あらすじ
江戸時代に生きてきた先祖は、未舗装の道路を空調機代わりにしていたり、着古したゆかたを、おむつまで使い尽くしたりと、身の回りのものを有効利用していた。石油や自動車を使う現代人は、楽な生活を手にした。が、果たしてこのまま科学が発達しさえすればいいのか。物質社会のいまだからこそ、必読の書。(講談社文庫)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「化石燃料大量使用のヨーロッパ文明・自然征服型文明」から、「太陽エネルギーだけで生きる生活・完全な循環型社会」への方向転換を江戸時代の例証をもとに訴える。
●化石燃料に大きく依存した現在の便利な生活は間違っている。
人力は食料をエネルギーとしているが、江戸時代においてそれは太陽エネルギーと同義。江戸・大坂といった都市でも飲み水として使われた川の水。重要な肥料として回収される人糞。・・・かつての日本は持続可能な完全循環型社会の先進国だった。・・・
江戸時代において、人件費は太陽エネルギーという資本(が元となる食料)なので安い。太陽エネルギー以外に投入できるものがないから、人は骨惜しみせず働く(エゴが少ない)。大量生産はできないので、ものを大切にする。
現代において、人件費には化石燃料にかかる費用が加算される。その上化石燃料エネルギーを投入すれば大量生産できるので、人は楽をしたがる。化石燃料確保を求めた収奪が国家レベルで始まる。消費社会となり物は使い捨てになる。
江戸時代を知る事によって、気づきにくい現代の弊害(人間のエゴ―エネルギー問題―環境汚染・人への汚染)の仕組みを考えさせられる。
江戸時代の日本は持続可能な完全循環型社会の先進国だった・・・植物国家/太陽の国ニッポンを見直す一冊。