あらすじ
第50回大宅壮一ノンフィクション賞、第5回城山三郎賞をダブル受賞した傑作ルポの完全版。
2019年香港デモと八九六四の連関を描く新章を収録!
「“その事件”を、口にしてはいけない」
現代中国最大のタブー、天安門事件に迫る!
1989年6月4日。変革の夢は戦車の前に砕け散った。
毎年、6月4日前後の中国では治安警備が従来以上に強化され、スマホ決済の送金ですら「六四」「八九.六四」元の金額指定が不可能になるほどだ。
あの時、中国全土で数百万人の若者が民主化の声をあげていた。
世界史に刻まれた運動に携わっていた者、傍観していた者、そして生まれてもいなかった現代の若者は、いま「八九六四」をどう見るのか?
そして、事件は2019年の香港デモにどう影響したのか? 歴史は繰り返されるのか?
中国、香港、台湾、そして日本。60名以上を取材し、世界史に刻まれた事件を抉る大型ルポ。
語り継ぐことを許されない歴史は忘れ去られる。これは、天安門の最後の記録といえるだろう。
●“現代中国”で民主化に目覚めた者たち
●タイに亡命し、逼塞する民主化活動家
●香港の本土(独立)派、民主派、親中派リーダー
●未だ諦めぬ、当時の有名リーダー
●社会の成功者として“現実”を選んだ者、未だ地べたから“希望”を描く者 etc.
※本書は2018年5月に小社より刊行された単行本を改題の上、修正し、新章を加筆したものです。
【目次】
序章 君は八九六四を知っているか?
第一章 ふたつの北京
第二章 僕らの反抗と挫折
第三章 持たざる者たち
第四章 生真面目な抵抗者
第五章 「天安門の都」の変質
第六章 馬上、少年過ぐ
終章 未来への夢が終わった先に
あとがき
新章 〇七二一 香港動乱
主要参考文献
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「完全版」となるにあたって2019年の香港動乱が追加蠡されたとのことで、再読。
中共の強権が強化されたことで香港社会、特に若者の生活空間の息苦しさは如実に増している。
今は半ば諦め不満は潜伏しているとしても、本土の経済が悪化し、縛りが緩んだ時にどのようになるのだろうか。
Posted by ブクログ
天安門事件から香港デモへ...と副題にあり、興味を持って読みました。多くの人物が登場しますが、王丹氏やマー運転手が印象的でした。中国・北朝鮮・韓国・日本の同一性と相違性にたいへん興味関心があります...
Posted by ブクログ
天安門の当事者が30年の時を経て、天安門と自分自身の歴史を今どう評価しているかをインタビューしたルポ。天安門の良し悪しや価値観を一方的に綴った作品とは一線を画す作品。天安門と香港や台湾の運動との結びつき(結びついていない側面)も描く。