あらすじ
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「あやまってすむようなうそはつかない」――。嘘に誠実であるほど、「ぼく」の言葉が深く響く。谷川俊太郎の珠玉の詩が絵本に!
「うそはくるしい」はずなのに、平気でうそをつく人がいる。
大きな声でうそをつき、しらを切り通す人もいる。
うそをくり返したら、ほんとうになるのだろうか。
この世はほんとのことより、うそであふれている。
うそをつかない人なんて、この世にはいないだろう。
でも、どうして人はうそをつくのだろうか。
ついついてしまったうそ。ごまかすためのうそ。
自分を守るためのうそ。
相手の幸せを願ってつくうそ。
そもそも[ついていいうそ]と[ついてはいけないうそ]、[いいうそ]と[悪いうそ]ってあるのだろうか。
あるとすれば、その違いはなんだろう。
いい・悪い、軽い・重いの基準で測れるものだろうか。
この絵本は、詩人・谷川俊太郎さんが1988年に発表した詩「うそ」に、イラストレーター・中山信一さんが絵を描き、構成した一冊。
ある男の子がうそについていろいろと思い、考える。
心の奥深いところまで届く、時おり読み返したくなる宝物のような一冊。
谷川 俊太郎(タニカワシュンタロウ):詩人。1931年、東京生まれ。1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。1962年「月火水木金土日の歌」で第4回日本レコード大賞作詞賞、1975年『マザー・グーズのうた』で日本翻訳文化賞、1982年『日々の地図』で第34回読売文学賞、1993年『世間知ラズ』で第1回萩原朔太郎賞をはじめ、受賞・著書多数。詩作のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表している。この「うそ」は、1988年刊の『はだか 谷川俊太郎詩集』(佐野洋子絵)の一編。
中山 信一(ナカヤマシンイチ):イラストレーター。1986年、神奈川県生まれ。広告や書籍、アパレルグッズなどのイラストを手がけるほか、個展開催や作品と合わせたエッセイ集も発表するなど、作家としても活躍中。また、HIPHOPユニット「中小企業」のラッパーとしても活動しており、これまでに1stアルバム「cookie」と2ndアルバム「NESS」をリリース。D&AD賞2018Wood Pencil(銅賞)、JAGDA2018亀倉雄策賞ノミネート、JAGDA賞ノミネート、東京装画賞2013銅賞、そのほかADC入選、TDC入選など多数。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
うそ という
一見悪いものに対して
評価せず 取り繕わず
そのままに 共に生きていく本
ほんと に憧れながら
つく 嘘は ほんとの嘘 だと感じる
Posted by ブクログ
うそでしかいえないほんとのことがある、という一文で手が止まった。
うそとほんと。
白黒はっきり割り切れないところに生きていることの本当の姿がある。それを少しずつわかっていくのが大人になるということではないかと著者は言う。
Posted by ブクログ
少年は犬を散歩に連れ出す。犬の尻尾の下、蟻が食料を運んでいる。少年は考え事をする。大きな葉っぱを仮面のように顔に被せる。目のところに開けた穴からみえるもの。やはり犬を散歩させている女性。すれ違う、犬も。少年は考え続ける。雨に降られて雨宿り。止んでまた歩き出す。水たまりに映る自分の顔。まだ頭の中は考え事。公園で滑り台。ゾウさんの形。暗くなって、家に戻る。少年は考え事に一応の結論をつける。”本当”に憧れながら、これからも”うそ”を何度もつくだろう、と。偽りの罪に怯えながらも、真実を貫く難しさを知る。
Posted by ブクログ
“うそをついても うそがばれても ぼくはあやまらない”
主人公の「ぼく」がそう決めている理由とは??
子ども向けというより、大人が読んで考える絵本という印象。
“うそでしか いえない ほんとのことが ある”
子どもに「うそをついてはいけない」と教える前に、こういうことを考えて、説明できるようにならないとなぁと思った。
でも、6歳の子供に理解してもらうにはなかなか難しい考えだな…
Posted by ブクログ
谷川俊太郎による「うそほんとのの詩をもとにして書いた不思議な絵本。
ぼくは きっと うそをつくだろう
という一文から始まり、ぼくが犬と散歩しながら考える。
おかあさんはうそをつくなというけれど
くるしいとしっているからそういうんだとおもう
うそでしかいえない ほんとのことがある
道端の蟻の群れを見ながら
よその犬とすれ違いながら
雨宿りをしながら
水たまりに写った顔を見ながら
公園の滑り台ですべりながら
夕暮れになって帰る道で
ずっーとぼくは考える。
うそはだめだよと言われても
そんなことはわかってる
どんな気持ちになるのかも…
だけど何度もうそをつくだろうと。
子どもの正直な心の声を聞いた。
大人になればそんなことすら考えもしないのだろうと思ってしまう。
Posted by ブクログ
うそをつくことの苦しみ。
「ぼく」の心の中には様々な思いが渦巻いているようです。
私は子どもの頃は、「うそは悪い」と一元的に思っていました。
でも、大人になるにつれ、うその中にも
・保身のウソ
・人をおとしめるウソ
・思いやりのウソ
などがあることがわかるようになってきました。
面倒なことに、一つのウソの中にも、いろんな要素が混ざっているのですね。
読んでよかった絵本です。