺人を計画してたら自分が殺害された事件が予想つかないどんでん返し感があって面白かった

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2024年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

難しい言い回しや表現がなく、読みやすかった。初めの数ページだけ読もうと思って本を開いたのに、結局、物語の最後まで読んでしまった、が5回続いた。結末は予想できるものもあったが、考えさせられる物語。
「骨になったら」と「わずかばかりの犠牲」の最後の一文がよかった!




ーーーーーーーーーーーー以下、ざっくりとした内容とそれぞれの感想


■使い勝手のいい女

28歳独身のホームセンターでアルバイトをしている葉月。バイト先の店長は葉月を「使い勝手のいい女」と評していた。
家で刺身用の包丁を研いでいると、6年前に別れたかつての恋人である智哉が訪ねてきた。
大学4年の年末、葉月が当時の友人たちに鰤しゃぶをご馳走したが、その日、智哉は葉月の友人の加奈と浮気した。加奈が鰤を見て気絶したところを介抱しただけだと智哉は言い訳した。
智哉は葉月に水を取りに行かせている間に葉月の財布を盗んでいた。問い詰める葉月に、智哉はキスをして誤魔化そうとする。葉月はテーブルの上にあったシチューボウルを手に取ると、智哉へと振り下ろした。

アルバイトから帰り、包丁を持って浴室で作業しようとした葉月のもとに、今度は加奈が訪ねてきた。葉月は浴室にあるものを気づかせたくないと思い、必死にガードする。加奈の家は宝飾店を営んでおり、加奈は智哉が一千万円分のジュエリーを持ち逃げしたから探していると言った。葉月は直後、テーブルの下に指輪が落ちているのを見つけ、智哉が持ってきたポインセチアの植え込みの中に投げ入れて隠す。葉月の説得むなしく、加奈は葉月の家に泊まることに。

翌朝、警察が訪ねてきた。警察が来たことに驚いた加奈は浴室に隠れようとしたが、浴室に鰤があったため、気絶してしまった。
どうやら、加奈は浮気相手を妊娠させた智哉と口論になり、階段から突き落として殺したらしい。祖父が智哉の遺体を別荘に運ぶ途中、自損事故を起こしてしまい、すべてを自供したとのこと。
葉月は、智哉が落としていった指輪を奪ってしまおうと考えていた。智哉がジュエリーを持ち逃げしたことを警察に聞くと、智哉の遺体とともに一千万円分のジュエリーがあったらしい。智哉はジュエリーブランドの箱におもちゃの指輪を入れて、浮気を繰り返していたようだった。

『どこで買ったかわからない、子供騙しのものを』そのまま引用

→てっきり、葉月が智哉を殺して浴室に隠しているのかと思ったけど、まさか鰤だったとは。。
こりゃあやられたね!

そして智哉も加奈もクズ!葉月がかわいそう!恋人に友達と浮気されるわ折角入社した会社が倒産するわ。でも、加奈が言っていた通りまだ28歳だからアルバイトじゃなくて正社員も狙えると思うけどな。嫌なことはNOと言える大人になりたい。


■骨になったら

美容外科で働く花沢公人は妻の桜子が火葬場で焼かれるのを待っていた。
桜子の自損事故で子どもを亡くして以来、桜子は自殺未遂を繰り返した。硫化水素自殺をしたということになっているが、実際は公人が殺した。

本当の桜子は庭の桜の木の下に埋まっている。棺に入っているのは綾芽という公人の元患者だった。

公人は綾芽と20年前に出会い、旦那からのDVで怪我をした綾芽の傷口を治したことがきっかけだった。公人は桜子を絞殺したところを、殺人事件を起こし逃げていた綾芽に見られた。桜子は庭に埋め、綾芽は桜子の顔に整形した。

綾芽はお金を浪費している上に外にも出歩いてるようだったので、殺すことにした。以前、桜子がしようとしていた硫化水素自殺で。出会った当初は、旦那からDVを受けていたと言っていたが、綾芽も旦那にDVをしていたらしい。綾芽は嘘つきなのだ。

