あらすじ
文化祭も期末テストも大人のメンタルと社畜力で乗り越えてきた新浜は、球技大会という新たな課題に直面していた。春華に良いところを見せるため、新浜は筆橋にコーチを頼んで猛特訓を開始して……。
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Posted by ブクログ
前後半の2部構成。
前半は春華の前でカッコつけるためなら、球技大会に向け、苦手な運動でも頑張る心一郎くんがかっこ良く、
後半は主人公の家に泊まる事となったヒロインの春華の嫉妬ぷりや照れている様子が可愛らしく、癒されるお話で、どちらも良かったです。
今回の個人的なイチオシは、妹・加奈子ですかね。後半最初に少しデレる所から始まり、妹本人が楽しみながら行う2人をくっつける為のアシストが、見ていてとても良かったし、微笑ましかったです。
そして、春華パパは健在。良き。
Posted by ブクログ
KU。
慶野由志著『陰キャだった俺の青春リベンジ3 天使すぎるあの娘と歩むReライフ』を読み進める中で、まず心を惹きつけられたのは、その意外性に満ちた構成でした。表紙の印象からは、体育祭という一大イベントを中心に据えた青春譚が展開するのだろうと予想していたのですが、実際にはそこにとどまらず、お泊り会をはじめとする複数の行事が物語に厚みを加え、作品全体をさらに豊かな青春のモザイクへと仕立て上げていました。
主人公・新浜心一郎が抱える過去の痛みやトラウマは、彼の成長を阻む重石であると同時に、物語の駆動力そのものでもあります。体育祭に向けた地道な努力の積み重ねや、妹との関係修復に見られる内面的な成熟は、単なるラブコメ的展開を超え、「人は過去に向き合い、克服することで新たな自己を形づくる」という普遍的なテーマを浮かび上がらせます。その姿は、読者の誰しもが心のどこかに抱える“やり直したい記憶”に響き合い、共感を誘います。
さらに、紫条院春華との関わりは、甘やかでありながらも決して軽くは描かれていません。彼女との交流を通じて生まれる喜びや葛藤は、青春のきらめきと苦さの双方を丁寧にすくい上げています。体育祭の緊張感と高揚、お泊り会での距離感の変化――それらは一見すると日常の些細な出来事に過ぎませんが、青春の只中にある登場人物にとっては人生を大きく揺さぶる体験であり、その重みを作品は誠実に描き出しています。
本巻は、表紙に映る華やかな体育祭の一瞬を超えて、青春を多面的に描いた濃密な一冊でした。過去に縛られながらも未来へ歩みを進めようとする主人公の姿に、読者は「人はいつからでも変われる」という希望を見いだすことができるでしょう。