●数万年の生態学的背景に基づく多様な文化こそが多様な「心」を創り出すというダイナミズムを提示する文化心理学の本。
●文化が心に与える影響って何だろう? 文化を取っ払ったところに人類の「共通基盤」はあるのか?→複合的な条件によって形成された文化が、それぞれの地域の心のありようを決めるということを理解した。
●これまでの心理学は、欧米の大学生などをモデルにした「普遍的な人間像」を作り上げてきた。しかし著者は、「普遍的なのは、人間が環境に適応して心を形作る『プロセス』そのものであり、その結果として現れる『心のありよう』は多様であって当然だ」と説く。これが本書の核心だ。特に、ボブ・ディランの歌詞「Let others do for you」に「(人から親切を)引き出す」という能動的な社会性を見出す分析は、日本語の「親切にしてもらう」という受動的な感覚とは異なっていて、「文化が心を作っている」ことを実感させるエピソードだと感じた。しかしながら、馴染みがない分野ゆえに、この本の結論が何なのか理解しそこねた。