あらすじ
文化が違えば人の考え方も変わる.では,文化の違いはどこから生まれる? 文化はこころにどのような影響を与えている? 人類の歴史や地球の生態から,脳神経や遺伝情報まで,多様な知見を駆使して,人間のこころのメカニズムを解明する文化心理学.通俗的な偏見を退け,多様性の本質を捉える最先端の試みを紹介する.
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Posted by ブクログ
人の性格や気質は,環境の影響を受けます。もちろん生まれながらの特性もありますが,周りからの影響は避けられません。それが特定の文化圏から来るものであれば,「~人はXXXである」という言説を生むわけです。よく,欧米圏は個人主義でアジア圏は集団主義などと言われますが,そのような物言いをすれば,それぞれの文化圏の人たちの気質や行動パターンの典型的な描写となります。それが本書のタイトル『文化が違えば, 心も違う?』が表していることだと,少なくとも私は理解しました。まあ,当たり前のことですよね。
ただ,本書はそんな当たり前のレベルにとどまらず,文化心理学と称されるこの分野について,具体的な研究成果を語ってくれます。
私が面白いと思った点の一つは研究手法が現代的であることです。この種の分野で一般的に想起されるアンケート研究だけでなく,認知心理学でよく用いられる行動実験や脳波を使った研究なども紹介されます。
また,研究結果から示される,各文化圏の性格・気質の違いを,稲作や麦作などの長い歴史の中で培われた生活様式の違いと紐づけて論じたり,個人間の遺伝子的な相違によって環境の刺激からの感受性が異なり,それが行動の違いになっていく,といった遺伝子的レベルでの議論が行われている点も面白いと思いました。
本書では,文化圏を以下の6つに分類しています。欧米,サブサハラ・アフリカ,中東・北アフリカ,ラテンアメリカ,南アジア,東アジアです。面白いのは欧米,つまり西洋の個人主義的文化が最も遅く発達したということであり,個人主義文化は非西洋文化で重視されてきた行動特性が近代西洋において再解釈された結果であるという見方をしていることです。