あらすじ
※本書は、昭和51年5月に刊行された角川文庫『死神の矢』(電子版発売日:2012年8月3日)を改版した作品となります。重複購入にご注意ください。
弓の収集家として名高い考古学者の古館博士が、三人の若者を招き弓遊びに興じていた。見事的を射た者を、愛娘早苗の婿とするというのだ。
だが、その直後、競技に参加した若者の死体が発見される。浴室の中でシャワーを浴び続ける男の胸部には、白塗りの矢が射ちこまれていた……。
解決不能と思われた密室トリックを名探偵・金田一耕助が解き明かす。
一風変わった隣人の嫌疑に挑む「蝙蝠と蛞蝓」を併録したファン必読の小説集。
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Posted by ブクログ
『死神の矢』と『蝙蝠と蛞蝓』を収録。
『死神の矢』は考古学者が自分の娘の婿を3人の男たちから選ぶために海に漂う的を狙わせるという遊びから始まる物語。婿が決まったその夜に元候補者の1人が密室で殺害され、そこから連続殺人事件に発展していくというもの。金田一耕助はどう推理するか?
被害者たちが揃いも揃ってクズだったので犯人に同情してしまう1作。最後の被害者も金田一耕助なら止められたはずの殺人なのになぁ……。
『蝙蝠と蛞蝓』は異色の短編。あるアパートに住む湯浅が書いた小説が現実世界で起き、湯浅に殺害の容疑がかけられて……というもの。
短いながらも読み応えたっぷりの1作。
Posted by ブクログ
悲しい復習の物語だった。犯人が全然分からなかったのだけれど、分かったら分かったで人の思いやりがさらなる思いやりを呼んで複雑な事件となった今回。ハッピーエンドとはいかず、悲しい結末に切なく涙がこぼれそうになる。暴力を持って、人を自分の思い通りにする、自分の欲を満たすような人間は本当に生きている価値がない、アフリカのサバンナにでも行って自分の本能のままに動物と暮らしたら良いと思う。本当に満たされない寂しい人間だと思う。