火葬が終わり、ほっとしたのも束の間。家に帰ると、家が荒らされ、高級腕時計のコレクションもなくなっていた。綾芽を匿っていただろう元夫の仕業だと思われる。
そして、ファックスで警察に通報された形式があった。「桜の木のそばに、花沢桜子の死体が埋まっている」と。綾芽は火葬されたため、DNAの検出は不可能。しかし、桜子は遺体を埋めただけだ。

『骨になっても、桜子なのだ』そのまま引用

→妻を殺したと序盤にハッキリ書かれているので、どんな展開かと思ったら、まさかもう1人殺してるなんてね。。(しかも妻の顔に整形してる女を!)公人は許せない!妻を支えるのが夫の役目でしょ。子どもを自分の過失で亡くしてしまったらそう簡単に立ち直れないよ。しかも、ちょいちょい浮気してるのも許せない。綾芽は殺されたけど強い。旦那と日頃殴りあってたの?離婚したあとも共謀するなんてある意味理想の夫婦では?


■わずかばかりの犠牲

大学生の諒は高校のときの先輩である原田に誘われて詐欺の受け子をしていた。
初めて受け子をした日から、公園で鳩にパンを与えることが習慣になっていた。公園で知り合った老人の笠井(80)と世間話をする仲になっていた。

6回目の受け子の仕事。古谷という80前後のおじいさんからお金を受け取った後、いつもの公園へ。そこで、笠井は、右眉の上にあるほくろが目立つ若い男性にお金を渡そうとしていた。諒は自分を「原田」と名乗り、笠井を助ける。笠井は諒に、「歳だな。知り合いに、騙されて首まで吊った人がいたのに」と伝えた。諒は笠井に高級蕎麦をご馳走してもらった。2軒目はカフェに連れていかれ、友里という笠井の孫を紹介された。友里はクールな見かけなのにかわいい声で、魅力的だった。

その後、受け子の仕事をしないときでも公園に行って笠井や友里と会った。諒の友里への気持ちを勘繰った笠井は、2人のツーショットを撮ってくれた。

原田が大学まで押しかけてきた。諒に邪魔をされた詐欺の業者が、原田をリンチしたらしい。諒が原田の名前を名乗ったから。明日の夜までに300万円を用意し、別の土地でヤバい組織の下で働かないと、実家に火をつけられる可能性があるという。

諒は姉を頼るが、姉は子どもが生まれたばかりで取り合ってくれない。笠井にお願いすることにした。自分が受け子をしていることを伏せて事情を話すと、お金を貸してくれるという。1日遅れで指定されたマンションの一室へ行く。後ろ手に縛られさらにボロボロになった原田と、右眉の上にほくろがある男もいた。 突然、背後から蹴られる。笠井から借りたお金はオモチャのお金だったらしい。蹴られ殴られしたが、なんとかマンションから出て、笠井に電話した。

笠井は話す。友里は本当は親友の孫で、親友は詐欺にあい、自殺した。公園で笠井が詐欺にあいかけたのはわざとだった。受け子の服にGPSを仕込んで拠点を見つけるつもりだったらしい。詐欺を見破った諒に引っかかった笠井は、詐欺の被害者を探し、諒の写真を見せたところ、諒が受け子をしていると分かったという。被害者は古谷という老人。

目の前に、スクーターが突っ込んできて、諒は転んだ。乗っていたのはフルフェイスヘルメットを被った友里だった。ここ最近何度も見かけたスクーターだった。
助けてくれ、と懇願する諒に、友里は派手にクラクションを鳴らした。長く、何度も。それに気づいた詐欺師が諒を見つけ、諒に金属バットを振り上げた。

電話から笠井の声が続いていた。詐欺罪より殺人罪のほうが罪が重いという。

『彼らにはできる限り、重い罪を与えたいんだよ。きみというわずかばかりの犠牲で、それができるだろう』そのまま引用

→復讐が成功してよかったね!悪いことはするものじゃないよ。でも、諒は両親が死んで、姉も家庭を持って、頼れる大人がまわりにいなかった。同情するところはあるけど、だからと言って詐欺はだめ!最近はよく指示役とか受け子とか詐欺の用語を聞くようになった。諒のように、軽い気持ちで踏み入れて、気付いたら後戻り出来なくなった若者が現実にもいるんだろうな。


