あらすじ
”ある日、トラウマが落ちてきた”。少年は愛する人を失った。そしてまた、彼は失う。――野呂 雅史の母親は彼が中学2年生の時に自殺をした。その事件を境に生きる事に対して鈍感になってしまった”ノロ”。夏休みを間近に控えたある日、小学生の頃からの親友・音成 晶はノロから一本の電話を受ける。珍しい呼び出しにアキラがノロの部屋へと駆けつけると、そこには全身火傷の少女が横たわっていた──。
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るい活。映画みたい。
生きることに鈍感.な野呂と、気づきが早くて生きていくのに真っ当な考えをもった(でいいのか?)音成。
野呂の濃くて狭い世界。自分の力で立てなくてはいけないし、そうでなければ失ったとき立てなくなりそうで怖い。それを2度も大きく影響を受けるものから経験している野呂。あんな虚脱後からも人は起き上がれるんですね。
なんでそんな簡単に全てを持ってかれてしまうんだ、と言う言葉。そうなんだけど、その感覚が普通なのかとハッとさせられる。狭くなってる時に思い出した方がいいな。音成くんがAIロボで近くにいてほしい。
高松作品の原点
スキップとローファーが良いので、初期の作品も読もうと別会社の作品も買いました。
こちらはSF仕立ての作品ですが、やはり作風等は一貫されています。野呂君も家庭が機能不全となり、母の自死もあって中卒で働いているという辛い立場で独り暮らしなので……主人公も同情しているから友人としての付き合いが続いているのではないにしても、友人の再びの喪失と別れはちょっとアキラ君にもこたえたのかも知れません。
裸の女の子が全身火傷からあっさり治っていく過程も不思議ですが、彼女(アメコと名付けられる)の保護者?とおぼしき男女お2人、ちょっと明らかにずれているところもあって、その正体に納得するところはありました。
助けた女の子との別れがかなり呆気ない割に、最後にある救い(中学時代の回想がきっちり伏線となってうる)には少し、希望が持てそうなので、この終わり方で良いのでしょう。
作者の力を改めて実感する佳作でした。