【感想・ネタバレ】冬牧場のレビュー

あらすじ

世界で一番海から遠い都市、中国アルタイ地方から届いた極上の紀行エッセイ。著者と、新疆ウイグル地区アルタイ地方にある冬の牧場で遊牧をしているカザフ族との約3カ月にわたる心温まる交流が綴られている。遊牧民の生活は、中国の政策によって近いうちに遊牧民たちも定住を選ぶ時代になるかもしれないという時代に、非常に貴重な記録ともなっている。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

副題は『カザフ族 遊牧民と旅をして』
 夏には夏の牧場に移動し、寒くなれば少し南の冬牧場に移動をする。

 厳しい自然、厳しい遊牧の仕事、厳しい経済状況、とにかく「厳しい」と形容詞がつく中で見せる美しい暮らしぶり。心に残る表現や情景に出合うたびにエフを付けて読み進めた。
 読み終えた今、素晴らしい世界に触れあえた感慨に浸っている。

0
2022年03月19日

Posted by ブクログ

失われていく少数民族の暮らしの紀行エッセイ。
荒野に羊のための牧草を求め、ラクダと砂漠に降る雪を集める。

いのち。くらし。生活の糧。

0
2023年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2010年、私が体験したのは遊牧民の寒くて寒くて寒い冬ー

著者・李娟が新疆ウイグル自治区アルタイ南部のカザフ族の遊牧民の一家と共に旅をして暮らしたノンフィクション。

バタバタとした(主に服装の)準備から始まり、遊牧民との旅、生活、出会いと別れ、何事もとにかく寒さをしのぎ、水を得るため戦いであり、困難の連続。それが今を生きる人の目で丁寧にかつ軽やかに描かれている。これは李娟の筆致によるもので、彼女は私が持っていた強い中国人女性とは異なり、なんともほわほわとしたところもあるごく普通の女性だ。

彼女と生活を共にする人たちも、ごく普通の、それぞれに素敵な能力を持つ人たち。彼らは黙々と日々の暮らしを営んでいる。少ない食料と単調な仕事。テレビは大好きでみんなで噛り付いて観る。子供はどこにいても元気。ごくありきたりの生活なんだろう。でも読んでいると、地窩子(地下穴の家)で彼らと一緒に極上のミルクティーを飲んでいるような、温かくほのかな幸せを感じられる。

遊牧民の彼らはその後は政府のプロジェクトにより、定住しなければならなかった。その記憶を残すために李娟により書き留められた記録。日本を含めた世界中で起きていることだろうけど、古くから伝わってきたものが失われていくのは寂しいかぎりだが、李娟が書くことによって日本にいる私がこの牧場に立ち寄ることができたのは貴重な体験だ。

#冬牧場 #NetGalleyJP

0
2021年12月27日

Posted by ブクログ

カザフ族の冬の遊牧生活を描いたエッセイ。
定住化によってこのような遊牧生活がいつまで続けることができるのか分からないので、貴重な資料にもなるだろう。
マイナス30度をも下回る過酷な環境下において、遊牧民の家族が活き活きと生活を営んでいる様子を興味深かった。

0
2022年04月09日

「小説」ランキング