■監督不行き届き

加藤真智は、会社の前で若い女性に声をかけられた。彼女は城田菜々穂(24)という名前で、真智の旦那である祐典と半年以内に結婚すると言う。実は、昔、乳幼児突然死症候群で亡くした娘の名前も菜々穂だった。
図々しくも、城田は真智の家に来た。息子の岳人(16)がいる時間に。城田の母親が余命半年なので、花嫁姿を見せたいと言う。祐典が結婚相手とも伝えてあるらしい。真智、祐典、祐典の義兄は城田に祐典と結婚することはできないと諭すが、聞く耳持たず。
真智が出張から帰ってくると、祐典がいなくなった。会社にも行っていないらしい。城田も祐典と連絡がつかないとわめいている。
城田が祐典を探しに家まで来た。お気に入りのピアスもなくしたらしい。しかも、駅まで車で送れと言う。このままどこかに連れ去って殴って祐典の居場所を聞こうと考えるが、会社の同僚の陽子を見つけたことで踏みとどまる。
真智を心配した陽子がワインを持って家に来てくれた。翌朝、真智はふっきれていた。
2週間後、ホームレスが祐典のスーツを着ていた。お金を渡して聞くと、水曜か土曜に公園のゴミ箱に捨ててあったらしい。
岳人に問い詰めると、真智が出張の間、祐典に星空を見ようと山に誘い、頭を殴り、谷に落とし、自分で車を運転して家に帰ってきたらしい。祐典がいたと思わせるため、作り置きのおかずを食べたり、スーツや靴を捨てたり。
動機は、真智を泣かせたからだった。菜々穂が死んだあとたくさん泣いて、それ以来泣かなかったのに、祐典のせいで真智はまた泣いた。
殺人とバレても、城田に疑いが向くように拾ったピアスを祐典のポケットに忍ばせたらしい。
さらに、岳人がこの1〜2週間調べたところ、城田は親しい人もいなくて、部屋からあまり出ないと分かったらしい。
そのとき、電話がなった。城田の父親で、おそらく祐典との不倫を謝罪した上で、娘と連絡がつかないという。

『監督不行き届きと、義兄から放たれた言葉が突き刺さる。祐典は、岳人への監督不行き届きを死をもってあがなった。自分があがなうべき相手は、電話の向こうにいる』そのまま引用

→娘と同じ名前の女と不倫するなんて本当に気持ち悪すぎ。息子に殺されてざまぁみろと思った。城田が祐典を監禁してるのかなとも思ったけど、途中から岳人が殺したんだなって予想できた。

岳人は、城田も殺したのかな?真智があがなうべき相手は城田の父ということは、うちの息子がおたくの娘さんを殺してしまい申し訳ありませんでしたって言うのかな?
祐典と城田は自業自得。真智は岳人と幸せに暮らして欲しい。


■復讐は神に任せよ

8か月前、ひき逃げで小学1年生の息子である琳を亡くした新里夏帆。夫も、その前に病気で亡くしていた。
自首してきたのは、村谷義政という60過ぎの男性。国会議員をしている神無月家の使用人だった。車は神無月の娘、亜矢(26)のもので、村谷が自分の車の調子が悪いから無断で亜矢の車を借りたという。夏帆は疑問に思い、村谷のことを調べた。村谷の孫である市橋匠がアメリカでの臓器移植を望んでいて、ネット募金をはじめたが、すぐにサイトは閉じられ、その手術を受けたことが分かった。
村谷は孫の命と引き換えに罪を被ったのだと確信。村谷の子である優加と夫の伸臣、子の匠が住むマンションに夏帆も住み始めた。瑕疵物件だった。

亜矢は毎朝土曜日にひとりで犬の散歩をしている。そこで殺すと決めていた。しかし、亜矢が本当に運転していたという確証がない。

夏帆の隣の部屋に須田光恵(58)という白髪の女性が越してきた。そこも瑕疵物件だった。須田も2年前に夫を亡くし、娘も亡くしたらしい。

信臣にも優加にもひき逃げの真実を問うが、何も知らないの一点張り。優加には、夏帆が医療ミスに関わったのではないか、ミスは誰にでもあると言われてしまう。夏帆は否定するが、確かにあった。4年前、糖尿病の患者に大量のインスリンを投与してしまい、20前後の女性を死なせてしまった。医師が指示し、夏帆が投与した。夏帆はこわくなり、その病院をやめていた。その後、夫に病気が見つかった。夫が死に、夏帆は子どもを養うために再び看護師に。

