ブランディングによって活路を見出し、独自のポジションを築いて、売上も9倍に伸ばすことができた。
たとえ難しい商材である豆腐であっても、正しいアプローチと覚悟ある取り組みによって、未来を切り拓くことはできる。
物事を俯瞰して捉える力を養えたこと
もうひとつが「ストレス耐性」
極めて多忙な日々の中で、強いプレッシャーを感じながら仕事に取り組むことで、自分がどの程度の負荷に耐えられるのか、その限界を知ることができた。
安売りはよくないという信念
安さに頼る商売に未来はない
この考え方をまさに経営の核として受け継ぎました。
低価格・低利益率に甘んじることなく、価値に見合う価格で売れる商品をつくることが、私たちの生きる道だと確信したのです。
単なる価格競争に巻き込まれることなく、商品の価値を自ら高め、それにふさわしい価格を提示できる体制を築くこと、その方針に従って、私は経営の立て直しに邁進していったのです。
「本物」と評価されるためのブランディングに着手
人気ブランドの魅力を語る際、しばしば耳にするのが「本物のクオリティー」、「本物のおいしさ」、「本物のサービス」「本物の証し」といった言葉です。
たとえ「本物」とは何かを明確に定義できなかったとしても、この「本物」と呼ぶべき価値が、消費者からの信頼や指示を集めていることは確かです。
そして、「本物」と評価されるためには、それに見合う説得力のある中身が不可欠です。もちろん、これは小手先の工夫や演出でどうにかなるものではありません。ブランドの価値を着実に高めていくには、時間をかけてでも本物を育てあげる覚悟が求められます。
機械を稼働させるための安売りは避ける
設備投資において私が大切にしている考えの一つに全ての機会を無理に稼働させようとしないというものがあります。
機械を導入した以上、それを常時動かすことが効率的であり、投資の回収に繋がるというのは一見正しいように見えますが、それが安売りの引き金になるのであれば、本末転倒です。
例えば、なんらかの事情で受注が減り、機械の一部が遊んでしまう状況があったとします。そうしたとき、「空いてる機械を活用するために安価な商品をつくって販売する」という判断をしてしまうと、自社のブランドの価値を損ねかねません。
もちろん、設備が稼働してない状態が続けば、投資は無駄になってしまいます。
しかし、私たちは「安さで勝負しない」という方針を徹底しているため、時には稼働しない機械がある状態を許容することも必要だと考えてます。
これは単なる「瘦せ我慢」ではなく、ブランド価値を重視する企業としての戦略的判断です。需要の少ない時期に無理をせず、品質や価格の軸をぶれさせないことで、ブランドの信頼を維持してきたのです。