あらすじ
ソウルで奔放に育ったはずのホンヨン。家父長制が根強く残る大邱(テグ)からの脱出を試みるコンジュ。ふたりの女の乾いた涙の跡にうつしだされる「友情」の物語。
人気漫画家ソン・アラムの代表作を『韓国が嫌いで』の訳者、吉良佳奈江が全訳。
東京・下北沢でグラフィックノベル専門書店「BSEアーカイブ」を主宰する町山広美のコラムを収録。
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Posted by ブクログ
夜の電車、扉にもたれている女性の横顔が描かれたカバーが印象的で、手にとった。
流れる夜景を見るともなく、目で追っているのか。
ガラスに映り込む自分の内側を覗き込んでいるのか。
孤独を色濃く纏い、その視線は鋭い。
女性のであることの生きづらさ、娘であることの息苦しさ、女性同士の友情を、リアルに等身大に描き出した韓国のグラフィックノヴェル。
だが、女性でもなく、子供がいるわけでもない僕が、リアルだなんて“分かった”ようなことを言うのはやめておこう
ただ、作者自身が後書きでこう書いている。
これは“家族と社会と絶え間なく葛藤して、器用に折り合えない女の話” そして、“一人の女の話でありながら同時に、一人の人間の話であることを願って”いると。
同じ経験を共有することだけが、分かるという言葉の意味だとしたら、あまりに淋しすぎる。
コンジュが抱える葛藤と屈折は、一人の人間として分かる、確かに知っている、そう思うのだ。
Posted by ブクログ
小泉今日子のポッドキャストや、朝日新聞の書評など、いろんなところで目にし気になっていた1冊。「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んだ時と同じようなヒリヒリ感。自分は周りの人に恵まれて、仕事も育児も比較的心のままにできている方だが、女性たちの生きづらさが、この社会の中にもたゆたっていることは切にわかる。夫の実家に帰省した時の人々の振る舞い、ちょっとした言葉など、何でもないことが心をえぐる。いや日本よりも韓国の方がもっと根深いのだと思う。これまで通り、こぶしをあげて激しく抵抗するのではなく、「その習慣で育った相手の常識」にも心及ばせながら、でも常識をちょっと見直してもらうさり気ない声かけや努力はしていきたい。
Posted by ブクログ
身につまされる。男として夫として親として。作品中の夫(テシク)に腹が立つ時も、彼と同じ価値観が自分の深い根底にこびりついていることも自覚する。このこびりつきは簡単には剥がせないが、こういった本を読んでカリカリと爪で削り取って行くしかないのだ。