あらすじ
柳田国男が、日本の各地を渡り歩き見聞した怪異伝承を集め、編纂した妖怪入門書。現代の妖怪研究の第一人者・小松和彦氏が最新の研究成果を活かし、原典に当たり、詳細な注と解説を入れた決定版。
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Posted by ブクログ
たぶんこれは、日本における「妖怪」に関する知の、黎明を告げる書物なのだろう。もちろん『雨月物語』など怪異譚はあったが、民俗現象として本書は「妖怪」を対象化し、各地のヴァージョンをまとめていくことにより、具体的な妖怪のイメージを提示した。そこから泉鏡花も、水木しげるもやってきたのに違いない。
柳田国男の論理形式は相変わらず、首をかしげざるを得ないような飛躍を含んでいるが、全国各地の地誌を収集して「民俗学」という知のカテゴリへと上昇させた業績は大きい。
Posted by ブクログ
妖怪、すなわちお化けの話。人を恨んで出る幽霊と違って、お化けは人を驚かせることが目的らしい。夜が本当に暗かった時代の夕暮れの心細さ。大きなくぼ地を、だいだらぼっちの尻もちの跡だと説明した人びとの想像力。日本人が自然に対して持っていた、畏れと愛着を垣間見ることができる。和紙のような装丁は大竹尚貴+鈴木久美さん。