あらすじ
ニュースで虐待死事件が報じられるたびに、人々は親の鬼畜ぶりに怒り、児童相談所や教育委員会、学校の手落ちを批判する。しかし私たちは、児童虐待に4種類あることすら知らない。なぜ「虐待」や「育児困難」は増えるのか。どうすれば子どもたちを救えるのか。市井の人々のドラマを描きつづける著者が、リアルな事案24例を多面的に掘り下げ、社会病理の構造を浮き彫りにする。
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Posted by ブクログ
これの反対に「育てられない父親たち」が読みたくなっ た。育てられない母親よりも相当な数がいると思うので。
両親揃ってまともに子育てしてれば虐待なんてそもそも起こらないと思う。作者が取材した養護施設に預けられてる子供が全員片親なことが現実なように。
元々生来の気質から「死にたい」と精神的に弱っているケース以外は救いようがあるけど、これは救いようがないのかなと思ってしまった。実親がどんなに頑張ろうとその方の精神は一向に病み続けているらしいので。
Posted by ブクログ
教育者を目指しており、子どもが抱える様々な問題について理解を深めたく、こちらを購入。
事例を中心に書かれていることから、想像しやすくとても読みやすかった。心が痛み、涙が出た場面もあった。
虐待は決して許されない。しかし、育てられない親がいるというのは現実かなり多く、ニュースでもよく見かける。
教育者を目指す上で、そのような環境下の子どもの変化にいち早く気づき、関係機関と連携をとり、子どもを危険から救いたい。
虐待される子どもがどのような感情を抱き、どれほど傷ついているのか、私は体験していないから分からない点がほとんどだ。でも、子どもの話をよく聞き、寄り添い、自分にできることは全力でしたいと改めて感じた。
この世に生まれてくる子どもたち全員が安心してのびのび生きていくことのできる環境であってほしいし、救うことのできる日本になってほしいと心から思う。
Posted by ブクログ
虐待や育児放棄に至る原因はひとつではない。
収入の不安定・病気・障害・親も被虐待児だったために問題に対処する能力の欠落など。ゆえに支援しきれない。
また、施設に入った子の年齢により親に対する思いが違ってくるというのもあるらしい。
外国籍の親と言葉が通じない、というのもショッキングだった。
それほどコミュニケーションを取っていないということだ。
また性行為により誰かに求められる喜びを初めて知りのめりこんでしまい、結果望まぬ妊娠につながることもある。
避妊手術を受けられる、というのも支援の中にあっていいて思う。
Posted by ブクログ
子どもを虐待した母親たちの24のエピソード。始めのミュンヒハウゼン症候群以外の人は、母親以前に人としてダメな人ばかり。でもその人たちもこの社会の中での被害者であることが多い。負の連鎖。
他の本(確か熊本のコウノトリ揺かごに関する本)で、日本では児童養護施設に預けても、親と連絡が取れていたり、いつか迎えに来るという意思があれば、特養にはできないとあった。実際に迎えに来ることは少なく、子どもは愛情不十分のまま施設で過ごし、社会に出て行く。本書ではある施設では卒業していった子たちでしっかり仕事をして連絡が取れている人はほんの数人と書いてある。要は、施設を出たほとんどの子は裏社会、夜の世界へと行っている、と。
世の中には説得しても響かない人、そもそも何らかの障害を抱えていて人を育て上げることができない人がいる。そういう人たちでも人間の3大欲求である性欲は普通にあり、また避妊に対する知識が無かったり、性暴力によって子どもができてしまったりする。産まれた子どもたちが少しでも幸せになれる社会を大人は考えなければならない。
Posted by ブクログ
育てられない母親がいても、育てられる父親がいれば、不幸にも命を落とす子供は少なくなるだろうなあ、と感じる。
「babyぽけっと」の活動は素晴らしいものだと思うし、特別養子縁組のシステムはもっともっと普及していって欲しいとは思う。
私にとって子育ては苦行の部分もあったし、そうでない部分もあった。
苦行でしかない時期もあったし、そうでない時期もあった。
なるようになる、どうにかなると、どうしてもっと早く対策しなかったの、どうして誰かに相談しなかったの、がない交ぜになるのが子育てのように思う。
どうやっても、この環境では健全な子育ては無理だ、という事態はあるのだということをこの本は教えてくれる。
親なら子供のためにどんなことでも我慢できるだろう?という常識が、どれほど人によって違うか、考えたことはあるだろうか。常日頃、考えてきたことがはっきりと、言語化されるように感じた。