あらすじ
座敷童、河童、雪女、鬼、神隠し――誰もが知る伝承にまつわる五つの怪異譚。それは、常識を遥かに超えた、おぞましい現実だった。一度でもそれに関わってしまったが最後、決して逃れることはできない。本書で語られる体験談は、あなたを民俗伝承の底知れぬ闇へと引きずり込む。知ってはいけない、見てはいけない。だが、もう読む前のあなたには戻れない――。伝承は警告する。決して深入りしてはならない領域があると。
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Posted by ブクログ
三津田信三さんの小説ということなので、「ホラー」に分類したが、「民俗学」分類に登録したいくらいの作品。短編の冒頭にその妖怪の三津田さん自身の解釈と民俗学の面からの妖怪や怪異に対する解説がでてくるのだが、河童の解説のところで、建築物を作るときに使役した人形が河童の由来と言われている説に触れたとき、私は小松和彦先生が責任編集した「怪異の民俗学シリーズ」の「河童」を思いだしたのだが、最後の参考文献で同書籍はもちろん、他3つ同じシリーズが挙げられていてあのすごくピンときた感覚は間違いなかったことを確認した。
短編ながらその話も怪異の話としては十分ば量で、世界に入り込むことができた。世界観としては「白女」がすごく好きで、参考にされた少年伐採夫の記録の本も読んでみようと思った。「獺淵の記憶」は河童の民俗学ネタがふんだんに使われており、尻子玉の話、女好きなことなど伝わっている要素をさまざま織り込んでいて、そこが結構興奮した。純粋な恐怖は「蓑着て笠着て来るものは」。これはタイトルからしてもう怖かった。これも民俗学の本をただ読むだけではなく、何冊もいろんなものを読んで知識を自分のものにした著者だからこそかけたものと思う。神様か、鬼か、夜のシーンも、定番だけどそれだけに情景が目に眼に浮かんで怖い。それでいうと「なぜかいるもの」の最初の怪異にあったキャンプ場での話、特に逃げ込んだバンガローに近づいてくるところはドクドクしながら読んだ。「やがて神隠し」の話を読みながら話の真相に気づいた時もハッとしてページを戻って確認した。最近の三津田先生の作品の中ではかなり満足度の高い作品でした。