あらすじ
17歳でウェブデザイナーとして働く藍葉のもとを、私立探偵のみどりが訪ねてきた。「あるかた」の依頼で藍葉に百万円を渡したいというのだ。幼い頃に誘拐されたことのある藍葉は、犯人の朱里が謝罪のために依頼したのだと考え、朱里と会わせてほしいとみどりに頼む。藍葉は、誘拐されたときに見た色とりどりの不思議な部屋を忘れられずにいた。風変わりな人捜しを引き受けたみどりは、やがて誘拐事件の隠された真相に辿り着く。
解説 似鳥鶏
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
ネグレクトされていた幼少時代に誘拐された経験のある17歳の少女、藍葉の元に、ある人から探偵と称する女性、みどりが100万円を携えやってくる。
藍葉とみどり、二人の主人公目線で物語は進む。100万円は誰が用意したものなのか?藍葉を誘拐したのは誰なのか?
ミステリーとして謎解き部分も十分だが、この小説の核心部は、藍葉がもともと持っていた色覚に対する才能がさらに鋭く開花成長していく様と、探偵みどりの破滅的ともいえる破天荒な行動っぷり。
それ以外の脇を固めるキャラクターもいい。解説で似鳥鶏が記しているように、逸木裕のキャラクター作り込みがしっかりしているからこそ、そこに寄って立つことで小説に熱が生まれている感じ。物語のテーマになっている色や芸術に関する描写も丁寧で良い。
テンポよく読める文章のリズムもいい。これは傑作
Posted by ブクログ
――
俎の上の謎。
面白かったです。工藤賢が嫌いだっただけかもしれない。
引き続き喋り過ぎ感はあし、物語が綺麗過ぎるのもちょっと物足りなかった。
扱っているテーマはとてもドロドロしているんだけれど、なんだろうなぁ全ての謎が、こう解かれるためにそこにあるのがわかると云うか…絡まってないと云うか。
これも喋り過ぎが故、なんだろうなぁ。
全部のピースが綺麗に整っているから、どこに嵌るかが解りやすくて、ちょっと詰まらない。読み易い、って云うのかもしれないけれど。
ミステリとしてはあまり。どちらかというと、森田みどりを応援するサスペンス・スリラー的かもしれないので、彼女に感情移入出来ないと辛いところがある。
ラストシーンはとても良かったです。もっとシンプルに、藍葉の物語としても良かったんじゃないかなぁ。
☆2.7