あらすじ
千葉香澄は、転職エージェントに勤める四十歳のキャリアアドバイザー。さまざまなきっかけで転職を考えている人々に相応しい求人を、ちょっぴり頭の固いAI「ソフィア」を活用しながら紹介するのが仕事だ。ときには悩みを打ち明けられたり、あらためて再考を促したりもする。十人十色の仕事観や人生模様にふれるうち、自分自身の仕事や人生も見つめ直すことに――。
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Posted by ブクログ
盛り込まれた数々のエピソードを通して「仕事を通して他の人に求められる経験」を多く疑似体験出来る作品です。
「仕事のやりがいがなかなか見えない」と悩んでいるときにおすすめの1冊です。
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頻繁に書評サイトをチェックして、気になった本をリストの下に加え上から順番に借りたりしているので、手元に本が巡って来た時にはその本の何処に興味を持ったのかなどということはすっかり忘れていることも多い。確認して見たらリストには入っていない。はて? あぁ、これは高校の同級生に紹介された本だった。なるほどこの本の何に興味を惹かれたのかわからない筈だ。
「構成がうまい」と元同級生(同級生って、クラスメートという意味合いと、卒業後に、同じ年度に所属していた、という意味合いで使う二つの表現が混在すると常々もやもやしているのだけれど、「元」と付け加えると前者の意味にシュッと収縮するね)が言う通り、話は滑らかに流れてゆく。そう書くと自分の書く感想文的なものを何度か読んでいる人は気付いてしまうかも知れないけれど、そういう風に決められた軌道から逸脱する余裕の無い小説は余り得意ではない。ただ、この小説は大きな仕掛けで読者を振り回そうというタイプの小説ではないので割と抵抗なく読める。
読みながら勝手に連想してしまっていたのだけど(だから、軌道からの逸脱が許されていないという訳ではないとも言えるのだけれども)十代の頃に何故か嵌っていた「少女小説」あるいはジュブナイル小説という方がポリティカリ・コレクトネス的にはよいかも知れないタイプの本を思い出していた。今は亡き氷室冴子とか、もう少しSF的な要素が強かった新井素子とか。それはきっとこの小説がどこかしら人の成長譚に満ちているからなのだろうと思うけれど、そんな風に分析したところで何か自分の中に湧き上がるものが上手く説明できる訳でもない。
他人から見れば、転職、と呼ばれる行為を何度か経験してきたことにはなるけれど、転職エージェントのお世話になったことは実はない。どの場合も現状に満足できない時にふと誘われて職場を変えているけれど、職種を大きく変えたこともない。手掛ける分野の範囲は少しずつ大きくなったけれど、それは大方の人々とて同じことだろう。ただ、この小説が描くように、決断するのはいつも自分でその決断の良し悪しはやり直す機会が与えられない以上(あるいは少し理系的に言うなら不可逆的な行為である以上)振り返って悔やんでみても仕方ない。そのことが割とポジティブに(ポジティブの腑に落ちる訳語って何だろう? 肯定的? 前向き? 明るく?)語られているところは共感するし、好感が持てる。世の中兎角「なんとかガチャ」みたいな言い方をしてあたかもその状況が「交換可能なこと」のように(意識していないとしても)表現されるけど、状況を変えようとすることの根源はやはり自分の中にしかない。それを柔らかい言葉で描いているのがこの小説だ。
何となく、立原あゆみの「麦ちゃんのヰタ・セクスアリス」を久しぶりに読みたくなった。
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転職エージェンシーが舞台のお話です。私も転職は経験があるので相談者に共感しながら読みました。何か大きな事を決める時はやっぱり縁とタイミングですよね。
Posted by ブクログ
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面白かったな。
エージェントの小説は初めてかな…
