あらすじ
音大のピアノ科に通う曽我真尋は、たまたま参加した大学の授業で人の心を薬のように癒す音楽もあることを知り、三上先生の診療所で音楽療法士の実習を受けることにした。大人の声に耳を閉ざす少女、キラキラと飾った虚構の自分しか愛せないパーソナルスタイリスト、探し求めた愛情を見付けられず無気力に生きる中年男性……様々なクライエントと音を通じて向き合ううちに、真尋自身も自分が抱えた秘密と向き合うことになり――。
私たちはこんなにも弱くて、脆い。それでも生きることから、逃げられない。美しい旋律と共に、生き抜く強さを与えてくれる感動の一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
セラピーに来た人々の隠した感情に共鳴してしまう主人公が、感情に引っ張られすぎてしまうのでは?という危うさが感じられてしまった。
陰のある三上先生よりカフェの七海さんのほうがセラピストっぽい。
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人は誰しもこころのどこかに影があるのかなと感じた作品。一人一人が持っている闇が重くて、心がそちらへつられていきます。重いものを抱えている人が多く登場するので、喫茶店のマスターの言葉や主人公の友人に少し癒されます。
最後の数ページでさらに心に重くなりました。でも気になって一気に読んでしまった。
音楽や楽器のことを全くわからなかったので、どんな形か想像しながら、気になったら調べて読み進めていくのが楽しかった
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治療の一環として音楽を用いて訪れる人達の心に安らぎを与える。自身も家族との関係性についてモヤモヤを抱える。クライアントのやり取りの中で自省を深めていく。
綺麗な作品でした。
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スッキリしない読後感。
答えが見つからないまま話が終わりました。
でも生きていくってそんな感じかも?
きっと死ぬ間際…
というよりは死んだ後に自分が生きてきた答えが見つかるのかな、と思いました。
で、死人に口なし。
生きている限りわからない答えを探し求めながら私たちは生きていく。
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タイトルや表紙が素敵で、また題材が、あまり小説で取り扱われることの少ない音楽療法で、興味を惹かれて読み、少し希望も見えたような感じもするのですが、実際は読者に何を伝えたかったのかなぁ、、という気持ちが残ってしまいました。。
続編でそれぞれの登場人物のその後が描かれていくのなら納得できるのかも。
Posted by ブクログ
音楽療法士を目指す音大生の真尋。
実習では三上先生のもとを訪れるクライエントとともに音楽療法に加わる。
ここを訪れる人々は見ようとして敢えて見ていなかった心の中と対峙することになっていく。
それが解決に向かう人と、より辛くなっていく人と。
音楽療法を受けなければならないのは真尋なのでは?
いったい真尋の家族の真実は?
今までの真尋の母と祖母の姿は本当の姿なのか?
疑問いっぱいで話が終わってしまった。
ちょっと消化不良気味だった。
Posted by ブクログ
『病みついた誰かを魔法のように癒やすことなんて出来ない』
『あんたは話題が少ないわね。なんて言うか、特徴がないのよ』
『本当に向いてることも、本当にやりたいことも、大概の人にはないんだって』
『星はいいよ…決まった時間に必ず決まった場所にいるわけだし』
『生きている人間を支えてくれるのなら、幻にだって意味があるはずです。現実に影響を与えているんだから、むしろ本当に生きていると言ってもいい』
音楽療法士を目指す音大生の真尋。実習先の診療所にやってくるクライエントを様々な楽器を用いて治療する。楽器を奏で幻を作り、心を闇から救い出そうとする。だが、本当に治療が必要なのは…
登場人物はみな心に闇を抱えている。単に音楽療法で闇を解放していく物語ではない。というか、誰も完全には解放されていない。
「私たちはこんなにも弱くて、脆い。それでも生きることから、逃げられない」
読んでいて重たい、苦しい気持ちになるのは、主人公の真尋がずっと病んでるからだろうか。