【感想・ネタバレ】産声が消えていくのレビュー

あらすじ

現場の医師が綴った迫真のサスペンス、待望の電子化! 〈24時間対応〉〈いかなる患者も断わらずに診る〉という診療方針を掲げる希望会総合病院。医療関係者からは異端と見られ、ハードな研修制度で知られるこの病院に、志あふれる産婦人科医・菊池堅一は入職した。しかし現実は甘くなかった。慢性的医師不足、過重労働、そして理不尽な医療訴訟。過酷な労働環境は、精神的にも肉体的にも菊池を疲弊させていく。そして、降りかかった予想外の事件。入院患者の分娩中に救急産婦の治療が重なり、生まれた新生児に障害を残してしまったのだ。人手のない夜勤中での出来事だったが、菊池は適切な医療措置を怠ったとして、巨額の賠償金支払いを求める訴訟を起こされる。はたして菊池に過失はあったのか? 最前線で奮闘する現役医師が、現代日本の医療崩壊の実態をあますところなく描いた渾身作!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

奇をてらうわけではなく、切実に産婦人科医療の現状を語りかける小説。
産婦人科医の著者だからこそ書けるリアリティが満載だ。

医療現場において「if」は360度広がっていて正解がない。だからこそ医者は身を削って奮闘してくれているのだ。恋人との時間も精神も肉体も全て削ぎ落として、その先になにがあるのかというと、終わりはない。
主人公の菊池のように第一線で活躍したいというプライドと、医者としての救済心から突き進んでいくだけなんだろうと思う。これはどんな仕事にも言えることかもしれないけれど。

11月に出産したばかりだったので、産婦人科に興味を持ち手に取った本書。
母子ともに健康で出産できたことは当たり前なんかじゃないということ。
医者と助産師への感謝の気持ちがわき起こりました。

菊池先生、結婚と再就職おめでとう。
これからも時間に追われる日々だと思いますが、どうかご自愛のうえ邁進してくださいね。

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2019年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

裏表紙などには「サスペンス」と書かれていますが、本作はどちらかといえば「お仕事小説」じゃないでしょうか。

確かに、導入部は医療裁判の様相を呈していて、その先には医療事故の真偽をめぐる患者側と病院側の争いや、事実の隠蔽といった怪しい行為があるのだろうと期待させられるものでした。

けれどその先にあった内容は、超ブラック企業的な病院の実態と、激務という言葉すら生ぬるい職場環境に押しつぶされていく医師と看護師の様子。

現役医師という著者が「現場の実態を知ってもらいたい。理解してもらいたい」という想いを込めまくって医療現場の実態を描いた小説という印象だったため、サスペンスというよりお仕事小説と感じた次第。

期待していた内容と違っていたので、その点では肩透かしを食らった感はあります。ただ、内容自体は同情と共感を誘う興味深いものではありました。

0
2018年07月11日

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