キャリコンの学習をしているので、タイミング的にも面白かったです。
対法人ではなく、対個人の仕事は、やはり、反応が伝わりやすいから、辛い部分も多い反面、喜びも大きいでしょう。しかも、エージェントは1人の単価も高いから、なかなか面白い仕事。やってみたいな。
わたし、転職多くしているし、いろんな方法で転職してきたので、この辺の経験は人より多いと自負してます。書類選考は3000件以上、面接は300回以上はやってます。
ここ5年でも4社に在籍しており、ここは全てエージェント利用ですが、2、3社以上のエージェントをつかって、1、2月の間に次の仕事を決めてました。
最初に紹介求人の中から50社ぐらいに絞って一気に応募、その後、1ヶ月の間にさらに50社ぐらいに応募。で、10%ぐらいしか書類通らないので、10社と面接といった流れです。
わたしは、エージェントの彼ら、彼女らには、何も期待しておらず、プラットフォームを借りるだけ。面談も最初の一回だけというのが、最近の流れ。ほんと、先方からすると、いい客だと思います。
いい言葉がでてました。
「やりたいこと、できること、そして企業から求められていることを、見定めなければいけない。」
まさに、これ、私が半期ごとのキックオフで全社向けに言っているもの。will、can、mustですね。
キャリコンの世界だとシャインさんが提唱していました。
変化が激しい時代において、今後、何が必要となり、自分が何を望んでいるのかを見極め、必要なスキルを身につけていく。若い子は、この何が必要となるかのポイントがズレると、苦しい。やりたいことを見極めようとせず、何が必要なるかも考えず、ただ、自分ができそうなことだけにポイントをあててる人は多いでしょう。親であれば、子どもにそこを伝えていかないといけないですね。
/_/ あらすじ _/_/_/_/_/
転職エージェントの香澄の物語。
いろいろな人な支援をしながら、自分の人生間をみつめていく。
/_/ 主な登場人物 _/_/_/
#ピタキャリア 転職エージェント
香澄 かすみ、40歳、離婚、喫煙者、出会いの最初の7秒間を意識、キャリアアドバイザー
宮崎
石川 課長、40代半ば
ソフィア AI
#ピタマリー
伊藤栄子 香澄同期
#顧客
一ノ瀬慎 29歳、普通
二宮壮太 営業
三上江里子 38歳、美人、外資系
四谷正憲 48歳
五味佳乃
六車秀明
七尾花蓮 24歳
八田真人 30歳、イケメン
九鬼あずさ くき
十和田渉 50歳
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ちょうど自分がこれからのキャリアについて考えていたタイミングで読んでみました。
転職する理由も人それぞれで、転職エージェントという寄り添い支援する側からの本、とても興味深かったです。
物語が進んでいくにつれて、香澄自身のキャリア、人生についてもストーリーが展開されて最後まで楽しく読めました!
Posted by ブクログ
読み始めてすぐに主人公が2日前に観た番組に登場していた女性だと気づき楽しくて一気読みでした。転職エージェントの香澄はラストで転職する。これからもがんばれ!
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ちょうど今採用側にいるけど、こんな思いのある営業さんいないよ。経歴書の書き方とか面接の仕方のテクニックはしっかり教えるようだけど、適材適所っていうのが分かってない人が多いねんな。紹介料は35−40%。我が社の社長は毎月分割で現金支払いするから、様子を12回見に来い!って言ってます笑
Posted by ブクログ
転職が題材の話を読むと、登場人物達と照らし合わせながら、今の自分の環境を見直しできるのが良いな。みんなそれぞれの境遇で、そこから一歩を踏み出そうとしている。私は、どうなんだろうか。香澄さんのように真摯に相手に寄り添って仕事に向き合っているんだろうか。自問自答を繰り返して、なかなか答えはでないのだけど。
