【感想・ネタバレ】ヘレン・ケラーの日記――サリヴァン先生との死別から初来日までのレビュー

あらすじ

サリヴァン先生の死後、ヘレン・ケラーはそのショックからどのよう立ち直ったか。日々、世界中から届く手紙にどう対応していたか。
レーニンに対する共感やナチス・ドイツとの確執、日本の軍部批判など、日々の暮らしと思想の源泉を知ることができる日記の初翻訳。

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Posted by ブクログ

純粋な日記ではない。出版目的で書かれた「旅日記」である。
1936年10月20日、サリヴァン先生が亡くなった。その2週間後、ヘレンは、先生ゆかりの地をめぐる旅に出る。投宿先のホテルで、あるいは船上で、タイプライターを打って、その旅の様子と心に去来するものを綴った。
期間は1936年11月4日から37年4月14日。イングランド、スコットランド、フランス、そしてアメリカを経由してホノルルへ。ヘレンは50代半ばだった。
日記は、日本(横浜港)到着の前日で終わっている。この続きを読んでみたいところだが、それはおそらく存在しない。出版計画に入っていなかったのと、書くだけの時間もなかったからだ。日本では、上陸するや、休む間もなく、講演会と歓待の嵐が待ち構えていた(どんな芸能人よりも忙しかったはずだ)。ただし、太平洋の船上にあって、これから訪れる日本への思いは綴られている。
訳者は、ヘレンについての著作や訳書のある山崎邦夫先生。90歳を過ぎてからのすぐれた訳業。執念を感じる。

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2025年05月08日

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