あらすじ
珠玉の言の葉たちが、心を優しく包み込む
“ことばの魔術師"最後のエッセー集、待望の文庫化!
日々の暮らしの光景に四季の彩りとアクセントをもたらしてきた「果実」と「花実」。
食卓のささやかな悦びと至福の味の記憶を綴る――
苺、白桃、葡萄、柿、栗、ミカン、バナナ、梨、落花生、笹の葉、茄子、アスパラガス、ふきのとう、納豆等。
全38テーマを「ことばの果実」「ことばの花実」として構成。
美しい文章とともにカラー挿絵も魅力。長田氏の世界観とマッチした挿絵は単行本時から好評!
解説は落合恵子氏。
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Posted by ブクログ
ことばの果実から果物の香りがしてくる。
なかでも、ミカン、トマト、白桃、アスパラガス、納豆が私の記憶を呼び覚ます。
ミカンは小さい頃見た木箱の思い出。釘が危ない粗悪な箱。友達のお母さんの、「掴み取りできた分だけあげるよ」という言葉に乗せられて張り切った思い出もある。
トマト。子どもの頃のトマトは酸味たっぷりの「野生的」トマトだった。
白桃。漱石の『三四郎』にも登場する水蜜桃。「日本の近代の味」
アスパラガス。娘と行った函館の旬のアスパラガスの美味しさ。『失われし時をもとめて』(プルースト)にも出てくるていう。
そして納豆。韓国の納豆鍋。一度食べたい。
こうして私は長田弘さんのことばの魔法にかかり、果実や花実を深く味わった。