あらすじ
既存メディア(新聞、テレビ、雑誌など)の外側に、今、広大なビジネスチャンスが姿を現しはじめた。たとえばネット利用者の行動データから、「BMWを購入している人の約半数が、1週間以内に花を買っている」というデータが得られる。つまり生花店は、クルマの購入者にアプローチすれば、今までにない効率的な広告活動が可能になるのだ。
新たな世界ではじまっている新しいルール。それに気付けるかどうかが、次世代の生き残り戦略になる。2014年のメディアビジネスの姿はどのような変貌を遂げるのか?
アメリカでは今後4年間に、スマートフォン、タブレット、スマートテレビを含めて、4億台のデジタル機器が普及する。これを誰がどのようにビジネス化するのか。その熾烈な戦いが繰り広げられている。最先端の海外メディア事情をもとに、メディアビジネスの未来を予測する。
メディアからコンテンツビジネス、表現論までも含めて、この先数年間の変化を描ききった意欲作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
個人的には今後の広告ビジネスがどう展開していくのかが非常に的確にまとめられているように感じた。属性データではなく行動データを買って、それを広告ビジネスに紐づけるスタイルが今後は主流になる、というのは確かにその通りだと感じると共に、その広告が身の回りにあるデジタル機器とどのようにリンクされるのかを考えさせられる一冊。
Posted by ブクログ
アメリカの主にテレビメディアと日本のそれとの比較。
これからは
映像コンテンツは有料化になる傾向が強くなり
インターネット内の人と人のコミュニケーションに関わるコンテンツ(Skype、チャットなど)は無料化となり、それはアドテクノロジーなどによる広告によって収益を確保。
日本のマスコミはまさに過渡期であり、
これからの方向性はアメリカのそれを参考にしていくべきであるとのこと。
そして、ソーシャルメディアの影響でマスコミメディア、コンテンツのあり方が変わり、それにより、受け手である私たちの考え方もより自律的になると、国の在り方に変化が出てくるのではないかと結ばれていた。
Posted by ブクログ
メディアビジネスとコンテンツビジネスは全く異なるビジネスで、その峻別をしないといけないというが本書の重要な指摘事項。
その上で、インターネットの時代には、テレビのメディアとしての相対的な価値が低下するということと、コンテンツの売上単価が下がるという不可避的に起こることにどう対応するのかが課題となる。一方、コンテンツを作成する仕事については儲かるかどうかは別として今後増大する。映像クリエータは必要とされ生き残る。ただし、バリューチェーンの再編が必要だろう。
「テレビメーカーの将来はIT企業を含めたデジタル機器の普及とともにあるでしょうし、メディアの将来はネットフリックスやソーシャルメディアまで、その領域に入れて考える必要があるでしょう」(p.33)といった指摘も当然だ。
同じ著者の『ネットテレビの衝撃』、『明日のテレビ』と同様、本書も先に進むアメリカや欧州の情報源として有益だ。例えばウルトラバイオレットの背景と動向や、映画やテレビ番組の統合的なデータベース化のためにROVI社が2010年10月に結成したEIDR(Entertainment ID Registry)の情報なども参考になる。売却のうわさもあって決して大成功というわけではないが、Huluの有料化も大きな出来事のひとつだ。Netflixの失策もあり、先に事態が進んでいるアメリカでもまだまだ動きがありそうだ。
またメディアビジネスとしては、アドテクノロジーが大きな影響を持つだろうと指摘している。将来、そのために必要な行動データに価値が出てくるとしている。技術はユーザの行動データを取得して解析できるようになった。この技術の、サービスと経済に与える具体的な影響の射程を測る必要があるだろう。
本書は次のようなセンテンスで締められている。
「メディア、コミュニケーションビジネスは融合し、インフラ、ソーシャルメディア、有料コンテンツのプラットフォーム、コンテンツメーカーという4者に再構成されるでしょう。ですから今から10年後の未来は、過去の改善では捉えきれない非連続な未来です。その未来を見据えるには、より大きな視点で社会を捉えなおす必要があるのです」
具体的には自分の頭で考えよ、ということだな。
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P.237のメトカフの法則に言及した箇所での説明は全然間違っているからね。
「電話線は、利用者が2人のときは1本ですが、4人になると6本必要になりますね。このように、利用者が増えれば増えるほど、インフラの建設費や保守費が増えるという理屈です」
Posted by ブクログ
志村さんの新著。コミュニケーションは無料、コンテンツは有料の流れに対応できるかどうか。日本の事例がほとんど書かれていないので、ロジックを当てはめて考えてみたいです。
Posted by ブクログ
今後メディアビジネスはどうなるか?