「多くの人々は、縁あって就いた職業をそれなりに気に入り、もしくは折り合いをつけて、日々こつこつと働いている。幼い頃の夢を思い返すわけでも、ことさらに嘆くわけでもなく。仕事というのは、たぶんそういうものなのだ」この文に本当にホッとした。そうだよね。今の自分の境遇から逃げ出す必要がなければ、目の前のことをコツコツと丁寧にやってみよう。そう思えた。
Posted by ブクログ
★4.0
転職エージェントで働く女性の話。この作家さんの本は初めて読んだけれど、読後感もよかった。すべてがすっきりさわやかなわけではないけれど、リアル。
どこで働くのか…最適なんてわからない。いまだに。
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仕事は人生の大部分を占めるもので、転職するのも悪くないなと思った。けど、ちゃんと自分がどんなことを
望んでいるのか、向き合う作業が大変だなと思った。そしてそれほ転職活動だけでなく、婚活や人との付き合い方にも現れてくるんだなと思った。
Posted by ブクログ
転職を支援するキャリアアドバイザーのお仕事物語。いろんな思いを抱えて転職の相談にくる相談者達を相手に的確にアドバイスをして支援していく主人公の仕事ぶりにとても魅かれて読み進めた。また主人公の千葉香澄も私生活でいろいろ悩みがあり同時進行で話しが進んでいく。人生何が起こるかわからないなー。主人公はどんな選択をしてどんな未来を生きるのか、この物語の続きが気になります。
Posted by ブクログ
転職エージェントの話。
転職を経験したことのある身として、興味深く読んだ。自分の経験から強みってなんなのか、一口に営業といってもいろいろな仕事があったり、サービス業からの保育園事務など、1人だと気づかない観点をくれるのはきっとありがたいものだろう。
転職などをサポートしたり、自己理解をサポートする仕事に就くと、しばしば訪れるのが自分はどうするかということ。
最後にそのきっかけもあり、今後彼女がどういう選択をするかも楽しみだった。
Posted by ブクログ
装丁が好みだったのと、転職をぼんやりと意識していたのでなんとなく手に取ってみた本。
数年単位で働いていると感じる「周りの人はどんどん動いていっているのに自分はなんとなく、同じことをずっと繰り返して前に進めていないような感覚」を主人公が感じているところにとても共感できた。
社内で使えるAI相談ツール「ソフィア」の存在が現代的で面白かった。
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転職を考えている時期に読んでいたら、1歩進める気がする話でした。
大きな問題が起きることもない所がリアルな感じで良かったです。
主人公の心情がもう少し知りたかったです。
Posted by ブクログ
転職エージェントで働く主人公”香澄”。転職の相談に乗るうち、自分の人生を見つめ直す。長編小説。
転職を希望する理由や、会社に求める事、何にやりがいを感じるか、譲れない部分が十人十色で興味深かったです。自分だったらどうだろうと考えながら読みました。
失敗だと思っていた事が、実はいい影響を与えていたりプラスに作用することもある。良い面も悪い面もあって、どちらに目を向けてどう受け入れるか。香澄のように真摯に向き合い続けていくことが、好転に繋がっていくといいな。と思いました。
傷ついて人を信じられなくなっても、立ち直って奮闘している姿に勇気づけられる小説でした。
Posted by ブクログ
転職エージェントって
こんな感じのお仕事なんだなぁって思いながら
楽しんで読めました。
主人公にはあまり感情移入しなかったけれど
転職活動をする人たちの迷いや悩み、
そして歩き出す姿が良かったです。
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転職アドバイザー会社の話。
転職する理由ややり方も人それぞれだなと思った。
主軸の主人公の元夫の不倫の話をもう少し掘り下げて欲しかった。
スナダックに入って退社した一ノ瀬さんは前向きな退職でよかった。
Posted by ブクログ
◯読もうと思った理由
自分のキャリアもそうだが、人のキャリアをサポートすることに興味があったため、何か得るものがあるのではと思ったため
◯ 引っかかった言葉
