あらすじ
AI医師は患者の「ズキズキ痛む」と「ジンジン痛む」を判別できるのか? 「認知症・がん治療薬の開発」「AIが誤診したら誰が責任をとるのか」「介護AIは患者に寄り添えるか」―最新の研究成果から、医療・介護とAIの将来を精緻に予測する。
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Posted by ブクログ
AIは医療と相性が良く、今後急速に進歩し、医療従事者も患者も大きな恩恵を受けることになる。それは診断や治療領域だけでなく、看取りなどの人生の終焉にまで及ぶだろう、というテーマ。以下、トピック。
診療ガイドラインというものがあり、日本では国際ガイドラインを日本版ガイドラインとして調整して利用している。様々な診療情報を組み合わせて診断を判断するためのもの。年配の医師より若い医師、また地方より都市部の方が活用されており、AIが診断するための土台になると考えられる。
ガイドラインにない希少な疾患の診断も人間よりAIに分がある。多くの医師が診ているのはいわゆるよくある病気で、診たことのない病気の診断は難しいが、AIは過去のビッグデータに基づいて見落としなく病名のリストを提示できる。
マルチモーダルAI診断システム。画像、文字情報、音声、数値といった複数の情報源を統合的に分析すること。
日本の医療ビッグデータは、プライバシーへの配慮から患者の収入などの経済的な情報との結びつきがない。このようなデータの収集や解析には大きな可能性がある。
増大し続ける日本の医療費削減のポイントをいくつか
・風邪症状の治療に費やされている医療費、年間550億円。保険適用のため社会保障費から支払われる。
・ドラッグストアで購入し後から確定申告して戻ってくるOTC薬、普及していない。
・GLP-1受容体作動薬は、食欲抑制により血糖コントロールできる糖尿病治療薬だが、美容目的の痩せ薬として使用されるようになり、本来必要とされる患者への供給が問題になっている。保険適用の線引きも課題。
・オンライン診療は現在の制度では医療費削減に直結する。医療の質を担保しつつ患者の安全を最優先にする運用検討が求められる。LINEプラットフォームを活用する事例あり。
・デジタル治療アプリの活用。
・風邪や打撲など緊急性がない症状で救急車を使うケース。2023年に救急車で搬送された傷病者は
664万人、うち約半数の322万人は軽傷者だった。松坂市は市内3基幹病院に救急搬送された患者のうち、入院に至らなかった軽症患者から一人あたり7700円を徴収することにし、救急利用が20%削減された。
介護現場でのロボット活用が試みられている。介護ロボットは誰かの負担を軽くする存在であるべきだし、医療DXは業務を機械化することが目的ではなく、人が人として向き合える時間を取り戻す事にあるべき。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者についての現状や、眼球以外動かせない状況になった方が執筆された本などの紹介。いつか読む。