【感想・ネタバレ】フイチンさん 復刻愛蔵版 上のレビュー

あらすじ

伝説的傑作、歴史的復刻!

ビッグコミックオリジナルの話題の連載、村上もとか『フイチン再見!』の主人公のモデルとなったのが、長谷川町子と並ぶ「女性漫画家」の開拓者
上田としこ。まだ、漫画家という職業も、まして女性の漫画家などその存在すらなかった時代に、その道を切り開いた上田としこの代表作が『フイチンさん』である。作者の満州体験を下敷きに、ハルピン一の素封家の下で、門番の父親と暮らす天真爛漫な女の子フイチンのエネルギッシュな活躍を描いた本作は、1957年~1962年「少女クラブ」で連載され大人気となり、当時としては異例の長期連載となった。あの手塚治虫氏も、上田としこを高く評価し姉のように慕っていた。単行本は何度か刊行されたものの、いずれも未完で、刊行されてもアミが抜け落ちていたり、扉が欠けていたりと不完全なものだったが、今回、連載時の雑誌、各種単行本、また新たに発見されたカラー原稿などを付け、初めてほぼ完全な形で、復刻する。
上巻には、カラー扉を多数収録、村上もとかの書き下ろしエッセイ収録。

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Posted by ブクログ

 時代を超えた作品である。満州という幻の国家の様子を伝える証言でもある。
 マンガならではの闊達さというか、本作の舞台は「戦前のハルピン」と「描かれた当時のニッポン」の二重写しになっている。
 フイチンは言うに及ばず、リイチュウ坊っちゃまの言動が愛らしい。
 『フイチン再見!』村上もとかの講演の中、「手塚治虫に始まるマンガの系譜とは別に、戦前の挿し絵文化の流れを受け継ぐマンガがある」とそのような発言があった。ヒロインの伸びやかな手足がそれを如実に物語っている。

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2021年01月05日

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