【感想・ネタバレ】かんもくって何なの!? しゃべれない日々を脱け出た私のレビュー

あらすじ

周りにわかってもらえず、ただただ辛かった子ども時代、克服しようとして反動に苦しんだ学生時代。そして、ある出会いをきっかけに、かんもくとつきあえるようになるまでを、当事者本人がコミック化しました!

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Posted by ブクログ

 苦しい思いを漫画にしてくれた作者に感謝の意と拍手を送りたい。この本はかんもく症が主題だが、同時に子どもを取り巻く日本の様々な問題が浮き彫りにされている。例えば大人しい子をないがしろにする学校、機能不全家庭で苦しむ子ども達を助ける第三者による支援体制がほとんど整っていない社会(なぜ児童心理士など専門職の人が学校に常駐していないのか。電話で相談してくださいと手紙が配られても、大事になることを恐れ、電話する子はほとんどいないのでは)、親が自身の行動、子育てを問題だと気づく機会がないこと、子どもへの暴力(言葉の暴力も含む)が許されている社会(子どもなんて叩いていいのよ、という発言を冗談まじりに言う大人が多くいる)、若い女の子への性的ないたずらを大したことのないこと、女の子が我慢すればいいだけの話と許容する社会。
 学校にかんもく症のことを理解し、適切なサポートをできる専門職の人がいたら、作者はこんなに苦しい思いをせずに済んだのではないか。静かな子はないがしろにしてよい弱者と無意識的に考えてしまっている教育者が多いのではないか。教師への啓蒙も必要だ。どうして子どもの自尊心を傷つけ、苦しめる親に、それは間違っています、子どもは苦しんでいますとまわりの大人(特に専門の知識を持っている人)が指導できる場がないのだろう。それで傷つけられて苦しむのは子どもだ。どうして子どもの心、人権について、社会全体がもっとわがこととして考えないのか。専門知識を持つ人達を子どものまわりに常勤でもっと配置して、苦しんでいる子どもへのサポートを日常的にできる体制を整えるべきだと思った。なぜ常勤の専門職を配備しないのだろう。なぜ日本は知識を尊ばないのだろう。労働者が知識を身につけ、学び、考えながら意志をもって働ける社会をつくっていかなくてはならない。知識を持っていない人が支援を自身の個人的な経験、推測に基づいて行い、常勤で十分な給与をもらっているわけじゃないからこれでいいでしょ、と捉える空気が多くの施設に漂っているのではないか。
 作者はしゃべれるようにはなったけれど、これでハッピーエンドとは言えないだろう。機能不全家族との関係はこれからも続くし、人生の様々なステージで家族との記憶がよみがえるのかもしれない。これからも描き続けてほしい。専門家による解説がついているところもよかった。作者の伝えたいという思いが詰まった大切な作品。全ての人に読んでほしい。特に子どもにかかわっている人は必読だろう。

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2017年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

場面緘黙について書かれたコミックエッセイです。
自分も軽度の場面緘黙があるのでとても共感できましたし、自分だけじゃないんだという安心感も得られました。
この本をきっかけにもっと緘黙の認知が広がっていくのだと思うと、著者の方には感謝と尊敬の気持ちしかありません。

(著者は家庭環境が原因の全てではないとおっしゃっていますが)小さい頃に虐待やいじめを受けていてだんだん喋れなくなっていく場面があって読むのが辛かったです。
最後は前向きな形で終わっているのが救いでした。

私も、「うん」か「ううん」で答えられる質問の形にしてくれるのはとてもありがたいです。
ただ「うん」と答えたつもりなのに「ううん」だと勘違いされてしまうことがあります。
訂正すらすることが難しい時もあるので、自分の考えていることが(どんなに些細でも)伝わらない、逆の意味で解釈される、というのは尾を引いてモヤモヤします…。
この辛さは意図を汲んでくれない相手に対する嫌悪よりも、みんなは当たり前にできているのに自分はちょっとした返事すらも上手くできないのかという自己否定が強いです。
本書には緘黙を否定するのではなくて受け入れていくこと、自分のペースでゆっくり向き合っていくことが大切だよというメッセージが込められていて、救われた気持ちになりました。
出会えて良かった一冊です。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

こころの病は目に見えない。
昔『絶望名言』という本の中で、
「気の持ちようで、骨はすぐつながるよって言う人はいないんですけど、内臓とかは(中略)なんか精神力で治せるような気にもなってしまうんですね。」という記述があった。
こころもまさにそうだ。
教師や上司は適切な発言や意見が出せない人を怠惰や無知ととらえて、叱ったり能力が低いと判断したりするのはなかなか改善しないだろう。

しゃべれないのは甘えや怠惰ではない人がいる。
本人のせいではない。
親の育て方のせいでもない。
そういうケースは病名を付けて親や教師や周りの人が少しでも適切に対応できるようにしていかないと。

著者はこんなにシビアな環境で育ってきたにもかかわらず自らの症状に向かい合い、言語化し分析して改善に向けて努力してこんな本まで作り上げてしまって本当にすごい。
同じ症状の人をどれだけ勇気づけるか。それと同時にこの緘黙症の認知を広げる大きな役割を果たしている。
心から応援したい。

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

緘黙当事者によるコミックエッセイ。
他の方のコミックエッセイを先に読んだので、これが2冊目。
機能不全家族のことも描かれる。なかなか重い話。
買ってから半年ほど経って、ようやく読み始めた。
読み出すと止まらない。一気に1日で読んだ。

緘黙に対する理解が広まることを、心から願います。

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2018年06月30日

Posted by ブクログ

アメさんの辛い歴史が本当に辛くて、どうにか現在に繋げてくれたことが本当に強くて素晴らしい。緘黙の子にどういうサポートができるか知りたい。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

職場の先輩から貸していただいた一冊。

勤務地が変わりかかわる子どもが変わったことでよく耳にするようになった「場面緘黙」
大学で多少勉強はしていたが、実際に現場で場面緘黙(のような)状態の子どもとかかわる中で改めて勉強する必要性を感じた。
本書は漫画形式で、著者のモリナガアメさんの実体験をもとに描かれている。正直心が痛むような描写もあったが、非常にリアルで場面緘黙とはどのようなものかを知るきっかけになった。

支援者として何ができるか、そのために何をすべきかを考えることができた。

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2022年05月01日

Posted by ブクログ

緘黙よりも家庭環境のほうに目が行ってしまった。だが、緘黙以外にもたくさんの困難を抱えている子供がいるという事実は、考えてみれば当たり前のことだ。
幼少期のことからここまで迫った筆者に感服する。

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2019年02月19日

Posted by ブクログ

マンガで読みやすい。
緘黙の子の特性、接し方を知るために。
どんな関わり方がいいかはそれぞれ違うと思うけれど、

1 うん、ううん、で返事できる質問を投げる
2 紙に書く
3 みんなと違ってよい、ということを発信していく

いろんな子がいる前提でやってみるって大事だよなあ
その子にあった接し方を考えたい

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2019年01月25日

Posted by ブクログ

小中学校の図書室におくべき。(幼稚園も先生たちに読んで知ってほしい)

ただ残念なのが「緘黙」かも?って思っても周りがどう対処、改善すればいいのかまでは書かれていないところです。(その場合はクリニックに行くしかないですね…)

「しゃべらない」でのはなく「しゃべれない」子がいることの理解が広まればと思います。

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2017年08月24日

Posted by ブクログ

特にしゃべれるようになってからの、作者の心情が興味深かった。
しゃべれるようになったから解決、では全然ない。

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2023年06月25日

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