→メディアの将来はネットフリックスやソーシャルメディアまで考える必要がある
コミュニケーションと一般的な情報コンテンツは無料化されて広告モデルとして運用され、高度なエンターテイメントだけが有料化されていく
Posted by ブクログ
「コミュニケーション」と「コンテンツ」の定義さえ使い分けられない(IT関連企業に従事しない)我々のような一市民にとっては、情報のボリュームが多かった。十分消化しきれないままになんとか読み終えた。半年読むのが早かったかなという気がした。
ただ、現在世の中で起きている事象はきっと本書に書かれているような変化なのだと思う。これから10年、30年後を見据えた時に、これからのトレンドや変化の方向性について、知っておくべき情報が得られた。
・コミュニケーションとコンテンツ
インターネット上の情報は、通話やメール、チャットや検索した言葉や何を買ったかなど、人が発するコミュニケーションと、映画や小説、ニュースなどの情報やエンターテイメントのコンテンツに分けられます。
・コミュニケーション用のサービスはどんどん無料化されます。
・では、どうやってコミュニケーションをビジネス化するのか?という問いへの答えが、アドテクノロジーです。
・フェイスブックやグーグルがやろうとしていることは、日々の会話やチャットに残される行動ニーズをくみ取り、関連情報を配信する広告ビジネスなのです。
・これからのインターネットビジネスでは、コミュニケーションと一般的な情報コンテンツは無料化されて広告モデルとして運営され、高度なエンターテイメントだけが有料化されるでしょう。
・これは、コンテンツ周辺で広告ビジネスをしていたメディアの出番が減り、通信キャリアの役割はインフラのみに再構築されることを意味するでしょう。
・「これからの広告ビジネスは、顧客デーtあではなく、行動データがキーポイントである。」
・グーグルは、居間のテレビでいえば、世界標準のリモコンを作ってビジネスしているようなものです。
・インターネットビジネスは、現状の課題はすぐに世界の何処かから解決ツールが発表されます。つまり、現状から予測する未来よりも、自分の理想を掲げてその解決策を考えるほうが正しいのです。
・そして、世界中の知見を集め再配分するという理想を続けるためのビジネスが、コンテンツでなくテクノロジーで人を集め、広告枠は分散させるというグーグルのアイデアなのでしょう。
・アドテクノロジーの世界は、最後にアドクスチェンジと行動データ分析、それにコンテンツを作る企業、この3つに集約されるでしょう。
・日本のテレビ局は、ガッチリと壊れない体制のなかで腕を磨いてきた職人なのです。その意味では、技術力は高いでしょうが、その体制が壊れたときに自分の腕はそのままでは生かせません。
・インターネット後に起きていることに、日本がうまく対応できていないのは、ゲームのルールが変わってしまったからです。
・それがソーシャルメディアの影響で国の在り方に変化が出てくるのではないか?というのが、この本でいちばん言いたかったことです。
・ソーシャルメディアがコミュニケーションと無料のコンテンツを担うときに、受けての私たちは、今までよりも自律的な存在になるはずです。
・メディア、コミュニケーションビジネスは融合し、インフラ、ソーシャルメディア、有料コンテンツのプラットフォーム、コンテンツメーカーという4者に再構成されるでしょう。
Posted by ブクログ
メディアビジネスとかメディアマーケティングとかの概略を知りたい人,または今後の方向性などを知るのには手っ取り早い本だと思う。若干路線は違うが,宇野さんとか東さんとか濱野さんの本を読んだことがある人にとっては,あまり新しい知見は得られないかもしれない。
Posted by ブクログ
「メディアの信用は、何が保証するのか?」という節が、特に印象に残っている。
ソーシャルメディア勃興以前の「正しい情報を貰って」「自分で判断する」という姿勢はもう通用しなくて、「何が正しいか」をまず判断することが必要な時代になっているということ。
あとメディアビジネスとコンテンツビジネスは、分けて考える。改めてそう書かれると、確かにそうだなと。
メディア、コンテンツ、ソーシャル、アドテクノロジー、スマートテレビなどについて、それぞれ書かれているが、何となく書籍全体を通しての統一感が無かったのが少し残念。
Posted by ブクログ
アメリカの事例が延々と紹介されているページが大半ですこし期待外れ。一方で、今後のインターネットビジネスについてコミュニケーションと一般的な情報コンテンツが無料化されて広告モデルに、高度なエンタメだけが有料化されると。これによりコンテンツの周辺で広告ビジネスをしていたメディアは出番が減り、通信キャリアの役割はインフラのみに再構築されると著者は言う。さらにWEBを介した広告ビジネスで価値を持つのは、メディア枠から行動データに変わると指摘するのが面白い。