あらすじ
「かけがえのねぇ仲間だったんだ」
突如行方を晦ました悪友を追ううちに、寛政の江戸を揺るがす大捕物に――
「あいつが死ぬはずねえだろうが」下っ引の左右吉は、かつて根城にしていた深川で旧友の豊松を探していた。
豊松は女絡みで金に困り、店の売上を持ち逃げしたらしい。さらに、大店の内儀を強請っていた情報も。
そんな奴じゃねぇ――左右吉は女掏摸の千、腕の立つ浪人日根と探索を始めると、芋蔓式に暗い繋がりが発覚していく。
人の心を優しく湿らせる傑作捕物帖。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大山詣でで有名な大山出身の雨乞の左右吉は、
岡っ引きの手下である。
勘働きは親分を凌ぐ。
今回は幼馴染とでもいうのか、悪い時代を共に過ごした豊松が行方不明で、
事件を操作していても気掛かりであった。
一件が落着し、やっと豊松の行方を探せる。
いつまでも悪をやっていては命がないと
仲間の中で1番に抜けた豊松であったが、
店の金を盗んで行方不明という。
おかしいと探す左右吉。
大店の後妻と道で話す様子が目撃された。
調べると、悪い時代に通じる何かがあったらしい。
この小説、作者が存命なら名作シリーズとなったはず。
登場人物の描き分けが秀逸。
粋で情けが深く、用心深く。
たった2巻ではあるが、たっぷりとした読後感であった。