あらすじ
「私、タトゥーイストになりたい」。
母の肌に彫られたタトゥーの美しさに魅せられ、同じ道を志した針生榴。
厳しい修行を積み重ねてタトゥーイストとなった榴だが、ある事件を機に母と決裂してしまう。
辛く苦しい別れを乗り越えタトゥーショップを開いた榴だが、慣れない経営者の仕事に弟子との対立、そして世間からの偏見の眼差しに晒されるうちに、本来の自分がわからなくなってしまい……。
「魂がもとめるものを、なかったことにできない」。
タトゥーイストとして生きる榴が辿り着いた答えとは。静かに情熱が燃え上がるヒューマンドラマ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タトゥーイストというマイナーな道をひたすら突き進む主人公の女性
育ての母のタトゥーを見て幼少期から、タトゥーに魅せられた主人公は、差別や偏見の中、困難に真っ向から立ち向かって行く
周りの人たちに助けられながら、1番身近な夫とはすれ違ってしまい、最愛の息子にも上手く愛情を注げなくなってしまう
それでも母や職場の仲間の助けにより、闇を抜け出し、また新しい一歩を踏み出していく
読み終わって勇気をもらえる作品だった
Posted by ブクログ
ものすごく好きな作品でした。
私自身、タトゥーを入れてるわけではありません。入れたいなという気持ちはあるけど、
温泉入らなくなったら困るなあ…などデメリットに対する考えがまだあるからです。
しかし現実では少しずつ温泉に入れるか入れないか問題も変化してきている。
これは榴のような人々が、啓蒙活動を行ったり、タトゥー=嫌な人とならないような行動をしてくれたおかげなのでしょう。
物語の中で、榴はファーストペンギンだったのですね。
実際に調べてみたところ、2023年ごろから安全管理のガイドライン案ができていたり、厚労省による「アートメイクの取扱い」に関する通知が出ている。やはりどこかに榴のような人物がいて、丁寧な活動をされたのかなと思いました。
ここまでいうと、榴はものすごく逞しく強い人に聞こえるけれど、実際そういうわけではなく
他の人と同じように柔く脆い部分もある。
母親との関係、子供との関係、夫との関係。
その都度悩み、考え進み、自分にタトゥーを刻む。まるで自分自身で、自分の魂を修復しているかのようでした。そんなことができるのは、タトゥーイストだけでしょう。
私も榴に会いたい、榴になら入れてもらいたいそう思えるような人物でした。
タトゥーはちょっと…と思う人にこそ読んでみてほしいと思いました。タトゥーに対しての考えが変わるでしょう。反対にタトゥー入れたい!と思っている人がいれる前にも読んでみてほしい。安易に入れようとせず、いれる覚悟を持って、絶対にこの人に…!と心の底から思う人を探したくなる気がします。