あらすじ
緊急出版
安倍元首相の死からわずか3年
なぜ自民党はかくも凋落したのか?
長らく日本を支配してきた自民党政治が揺らぎつつある。参院選の結果を受けて、今後の政治状況はどう変わっていくのか? 第一線で活躍してきた政治ジャーナリストが混迷を続ける政治状況を読み解く「政治ミステリー」
「戦後レジーム」の破壊の先に待ち受ける未来とは
本書の内容
はじめに
第1章 安倍晋三の「遺産」
第2章 「新たな保守」の正体
第3章 戦後レジームと岸信介
第4章 保守本流の崩壊
第5章 アベノミクスと奇跡の復活
第6章 歪められた言語空間
第7章 保守の終焉
終章 「戦争実感」の喪失と「行き過ぎ」への警鐘
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Posted by ブクログ
タイトルからしてリベラルの自民党批判本かと思いきや、「保守本流」〜「右派ポピュリズム」に至るまでの自民党保守の歴史と、成果・問題点がまとめられていて、大変勉強になった。安倍イズムを継承する高市氏が総理となった今、広く読まれるべき新書である。
Posted by ブクログ
戦後の自民党政治の潮流を概観できる本。
保守本流→平和主義、軽武装、対米協調の吉田ドクトリン。根底には悲惨な戦争を実体験から二度と起こさせないという反戦思想がある。
保守本流を自認する宏池会の岸田氏が、いとも簡単に反撃能力を認め、安保政策を大転換させるに至るまでの大きな流れ、これが自壊といわれる過程なんだろうか。
保守本流がバラマキ以上の有効打が出せないまま衰退し、著者が異形の保守と形容する新しい保守が、右派ポピュリズムと結びついて台頭してきている。
保守本流の凋落は小沢氏の政治改革に始まり、小泉構造改革、安倍長期政権で決定的になったとの評価。そして、安倍氏の功罪に触れながら、政治のモラルハザードともいえる事態、そして財政規律の崩壊による国債による防衛費の調達に警鐘をならす。
著者の憂いも理解する。戦後保守本流の反戦への思いも大切にしたい。
ロシアや中国が脅威を増す中、現実的な防衛は当然議論されるべきだが、根底に反戦への思いや、軍事費への抑制的な運用も忘れてはならないと思う。
Posted by ブクログ
第二次安倍政権以降、自民党が支持を失った要因を、90年代以降の「保守本流」の崩壊に求め、今後の日本政治の指針を示した意欲作。
軽軍備経済重視の吉田茂の系譜に連なる「保守本流」の意義を問い直し、現代政治に活かす重要性が理解出来た。バラマキポピュリズムや右派ポピュリズムとは本質的に相容れないものであり、如何にこれらのポピュリズムに頼らず、政治を行うかが肝要である。
また、財政規律の意義を反戦に見出した点が白眉である。財政論は、経済合理性や道義的責任の観点から語られやすい。しかし、かつて軍部が軍事国債の発行を迫って財政に介入し、軍事費の際限の無い肥大化を招いたことを鑑みると、財政規律のもう一つの側面が見えてくる。軍事と公債は表裏一体であるという教訓を忘れず、政治家は財政に向き合う必要があると言える。