あらすじ
経営者必読!
地場産業を活性化させるブランディング戦略
倒産寸前の豆腐屋を立て直す
「豆腐屋ブランディング」ストーリー
日本の食卓に欠かせない「豆腐」――高タンパク・低脂肪でヘルシー、しかも低価格で手に入る豆腐は、日常的な食品として多くの人々に親しまれています。
しかし、日本人にとって身近な食品である豆腐を作り続けてきた豆腐屋が、今厳しい現実に直面しています。かつて全国に5万軒以上あった豆腐屋は、いまや5000軒を切るほどまでに減少しており、今後さらに減少することは避けられないだろうといわれています。
その背景には、豆腐という商材の扱いにくさがあります。原料や製法がシンプルで差別化が難しく、さらに賞味期限の短さから流通の幅が限られ、価格競争にも巻き込まれやすい……。豆腐屋はまさに「典型的な薄利多売型ビジネス」といえ、採算を確保できなくなった多くの豆腐屋が廃業に追い込まれているのです。
こうした苦しい環境のなかで、著者は倒産寸前だった実家の豆腐屋を立て直し、わずか数年で業界内でも注目される存在へと成長させました。売上は約9倍に増加し、地域でもトップクラスの豆腐メーカーへと躍進。その原動力となったのは、豆腐という商材に「ブランド価値」を持たせるという大胆な戦略でした。地元の原料を活かし、地域性の高い商品づくりに特化。さらに、スーパーなどの卸売りに頼らず、自社店舗や通信販売を強化することで独自の販路を確立しました。「佐嘉平川屋」への屋号の変更や統一感のあるパッケージ、建築家によるこだわりの店舗デザインにより、豆腐を“地域の誇り”へと昇華させたのです。
本書では、著者が行ってきた「豆腐屋ブランディング」の全貌を、具体的な戦略とともに詳しく紹介します。
地元の産業を守りたいと願う人や、地域ビジネスに挑む人々にとって、実践に役立つヒントと具体的な行動指針を示す一冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ブランディングによって活路を見出し、独自のポジションを築いて、売上も9倍に伸ばすことができた。
たとえ難しい商材である豆腐であっても、正しいアプローチと覚悟ある取り組みによって、未来を切り拓くことはできる。
物事を俯瞰して捉える力を養えたこと
もうひとつが「ストレス耐性」
極めて多忙な日々の中で、強いプレッシャーを感じながら仕事に取り組むことで、自分がどの程度の負荷に耐えられるのか、その限界を知ることができた。
安売りはよくないという信念
安さに頼る商売に未来はない
この考え方をまさに経営の核として受け継ぎました。
低価格・低利益率に甘んじることなく、価値に見合う価格で売れる商品をつくることが、私たちの生きる道だと確信したのです。
単なる価格競争に巻き込まれることなく、商品の価値を自ら高め、それにふさわしい価格を提示できる体制を築くこと、その方針に従って、私は経営の立て直しに邁進していったのです。
「本物」と評価されるためのブランディングに着手
人気ブランドの魅力を語る際、しばしば耳にするのが「本物のクオリティー」、「本物のおいしさ」、「本物のサービス」「本物の証し」といった言葉です。
たとえ「本物」とは何かを明確に定義できなかったとしても、この「本物」と呼ぶべき価値が、消費者からの信頼や指示を集めていることは確かです。
そして、「本物」と評価されるためには、それに見合う説得力のある中身が不可欠です。もちろん、これは小手先の工夫や演出でどうにかなるものではありません。ブランドの価値を着実に高めていくには、時間をかけてでも本物を育てあげる覚悟が求められます。
機械を稼働させるための安売りは避ける
設備投資において私が大切にしている考えの一つに全ての機会を無理に稼働させようとしないというものがあります。
機械を導入した以上、それを常時動かすことが効率的であり、投資の回収に繋がるというのは一見正しいように見えますが、それが安売りの引き金になるのであれば、本末転倒です。
例えば、なんらかの事情で受注が減り、機械の一部が遊んでしまう状況があったとします。そうしたとき、「空いてる機械を活用するために安価な商品をつくって販売する」という判断をしてしまうと、自社のブランドの価値を損ねかねません。
もちろん、設備が稼働してない状態が続けば、投資は無駄になってしまいます。
しかし、私たちは「安さで勝負しない」という方針を徹底しているため、時には稼働しない機械がある状態を許容することも必要だと考えてます。
これは単なる「瘦せ我慢」ではなく、ブランド価値を重視する企業としての戦略的判断です。需要の少ない時期に無理をせず、品質や価格の軸をぶれさせないことで、ブランドの信頼を維持してきたのです。