【感想・ネタバレ】いえのレビュー

あらすじ

『ひと』まち』に続く新たな感動作、誕生!

妹が、怪我を負った。
案外面倒な兄なんだな、おれはーー。
家族と、友と、やりきれない想いの行き先を探す物語。

友がいて職場があって、
ひとが築く、まち。
その中に暮らす我が家。
近くて遠い、家族。

社会人三年目の三上傑には、大学生の妹、若緒がいた。
仲は特に良くも悪くもなく、普通。しかし最近、傑は妹のことばかり気にかけている。
傑の友だちであり若緒の恋人でもある城山大河が、ドライブデート中に事故を起こしたのだ。後遺症で、若緒は左足を引きずるようになってしまった。
以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡って、三上家はどこかぎくしゃくしている。
教員の父は大河に一定の理解を示すが、納得いかない母は突っかかり、喧嘩が絶えない。
ハンデを追いながら、若緒は就活に苦戦中。家族に、友に、どう接すればいいのか。
思い悩む傑は……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしは、主人公の三上くんは、最初は周りの人のちょっと不快に聞こえた言葉に対して突っかかってしまったりして、あまり好印象を持てませんでした。

しかし、終盤でそれが一気に変わりました。

パートさんに向かって「こいつが邪魔なんだ」「こいつはいらっしゃいませもねえんだ」と言いがかりをつけてくるお客さんに対し、「こいつとおっしゃるのはやめていただけますか?わたしどもの大切な従業員ですので」という発言は、すごくカッコ良くて、先に進む前に何度もその場面を読み返していました。

そして、以前自分が突っかかってしまった相手に連絡を取り、謝罪をする。これもなかなかできない事です。
わたし自身もささいな言葉で相手を少し嫌な気持ちにさせてしまったかもしれない、と思ったことが何度かありますが、次に会話したときは特に変わりなく普通だったので、謝るのも変かと思い流してしまっていました。

「沈黙は金なり」と言いますが、言わないと伝わらなくて誤解されてしまうこともあります。
そういうときは、相手の立場に立って考えることが大事だと思いました。
若緒ちゃんが、お母さんの立場になったらやっぱり恨んじゃいそうだから、恨んでもいいよって言ったように。
三上くんが大河くんの立場になって、助手席に彼女の美令さんが座っていて、事故を起こしたらおれはどうするかを想像したように。
想像力と、相手に謝罪を伝える小さな勇気を持てば、人間関係が順風満帆に行くとは決して言えませんが、何かが変わるのではないでしょうか。

「人間、ものの感じ方は変えられない。これはちょっといやだな、と感じてしまうのはしかたない。でも感じたあとの行動を変えることはできる。」

最後の場面。いい言葉だと思いました。

ちなみに今度、喫茶店でコーヒーとクリームソーダを頼んだものの、一人で飲み物を二つ頼むのは変に思われるんじゃないかと想像力を働かせた結果、「今日、暑いですよね〜!つい飲み物二つ頼んじゃいました!!」と店員さんに言い訳してる人を見かけたら多分わたしです( ̄▽ ̄;)

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2025年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025/2/8
同じ町なんだな。
コロッケ屋さん覚えてる。
アパートのその人も知ってる。パン屋になった人。
緩やかに続いてて私もその町にいるよう。
今回はウィンウォーンがなかったな。
誰も訪問しなかった。
ちょっと重めのスタートがいつもと違う?と思ったけどいつも読後が爽やかやから忘れてるだけで重めもあったね。
今回もそんな感じ。
うーんでもやっぱ重めか。
主人公が悩んでる時間が多かったからそんな印象。
よっしゃ!私も頑張ろう!タイプではなく、そうやんなーこんなもんやんなーこれくらいでいいよなーみたいな優しく肯定してくれる感じでまあこれはこれで。

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【あらすじ】
三上傑は江戸川区平井、荒川沿いの一軒家に、両親と妹(若緒)と暮らしている。友人の城山大河と若緒は付き合っていたが、大河の運転する車の事故で若緒の足に怪我をさせてしまい、ほどなくして2人は分かれることになる。不自由な足を持った若緒の就職活動に心配する兄、傑。両親の関係も兄弟の関係も友人との関係も若緒の怪我で変化していく。同作家の小説「ライフ」と舞台が同じため、喫茶店「羽鳥」、井川幹太、一人暮らしをしている郡君、劇団東京フルボッコの劇団員坪内幾乃、「ひと」に出てくる砂町銀座商店街の田野倉コロッケなども話に出てくる。
傑も働いているスーパーのパート、泉田と話すことでわだかまりを修復したり、同窓会であたってしまった劇団員の亮英に謝罪したり、やけ酒帰りに駅のホームで嘔吐の対応をしてくれた駅員さんの深津にお礼したり、異動になった恋人美怜と話合いをして関係を継続できたり、妹の内定が化粧品会社に決まったり、荒川沿いを毎日のように走っててアパート筧のハイツB に住む江藤瞬一くんの消防の試験合格が決まったり、後半にポジティブな話題がつまっている。

【感想】
「ひと」「ライフ」と間を開けずに読んだので登場舞台や人物がリンクして楽しんで読めた。日常を切り取ったような小説で、共感できる状況や感情が多いし会話文が多いのでさらっと読める。家族や友人がいて働ける場所があって、そういうことに改めて感謝できる小説。

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2025年01月05日

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