あらすじ
「2人に1人ががんになる時代」。日本人女性の乳がん罹患者数は、2019年には9万人以上と女性のがんでは最も多い。乳がんは罹患数に比べると死亡数は少なく(がん罹患数予測より)、多くの患者が手術・治療を行い、日常生活に戻る。しかし退院すれば終わりなわけではなく、患者とその家族にとっては「退院こそが始まり」なのだ。
本書の原案を手掛ける藍原育子さんは、30代後半、3歳の娘の子育て真っ最中に乳がんを患った。健康系の雑誌ライターとして知識も豊富、毎年検診を受けていたにも関わらず…。初期ながら全摘を選択、転院を経て手術を行う。「これでまた、普通の生活に戻れる」と思った退院後に、術後の痛みや体調の変化、再発への不安などから、心と体のバランスを崩す。がん患者を専門に診察する精神腫瘍科医に通院し、乳がん患者向けの整体院で体のケアを行うなどしながら5年かけて家族が再生していく、その「闘病後期」の日々を中心に1冊のコミックエッセイにまとめました。
医療監修:湘南記念病院乳腺センター 土井卓子氏/コラム監修:埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科 大西秀樹氏
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Posted by ブクログ
同じ乳がんでもタイプが異なれば、治療や経過が全然違う。
私にとってこのコミックエッセイが参考になるかといえばそうでもないのです。
ただ、合間のコラムが響きました。
特に「患者を傷つけるNG言葉」
・(乳がんが)とれたからいいじゃない
・治った人はたくさんいる
・初期でよかったね
・もっといい病院に行ったほうがいいんじゃない?
・絶対になおるよ
がんであることを周囲に伝えた時にもやもやすることがあった、けど何にもやもやするのか判らなかったのですが、これを読んでハッとなり涙しました。
私の周りにも乳がんだけど元気に働いている人がいるよ。
↑
私が言われて傷ついた言葉。(私も働きながら治療している)
Posted by ブクログ
「乳房の温存手術だと、乳房が変形したり、かたくなったりする場合があるので、全摘して同時に再建手術のほうが自然な形になる」ということを初めて知りました。再発のリスクが高い人などが全摘に踏み切るのだと思っていたので…。
病気や手術の話など、力が抜けてあまり得意ではないのですが、大変勉強になる内容でした。
癌は治るという経験などから「癌は初期の風邪みたいなもの」とか、「癌になって得られたものがある」というキャンサーギフトの考え方に傷つく人がいることもよくわかり、気を付けようと思いました。
主人公が「これが風邪なら自分がなってみればいい」「ギフトなんていらないから元の体に戻してくれ」と悲痛な叫びをもらしているのはもっともだなと。
癌の経験をポジティブにとらえる人がいるのもわかりますが、そうできない人に考え方を変えさせようとするのも本当に酷ですよね。
本書の中で主人公が、ネイルサロンに行ったりと美容から力をもらうところも良かった。闘病に必要なのは医療だけじゃないのだと気付かされました。
Posted by ブクログ
乳がんサバイバーの方の話。子供がいて育児に自分の病気にと悩む姿を描いていて胸が苦しくなる。誰にも話したくなかったり急に聞いて欲しくなったり、いつの間にか自然に話せるようになっていたり。心の変化が丁寧に描かれていて共感できた。
辛くなったら読み返します。
術後、ひどく落ち込んでしまったときにこの本を見つけました。上手く表現できないもやもやを言語化していただいたようで、気持ちが少し楽になりました。コラムの内容もとても良かったです。
「もう誰にも話さず自分で全部抱え込んでしまった方が楽!」と思ってしまった方におすすめしたいです。