あらすじ
山で暮らす人々に起こった悲劇や不条理、山の神の嫁入りや神隠しなどの怪奇談、「天狗」や「山男」などにまつわる人々の宗教生活などを、実地をもって精細に例証し、透徹した視点で綴る柳田民俗学の代表作。
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Posted by ブクログ
サンカとかもそうだと思うんだけど、山人というのが近現代まではいたらしい。そういった人たちの伝説とかを蒐集し分析し、結論としては先住民なのではないかという話。
柳田國男さんの他の作品を読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
柳田國男の研究、論文については後続の学者達に批判されることが多いが、(多くの人が評価しているように)柳田國男がその分野(民俗学であったり山人であったり)にスポットライトをあて研究対象と初めてしたことから「ああでもない」「こうでもない」と議論されるようになったと感じるので批判=間違ったこと言ってた人、と思われないでほしいなと思う。最初は何事も「仮説」から始めると思う。
山にまつわるカテゴリとして、山に迷い込んで住んだもとは平地で暮らしていた人のこと、山で生計を立てていた人、同じ人間だけど別世界として暮らしており「神隠し」する人、神様あるいはそれと同等のもの(妖怪、鬼含む)と並べて総合的にまとめているのが面白く感じた。こういうことを一つ一つ研究していくことが差別(という言葉を使うと陳腐に感じられるかもしれないが)や歴史の誤解を解き、現在をいかに見据えるかという力がついていくのでは、気づきを得られるのではと思った。
印象的だったこと
子どもの小さいうちにすぐ立って歩けるようになったことや、生まれたときに歯が生えている子供を鬼の子などいうことがあるが、忌み嫌われていたのかと思っていたが、金太郎の伝説や、山姥からオツクネを拾って鬼の子が生まれたという伝説からは、かつてそのような子供を欲しがる社会があったという考察。凡人にそのような子が生まれたのは良すぎてしまうという解釈。英雄偉人には優れた伝説がありながら普通の人の家に生まれることは許されなかった、凡庸でなければならなかったという解釈。恐れながら(あるいは嫉妬から?)普通以上の才能やスペックに恵まれた子供は鬼や妖怪の産物、なるほど日本人らしい解釈かも。実はそういう存在をひそかに望んでいたからめぐりめぐってこのような伝説になったというのはすごくしっくりきて、目が開けたような思いだった。
かな山の役人と称した鬼の子を孕んで生まれた子が祖父母に惨殺された話、現在鍛冶の家が尊敬され、子供が生まれると必ずかなくそをもらってきて煎じて飲むをいう話から金属が非常に強大だった時代、昔は大切にされた地方の紙が妖怪変化の類に変じてしまったという話。なぜこのように退治される対象になるのかというにはこのようにかつて強大であったという経緯があるのだなあと思った。