【感想・ネタバレ】積立投資のすべて ──誰にでも始めやすい富裕の王道を徹底研究のレビュー

あらすじ

目先の下落は怖いが(←積立ならむしろ大歓迎)
10年先の成長は信じている投資家必読の一冊
通常の投資では、保有する金融商品の価格が買ったときよりも下落していれば、
嫌な気分になるだろう。価値が下がり、“損”が出ているのだから当然だ。

しかし、月収の一部で買い続けるだけの「積立投資」なら、必ずしもそうではない。
むしろ相場がどんなに暴落しようが、たとえ元の値段に戻らなくても、
「ある水準」に戻れば大丈夫という安心感があるのだ。

本書では「ドルコスト平均法」とも呼ばれ、
富裕者の正攻法とされているこの投資スタイルの性質と活用法を
多角的な分析で浮き彫りにする。

古くて新しい投資の王道
「積立」の知られざる特徴を体系的に徹底究明
積立投資とは、定期的に、ある金融商品に、一定金額の投資を、長期に続ける方法である。例えば、毎月、株価指数に連動する投資信託に、3万円の投資を、10年間継続するというものだ。

一般には「ドルコスト平均法」と呼ばれる。確定拠出年金(日本版401k)の広がり(徐々にだが)や、投資信託にかかる手数料の低下、世界的な株価下落を受けて、近年注目されている投資スタイルだ。

次のことが当てはまる人に、積立投資は一考の価値があるだろう。

・投資に興味はあるが、よく分からないし、損が怖い
・手元にまとまったお金はないが、定期収入はある
・目先、下落するかもしれないが、10年後の世界経済には楽観的だ
・老後のことも少しは考えておきたい

その理由は、本書が論理的かつ詳細に解説してくれる。

もちろん、いつでも“万能”の投資法があるわけではない。積立投資にもデメリットはある。それも本書で再三指摘されているところだ。

メリットもデメリットも理解することで、適切な対処法、利用法が見えてくる。また本書でも触れられているように、それを補完する方法もある。

目先の下げにうろたえて、積立を途中であきらめてしまう投資家は多い。しかし、 本書を読めば、投資対象の将来的な成長に確信があるかぎり、この下げはむしろ“バーゲンチャンス”であり、歓迎すべきことであると分かるだろう。歴史を見るかぎり、たとえ日本株のバブル絶頂期に積立を始めたとしても黒字化の機会が何度もあるのだ。

最近では、長期投資家だけでなく、FXや先物のトレーダーのなかにも積立に関心をもつ人がいる。運用手段の分散化、ヘッジのひとつとなり得るからだ。しかも、一度設定してしまえば、管理に頭を使う必要がほとんどない。さらには、トレードの主な“軍資金”がすでに貯め込んだ「まとまったお金」であるのに対して、積立投資の軍資金は月給の一部など「これから受け取るお金」であり、種類が違う。

このように“全投資家必修”ともいえる積立投資の知られざる魅力を本書から理解し、長期的な資産形成に役立ててほしい。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルの通り、「積立投資」についての解説書です。「これを読めば『儲かる積立投資』の方法がわかる」というものではありません。

説明しつくされている「一括投資」ではない「積立投資」と言うモノについて、どういった性質のものであるのか、様々な面から検証しています。一般に流れている楽観的/希望的観測の入った情報とはまた違った面が見えると思います。良い面と悪い面をしっかりと説明しており、非常に良い本だと思います。



書籍の前半は、前書「半値になっても儲かる「つみたて」投資」でも書かれている、積立投資のメリット面が主に書かれていますね。(1~4章)

後半からは、他の積立投資の本とは違った側面を様々な点から述べています。

「積立投資は黒字化しやすい」のは、前書でも述べられていましたが、「積立投資は赤字化しやすい」点にも触れられています。また、「終わりが重要」である点は一括投資と同じであり、積立投資期間の最後に大きく下落した場合、大きな損失が出やすい面もしっかり触れています。

そして極めつけ(?)は、それほど大儲け出来る投資法ではない点についてしっかり書かれていました。大損をし辛い投資法だ、ということですね。

また、将来に資金を用意するためにいくら積み立てれば良いのかの検証もなされています。積立投資だけでしっかり資産形成を行うのはハードルが高いようです。本書では、積立投資だけでなく、ボーナス時の投資を併用する等の手法を提示しています。 (当然、何に積み立てるか? はありますが)積立投資だけで、老後が万事解決・バラ色の結果が待っている訳ではない事がわかります。

最後の総括では、「積立投資の提案書」の案が載っていました。一括投資用の情報提示(基準価格チャート・騰落率など)ではなく、積立投資用の情報提示(積み立てた場合の結果など)もしてはどうか? と触れられていますが、これは僕も非常に欲しい情報ですね。よく、基準価格の上がった下がったを聞きますが、一括と積立では実際の着地点は違うわけで、そのあたりのパフォーマンスは知りたいな、と思っています。(ベンチマークへの積立パフォーマンスとの比較等、知りたいですね)



デメリット面にもしっかり触れられていますし、そこを中心にレビューしたので、このレビューだけを見ると、「積立投資があまり良いもの無いのでは?」と感じる人がいるかもしれません。が、当然、黒字化しやすかったり、心理的に安心出来る効果など、前書・本書の前半で述べられているメリット部分も当然あるので、人の感性によるのかもしれません。

どちらかというと、良い悪いというより、将来に誤解による想定外の結果を生まないためにも、「自分の行なっている投資手法の性質」というものをしっかり知った上で投資するのが大事と思います。そういう点で、一度読んでみる価値はあると思います。良書です。



ちなみに、P326にて、月1,000円での資産形成は難しい点が述べられていますが、これは完全同意ですね。金額が低いと入りやすいのはそうですが、それだけで資産を形成しても、さほどメリットが無いと感じます。(裏を返せば、一般市場でも最初は無料等でハードルを低くし、それからロックインするのは商品販売の戦略の一つとも思いますし)

お金がない人・リスク資産や経済を勉強するために、まずちょっとやってみると言う点では月1,000円は良いのかもしれませんが、月1,000円を積立(30年で36万円)した所で、一生を考えた上で、あまり役に立つとは思えません。(以前に述べたかもしれませんが、1,000円から積立の大きなメリットは細かな積立配分が可能になる点だと思います)

リスク資産である程度値動きがあることを知ったら、後は将来の資産形成に向けて本格的・現実的な拠出を考えるべきと思います(保留の場合は、預貯金への積立でも良いと思います)

0
2012年01月07日

「ビジネス・経済」ランキング