あらすじ
――このつらい前世の記憶を残してまで、君は何を望んでいた?
――前世も今世も私の望みは一つだけ。あなたを愛し、愛され、共に幸せになりたい!
伯爵令嬢のカンナはある日、前世の恐ろしい記憶を思い出す。
あまりの罪の意識から何年も自分の殻に閉じこもり、社交界デビューも断り続け「結婚もしない。修道院で一生を終えたい」と周囲に話しては心配されていた。
私は恋などしてはならない。愛される資格はない…。
ある日、2つ下の幼馴染であるウィリアムの社交界デビューのパートナーとして自分もデビューしなければならなくなる。ウィリアムの立場をつぶす訳にもいかず、舞踏会に出るが…。
不思議な声の導き、再開した幼馴染のウィリアムの優しさに触れ、かたくなったカンナの心の殻は徐々に溶け始める。
果たして、前世で犯した罪とは…。
「小説家になろう」で人気の作家・三沢ケイが描く、殻に閉じこもった一人の少女の生死を超えた愛と心の成長の物語。
『前世の罪と今世の罰』
感情タグBEST3
匿名
いいお話
三沢ケイ先生のお話はいつも読んだ後、爽快感と幸せな気持ちに包まれるものばかりです。こちらもそうでした。主人公のカンナが幸せになってからも自分には自信がないのか、ウィルを第一に考えていつも行動しているところなど可愛いです。
転生モノでも同じ舞台での生まれ変わりのお話。しなやかで、美しく賢かった過去世で実らなかった初恋を踏み越えて新しい愛を手に入れようとしたところで、醜い嫉妬の餌食になってしまった過去から乗り越えて過去の恋人との相愛を手にしてゆく物語。少し、言い回しがまだるっこしい部分はありますがスンナリと読めました。審判の間で次世への希望を聞いてもらえるのはいいですね。楽しめました。
映画みたいなお話
最初から最後までほぼハラハラしており、読み終えたら長い映画を観終えた気持ちになりました。
結局アーロンの記憶は戻らないままで終わったけど、そこがまたよかったです。
物語の布石が最後にきれいに回収されて、それぞれが幸せでホッとしました。
アニエスの死因が分かるところはすごくドキドキしましたし、分かった時にはなんてこった、という気分に。
そしていい人だと信じていた侯爵夫妻がとんでもないイヤなヤツらでまたびっくり。
鼻フック喰らわしたい気持ちでいっぱいでした。
あと地味によかったのはガイド。
素敵だった…。
いいお話でした。ありがとうございました。
二人が幸せになれて良かった
スフィア様ね・・・いますね、こういう人。いい人なんかじゃないんですよ、悪い人じゃないんだけどね~の部類。悪意のない悪い人。一見、良い人に見えるから、一番厄介なタイプ。そしてエド。カンナは、貴族社会で生きるにはこれくらいのしたたかさがないと・・・みたいに許容する感じだったけど。確かに貴族社会を生きるには狡猾さやしたたかさも必要悪だろう。けど、一流の紳士であろうとするならば、相手の女性を利用してたにしろ、それを悟らせないように後腐れ無く、きれいに縁を切り、その後のフォローもしっかり、が当たり前じゃないかな?そんなエドも、そこまで惚れるような男なんかじゃない。この二人の悪さにかなり引いた。
カンナが前世の記憶を持ってることはみんなには説明してないのかな?まぁ、それがバレてしまうとウィルが気の毒だから、黙っておくのが一番かも。前世で最愛の女性にひどい仕打ちをした人たちから自分が生まれてきた、なんて、どこをどうやっても嫌悪感を抱かざるを得ないもんね。
にしても、けっこうカンナがかなりの意固地というか頑固で視野が狭くて。本当のことに気付くまで時間がかかったけど。カンナとウィルが幸せになれたならそれで良かったのかなと思う。