あらすじ
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突然始まった夫の介護、どこまでやれば合格なのか? 頑張ろうとすればするほどプレイのように思えてしまう。介護の本音満載。
夫が突然倒れた、姑や舅が要介護になったら、妻や嫁が自宅で介護するものだとも思われてきた。それらのまじめに介護してきた多くの方々の記録はこれまでにも本となった。でも本書では、介護をまかされる人が本当に献身的に介護する状況を何の疑問も持たず、葛藤もせずに受け入れているわけではないという、多くの介護者が抱えながらどうすることのできない、本当の気持ちをはっきりと提示した初めての本である。著者は夫が脳内出血で突然倒れて植物状態になった妻である。突然のことに立ち向かいながらも、他人の目を気にし、自分の行動が「普通」なのか「普通」から外れているのか、ちゃんとやっているように見られているのかをモニタリングして不安になっていく。献身的に見えることのまるで献身プレイをしているかのごとくふるまうことが介護であり、疑問を持ちながら介護してもいいのだと実体験を元にしながら解く、一味もふた味も違う介護の本。
野田 敦子(ノダアツコ):1961年生まれ。同志社大学卒。大阪在住のコピーライター。2013年より人気WEB「どうする? OVER40」代表。神奈川新聞など地方紙24紙に連載された、自身の夫の介護について赤裸々に描いた「献身と保身のはざまで」が大反響を呼ぶ。「カイゴ・デトックス」というトークイベントの主催者の一人でもあり、熱烈なファン多数。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この本を目にしたときに、可愛い表紙絵、ポップな感じのタイトルに、軽い気持ちで手に取ったのですが、私の想像はとんでもなく間違っていました。
冒頭から「え?え?」の連続で嫌な予感しかしませんでしたが、やはり…。
寝たきりの夫をどうするか?
自分も仕事を持っていて、自宅介護が難しいという中、悪意なく親切心で、家に帰って看る方法を提案しようとする専門職の人びと。
自宅介護をするということは、看る側の人生設計が大きく変わるということ。
自宅介護をする人は偉い、と、まだ日本には尊ばれる風潮があると思う。
もちろん、そうしたいと自分から願う家族もいるかも知れないが、それが呪縛となってしまう家族もいるだろう。
周囲からの家族への親切心や、その場をやり過ごすための軽い言葉も、渦中にいる家族にとっては刃となってしまうのだ。
世間体としては、夫をしっかり介護するべき、と思うかもしれないが、その介護する彼女にも仕事がある。生計を立てるために、入院費を払うために働かなければならない。
自分の人生が夫の介護によってつぶされるのか、自分のこれからの人生は、介護だけになるのか、看なければ槍のように非難をあびせられるのか。
著者も、心が大きく揺れるのだ。その迷いや怒りや希望や絶望が日々何度もかわるがわるやってくるのだ。その心情をとても分かりやすく丁寧に語っている。
全ての介護をする人の心のモヤモヤがここに全て書かれている。
そうか、自分の心のモヤモヤは、こういうことだったのか、と当事者が読んだら思われるのかもしれない。
特に自分にとって第3章は、共感の嵐だった。
医療従事者、福祉・介護従事者、家族も、患者を取り囲むすべての人が、これを読んで、知り、学び、思いを寄せることが必要だ、と思った。
Posted by ブクログ
著者の正直さに感動。
熱心に毎日病院に通って介護「後悔しないように全力をつくす」しながら、一方で「時間になったらとっとと家に帰りたい」。
そうだよね。わかります。
現在 96才要介護5の姑、90才要介護1の実母、実子のいない94才と88才の叔父叔母に囲まれて、介護はある程度わかっているつもりだった私。
この本を読んで、介護が実は自分自身にヒタヒタと迫って来ていたコトに気がついた。
面倒をみている親たちがいることで、自分や配偶者にはまだまだ先の話だと思っていたけれど、作者のようにある日突然「その日」は来るかもしれない。
その日に備えて何も対策していなかった事に気付かせてもらった。
頭がハッキリしている時間は意外と少ない。
人生100年なんて悠長なことは言っていられない。
しかしながら、この著者が被介護者になった時はちょっとウルサイ人になりそう。(笑)
介護のテクに精通してるから。
あ、ワタシもです。ごめんなさい。
Posted by ブクログ
夫が倒れた、そして意志疎通は難しい
介護のリアルを正直に、自分の言葉で発言し書いておられます
お元気で書き続けて欲しいです
又読みます 「私だけじゃない」
Posted by ブクログ
いつか来るかもしれない未来の為に読んでみた。
ずっと元気で過ごしてきたはずなのに、一瞬で人生が一変してしまう。
著者が犬の散歩に行ってる間に、さっきまで普通だったご主人が帰ったら倒れていた。
そのまま集中治療室。脳内出血で脳ヘルニア。そしてほぼ植物状態・・・
2018年の9月から細かく書かれている。
うちももう若くは無いので、特に主人の家系は脳梗塞オンパレード。
本人も健康面は気を付けてても、こればっかりはわからない。
うじうじ考えてても仕方がないから日々頑張ろう。
Posted by ブクログ
ご主人が倒れての看護介護の話。不安や葛藤など正直な気持ちが綴られていて、同じような立場になった時、自分が抱く罪悪感を軽くしてくれそうだと思った。
Posted by ブクログ
終わりの見えない介護
母親も義母の介護をしていましたが、どこか他人事のように見ていました。
介護をする側の意見を見れて、よかったです。
3点印象的でした。
①ちょうどいい心配はない
→自分が出来る限りの心配をしたい
その中で、評価、同調、アドバイスは控えようと思います
(例:あなた頑張っていますね)
②お見舞いを接待にしない勇気
→気を使うことも大切だが、自分自身を一番に
③愛の形は変わっていい
→今までと同じようには過ごせない
→今できる形で、愛することが大切
Posted by ブクログ
本の雑誌年間ベスト企画から、だったか。なるほど、身につまされる内容。ためを思って発した言葉が、結果、あるべき姿を強要する側面を持つってのは、身も蓋もないけど、事実。だったら何も言わずほっといてくれた方がいい、というのも納得。そのあたりの塩梅、難しいですわな~。そしてここでも、重要なのはエンパシー能力の発動だったりする。
Posted by ブクログ
夫が倒れたとき、私はどうするだろう?
どうしたいかというよりも、どうすべきか、選んだ手段が、妻や嫁として親戚や世間からどう見られるのか、そういう視点から逃れることはできないように思う。
この本を読んで思ったこと。
まずは自分達の生活を第一の支柱としてよい。
金銭的な面から、施設や治療を選択してよい。
1人で抱えずプロを頼ってよい。
ただし子供に介護の責任を負わせない。
口を出すなら手やお金を出す。
そして、全ての選択に、後ろめたさを感じない!
読後に著者を検索したら写真が出てきて、いい意味で想像と違った。
チャキチャキして、大きな口を開けて笑い出しそうな写真だった。笑顔でよかった。
もちろん笑顔になれない時間もたくさんあり、これからもあるだろうけど、お元気で!