須田が犬を部屋に入れているのを見た。前日、誰かいい人を見つけたほうがいいと言われ、もう関わらないと決めていた。

コンビニで亜矢とぶつかるが、亜矢は夏帆のことを覚えていなかった。何度も訴えに行ったというのに。

公園で匠が木の上に上り、足を滑らせたところを夏帆が助ける。夜、優加がお礼を言いに来た。車を運転していたのは亜矢だと話してくれた。今日、産婦人科に行ったら3ヶ月だったという。お腹の子になにかを負わせたくなくて話す気になったらしい。

土曜日の朝。亜矢を殺すつもりで神社にいくと、そこには犬を散歩している亜矢と須田の姿が。その瞬間、須田が亜矢の腹を包丁で刺した。倒れた亜矢の背中にも。亜矢の犬が激しく吠えるので、夏帆はすかさず持っていたインスリンを犬の尻に打った。

須田の娘は、高校の校舎から飛び降り、話すこともできないままベッドの上で9年過ごし、先月亡くなったらしい。亜矢からのいじめが原因だった。須田は夏帆に今の部屋を引っ越して新しい生活をはじめなさいと言った。

須田の犬は自分が引き取ろうと考える夏帆の前に、若い男性が立った。僕を覚えているかと尋ねられるが、分からない。その瞬間、お腹を刺された。夏帆がインスリンを投与した女性の恋人だった。

『ー殺されてもいい人間は、いるはずだ。彼は最後に、そう言った。名前も知らない彼が。あのときわたしは、その名を覚えようとはしなかった。』(本文より)

→亜矢のように、人をいじめたり、殺したりしても何とも思わない人間が現実にいるのかな。そうだったら嫌だな。
須田は医療ミスで夏帆に復讐しに来たのか?とはじめは思ったけど、犬が登場してから、須田の目的を察した。娘は亜矢のせいで自殺したんだろうな〜って。医療ミスで亡くなった女性の遺族から夏帆も殺されるだろうなと結末の予想もできた。見え見えの展開だったけど、考えさせられた。
自分が被害者になったときは、相手を絶谷に忘れないけど、加害者になったことは気付きにくいし、気付いたとしても忘れてしまう。「殺されてもいい人間」、もしかしたらみんな誰かにそう思われて生きているのかな。

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2024年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 一番最初の話が一番好き。あれはすっかり騙されました。まさか元カレをさばいちゃったのかな、とか思ったけどそんなコトなかった。深読みし過ぎちゃ駄目だな。

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集だった。それぞれ弱いなりにひっくり返しはあった。通勤に少しずつ読むのにちょうどよかった。グロくもなく、そこそこ。

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2024年12月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルから勝手にどんでん返しを思い浮かべてたの
で、肩すかしを食らった気分です。
つまらないというわけではなく、好みの問題。

【使い勝手のいい女】
5話の中では一番好きな話。浴槽の秘密が明らかにな
った時がピークで(騙された)と笑ってしまった。
そこを最後にして、犯人や宝石の事は補足程度でつけ
加えても良かったと思うほどその辺には興味なかった。

【骨になったら】
最後のページはインパクトもなく、いまいち。

【わずかばかりの犠牲】
ゾッとする話だった。復讐心に理解はできる。
でもそこまでする?  人間って怖い。

【監督不行き届き】
夫の失踪の真相を息子と話した時がピーク。
「やっぱりお母さんのほうが頭がいい」が怖い。
監督不行き届きのレベルじゃない。サイコパス。

【復讐は神に任せよ】
皮肉なことで。タイトルの通り。

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2024年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

"んん〜?"と思う話はあったものの割とさくっと読めた。
『使い勝手のいい女』はバスルームにあるのは、てっきり死体かと思っていたので最後まで読んでやられた感があった!
あと『わずかばかりの犠牲』と『復讐は神に任せよ』は悲しい話だったけど、主人公が自分の気持ちに正直になっていたら違う結末になっていたのかな〜と感じた。

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2024年08月06日

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