p205 ちっとも変わらない、と九鬼に言われた。(中略)ちっとも変わっていないというのはつまり、ちっとも前に進めていないということでもある。
→主人公であるキャリアアドバイザーの香澄が、どんどん人生を前に進めている(ライフステージを登っていく)会員の様子を見て、自分の人生と比べている場面
⇒今の自分の重なる部分がありひっかかった。
また、アドバイザーが自分の人生において揺れているという、キャリアサポートだけでなく女性の人生におけるライフステージでの葛藤も描かれており、奥行きのある人物描写が良かった。
◯感想
・華やかなキャリアをもつ人が多く登場人物として描かれているため、すこし突き放された感覚
・人の適性だけでなく、転職動機やライフステージによる環境の変化、夫の転勤など様々なことを考慮しながら進める転職の奥深さを知った
Posted by ブクログ
瀧羽さんの作品、初めて読んだ。
テンポ良く読めるし、自分には読みごごちが良かった。
人材紹介のキャリアアドバイザー
人生の岐路にある人と向き合う興味深い内容。それぞれの選択がとても良かった。
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決定的な不満や不安がある訳でも無いのに停滞感をしょっちゅう感じていて、
どこかにある理想の仕事という幻想を追いかけたくなって、でも一歩も踏み出せない。
本当にやるべき事が目の前にある事も充分に分かっていて、やるべきことをやっているつもりなんだけど…
というような小さなモヤモヤ感。実は結構多いのでは無いだろうか。
Posted by ブクログ
小説になる綺麗な話ばかりじゃないんだろうけど、
相手の人生を一緒に創れるって良い
これからの仕事がんばろう(2021,12.31)
24年3月
21年に読んだ際は気づかなかったけど、
この作者は実際に働いたことがあるのか?というくらいエージェントへの解像度が高くて
再読なのに圧倒された。
ひとりひとりの選択をささえる仕事、だけれども
ギリギリまで自分ごととして捉えていたい。
それが効率化には繋がらないとしても
私はそうしてたい。
入社日して2年、嫌になって伝書鳩になったときもあるけれど、表彰が狙いになってたこともあるけれど、そうじゃないよね。
Posted by ブクログ
転職エージェントで働く香澄、40歳。
夫の転勤、上司への不満、そして自分のこれから——。
日々、転職希望者に「あなたのご希望の条件は?」と問いかけながら、ふと自分自身に同じ質問を投げかける。
“理想の働き方”って、いったい何だろう。
誰かのキャリアを支えながら、迷いながらも前を向く香澄の再出発の物語。
Posted by ブクログ
転職エージェントに勤めるキャリアアドバイザーの女性。
転職の相談に乗りつつ自分の人生にも思い悩む。
私もソフィアにガツンと言ってもらいたい!!
Posted by ブクログ
これもドラマになりそうな(笑)
一昔前までは石の上にも三年と、転職なんてという時代が、
今はいろんな転職エージェントのTVCMがながれて。
そんなお仕事小説。
お金が絡むから儲け主義に走りたくなる営業に抗いながら丁寧に悩みながら主人公は奔走する。
私自身は決して居心地も待遇もよいとは言えない職場で長年働いていて、自分の意義もなにもない。手に職もないし、田舎だから転職も、簡単にはできないまま、それでも仕事一つ一つに楽しみを見つけて働き続けてるから、こんな無料の転職エージェントに、自分に何がむいているか聞いて貰いたくなるムズムズ感を、覚えながら読み進む。
どんな仕事だって楽な仕事はない。
新しい自分を見つけるため、意義を感じるためこんなエージェントがあってもいい。
香澄さんに、ちょっと背中を押された
Posted by ブクログ
転職エージェントのお仕事小説。
こんな素敵な転職ができるなら、私もしたいと思ってしまう。羨ましい。
主人公香澄の心の傷が少しずつ明らかになり、何?どういうこと?と、野次馬根性で読み進めてしまった。たしかに、12年も引きずるかなぁという気もするけれど。
数字が名字につく会員と、都道府県名の名字を持つエージェント。何かの意味があるのかな?
