【感想・ネタバレ】緋色の稜線のレビュー

あらすじ

ホテルで行きずりの女を殺してしまった吉行は、車で逃げる山中で不思議な少年と幼女に出会う。「和子」と名乗る幼女の家に帰る途中だという。なりゆきで乗せてやることになった車内で、無邪気に話す和子の声を聞きながら、ふと吉行は自分の過去を振り返る。夜の闇が迫りひどい疲労感に襲われた吉行は、親子と偽り小さな旅館に宿をとる。穏やかな夕食と温泉。まるで本当の親子のようだ、そう独り言ちる吉行の目に飛び込んできたのは、膝に乗ってきた和子の首に残る、一筋の赤い線だった。過去の記憶がよみがえり苛む……。大人のサスペンス・ミステリ!
(※本書は、2012年9月講談社より刊行された単行本『白兎1 透明な旅路と』を加筆修正し、改題の上文庫化したものです)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本作は、長らく在庫切れだった『白兎1 透明な旅路と』(講談社)を著者が全面見直しし、加筆修正、改題の上文庫化したものらしく、読んだ記憶がやはりありました。で、前回読んだときは伏線がわからなく、あまりピンとこなかったが、読み直して納得しました。

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2021年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少年の名前が白兎だったので、主人公は騙されて滑稽な感じで終わるのかなと思いましたが、違いました。因幡の白兎ではなかった。

人でないものの扱いが斬新で面白かったです。少しづつ増えていく謎が、いろいろな登場人物の過去と混ざり合っていて、それが繋がっていく展開にドキドキしました。過去の事実と出会うたびに揺さぶられていく主人公が、不審に思いながらも、女の子を大切に扱っているところが虚しさを誘ってきます。妄想だと言われた時の絶望感を一緒に味わいました。

背負った罪は消えないと言いつつも、最後は、捕らわれた過去と決別できそうな希望で終わります。過ちや罪は、その過程で希望があるからこそ、重さを知ることになるのかもしれません。償いは、生きていればこそできるものなのだと感じました。

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2021年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリというよりは幻想小説。
ホテルで行きずりの女を殺してしまった男が車で逃亡中、山奥で少年と少女を拾う。
彼らは兄妹ではなく、少女を家に送り届けるために一緒にいたらしい。
少女の家は、男の故郷のさらに奥。
雨のため温泉旅館へ泊り、少女と過ごすうちに思い返される男の過去。
不思議な少年と無邪気な少女。彼らは一体何者なのか。
男の兄が山に入った理由はわからないままだった。
山に呼ばれたということなんだろうか。
どうやらシリーズものらしい。
作者のファンなら楽しめるのではないだろうか。

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2021年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

白兎シリーズ第1作目の「透明な旅路と」を文庫化した作品です。
「バッテリー」や「THE MANZAI」、時代劇ものなど若者を主人公にした青春小説を多く描いているあさのあつこさんがミステリー?それも殺人を犯した大人が主人公?という二度見してしまったくらい衝撃的でしたので、読んでみました。
白兎シリーズは知らなかったのですが、結果的には白兎が主人公でしょうか。最後まで謎めいた少年?でしたが、最初の段階ではこれはホラーなの?と疑っていました。

殺人を犯した主人公・吉行は逃避行の途中、山中で謎の少年と幼女に出会う。二人の関係が他人同士。少年は少年らしからぬ素振りや佇まいにどんな物語になっていくのか、次々と疑惑なことが出てくるので、予測不能でした。大人向けの小説ですが、文章は読みやすく、あっという間に読めました。
吉行だけでなく、少年・白兎と幼女のキャラクター性も際立っていて、印象に残りました。そういった描写は、さすがだなと感じました。

時折、吉行の過去と行き来しながら、次第に幼女の正体が明らかになるのですが、少年の方は結局わからずに終了するので、消化不良になりました。そもそも、この物語もどこからが現実で、どこまでが幻なのか、ずーっと霧のようなぼやけた空間で読んでいた感じがしました。
最後ら辺の色んなことがあったけれども、人を犯したことへの罪は罪であることには深い何かを感じました。

全4部作だそうなので、白兎の正体が何なのか、次作を楽しみにしたいと思いました。

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2020年12月08日

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