森へ連れてってくれるような友人も、羨ましいなぁ。香澄さんの人生、私はけっこう好きだな。
Posted by ブクログ
【仕事や人生の選択肢と決断】
転職エージェントとして働く40歳女性が主人公。
彼女が受け持つ様々なクライエント、そして彼女自身の人生の迷いと決断、みたいなところが描かれる。
一つ新鮮だったのが、転職エージェントさんと求職者が対面でやり取りしているところ。今だとオンライン、リモートが多いと思うけれど、その分、その関わり合いの濃さ、みたいなものが違ってきたりするのかも、と思った。直接目を合わせて会うことを何度か繰り返すと、一定のコミットメントみたいなものも生まれたり、それが実際にどこまでマッチングの成果につながるか分からないけれど。人生への影響という面では、やはり直接会って関わった人から受ける場合が多いと思う。
主人公は、過去のパートナーとの出来事があって、
うまくいかないと決めつけてないないけれど、腰が引けている。
必要とされることを期待しつつ、裏切りを恐れる。そんな心情は他人事でもない気がする。
いろいろな可能性を想像し、そしてその可能性を自分の決断で一つに絞る、という行為はキャリアだけじゃなくて、人生を進む中で付きまとう。
個人的に思ったこと。
人との関わり合いの中で成り立つものだから、どうなるかは決まっていない。
それでも不確定要素だらけの中で決断しないといけない。
悩みすぎても出てくる答えはないんじゃないかと思ってしまう。
二項対立で考えたら決められずに終わりそうなので、そこは完璧を求めないことが大事なのかも。
Posted by ブクログ
最近退職した身としては、なんだかブーメランのように刺さりました。
内容は転職紹介会社のキャリアアドバイザーの話なのですが、まあ悩んでる転職希望者の気持ちがわからなくもなさすぎて、、、、
会社の中ででてくるソフィアというAIシステム使ってみたい。
Posted by ブクログ
人材紹介会社でキャリアアドバイザーを務める女性の1年間を描く。
転職エージェントを扱ったお仕事小説としての側面と、人生の選択というヒューマンドラマとしての側面とを併せ持った作品で、1月〜12月の12話からなる。
* * * * *
人は誰も自分の適性を活かした職に就きたいと願うし、会社はどこもその職に適性のある人材を雇いたいと考えるものです。
だから転職を希望する人と必要とする人材を求める会社とを繋ぐ転職エージェントという職業は、社会にとって有意義な仕事だし小説のテーマとしても魅力的だと思います。
主人公の千葉香澄は人材紹介会社ピタキャリアのキャリアアドバイザーです。
香澄は28歳のときに系列会社の結婚相談所ピタマリーから異動してきて今年で12年目を迎える女性です。
転職といっても、人によって理由はさまざまです。
本作に登場するクライアントでも、
「キャリアアップを目指したい」
「やりたい職種に就きたい」
などの攻めたものや、
「ブラック体質の職場を辞めたい」
「勤務先が倒産した」
などの背水の陣的なもののほか、遠隔地への転居に伴うものまで、バラエティに富んだ事情が描かれていました。
そして岐路に立たされた人たちの真剣さもよく伝わってきたし、そんなクライアント1人ひとりに寄り添うように親身になってアドバイスする香澄の姿にはおおいに好感が持てました。
だから、少し淡々とした展開ではありましたが、お仕事小説としてはよい出来だったと思います。
一方、香澄という不惑を迎えた女性の人生の選択を描いた点では、少し中途半端だったような気がします。
27歳で夫の不貞を知り、離婚。
この選択は正解だと思います。あの夫なら仕方ありません。
なのに、いつまでもそのトラウマを引きずり、私生活が歪になったままであるのはいただけない気がします。
なぜなら、人生の新たな一歩を後押しする職にある者としては似つかわしくないでしょうし、離婚した人間にはふさわしくないとの理由で結婚相談員の職を辞した人物と同一とは思えないからです。
12年という歳月は決して短くないはずで、仮にその時間を以ってしても心を癒せずにいるのなら、そんな香澄の内面をもっと掘り下げて欲しいとも思いました。
巨大企業からの依頼で十和田のヘッドハンティングに関わった香澄が、今度はその十和田からヘッドハンティングされるというクライマックスシーン。
この場面は少し盛り上がりましたが、結末は予想したとおりであり、余韻を感じるほどでもなく物足りなさが残りました。
1年間を12ヶ月に区切って描く必要があったのかなあという気がします。