【感想・ネタバレ】はじめの一歩を踏み出そう 成功する人たちの起業術のレビュー

あらすじ

著者は20年間にわたって、スモールビジネスを対象にした経営コンサルティング活動を行ってきた。アドバイスしてきた企業は25000社にも及ぶ。本書はその経験を生かし、職人の視点からスモールビジネスが失敗しがちな原因を分析。そのうえで、成功するためのノウハウを明かした本で、それが全米でもベストセラーになった大きな要因だろう。本書によると、米国では毎年百万人以上の人たちが会社を立ち上げる一方、1年目に40%、5年目で80%以上が姿を消しているという。その多くは「事業の中心となる専門的な能力があれば、事業を経営する能力は十分に備わっている」という誤った仮定で事業を始めるからだ。実際には専門的な仕事をこなすことと、事業を経営することは全く別の問題だと述べる。帳簿をつけたり、人を雇ったりと、これまでに経験がないような仕事がわき出してきて、本業に手が回らなくなる。そうならないためには、収益を生み出す事業を定型化して、パッケージにしてしまうことが大事だ。つまり、自分がいなくても、ほかの人が同じように事業を回せる仕組みをつくることだという。そして、「どうすれば、ほかの人に任せても、事業は成長するだろうか?」などの質問を投げかけ、目標設定や組織戦略、人材戦略など、具体的なノウハウを解説していく。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

将来起業を考えている人にとっては重要な指針となりえる良書だと思います。

 まず初めに、企業のほとんどが約1年で失敗(つまり倒産)している厳しい現実を紹介してくれます。
 そして、それ(失敗)がどのようにして起こったのか、その具体的な内容の例示から、本書は始まります。

 ここで述べられる失敗の状況を目の当たりにして、多くの人は(その身に覚えのある内容に)ハッ!とするのではないでしょうか。
(私もその一人なのですが。。。)
 夢や独創性のあるプロダクトを世に送り出したくて起業したにもかかわらず、繁忙と未分掌、そして社内動向の把握不能により、当初の目論見から外れた業務に時間を費やさざるを得なくなり、そうして起業家は仕事を恐れ、嫌になってしまう。その状況がリアルに脳裏に浮かんでしまい、起業家ではない私もその日の仕事が嫌になってしまいました。

 この状況に対する打開策として、著者はフランチャイズの仕組みを提案します。
 おそらく大部分の人がフランチャイズという響きにちょっとしたネガティブな印象を持っているのではないかと思います。
要するに効率を最重視したシステムではないか、と。

 しかし本書で紹介される印象的な一節があります。

**********
7時間もドライブを続けてぐったりとしていた私は、ふと通りかかったホテルに一泊することに決めた。
・・・「ようこそお越しくださいました」と受付は私を温かく迎えてくれた。
予約していなかったのにもかかわらず、ベルボーイが部屋に案内するまで3分足らずというスムーズな対応であった。

・・・私は部屋に通されてさらに驚いた。印象を一言でいえば、上品な豪華さというのだろうか。
石造りの暖炉には薪が準備されていて、火格子の下には丁寧にまかれた紙と、大きめのマッチが置かれ、まさに私が火をつけるのを待つばかりとなっていた。私はこのホテルを選んだ幸運を喜んだ。

・・・店(レストラン)は混雑していたが、私が名前を告げるとボーイはすぐにテーブルに案内してくれた。宿泊客を優先するのがルールらしく、受付の女性が気を聞かせてくれたおかげですぐにテーブルにつけたのである。

・・・レストランから戻る道にはもう冷たい夜気が満ちていた。「暖炉の火を起こして、寝る前にもう一杯ブランデーを飲もう」こんなことを考えながら小径を歩いていた。
しかし部屋に戻った私はまたもや驚かされた。暖炉の火は赤々と燃え、枕元にはミントが置かれていたのである。そしてベッド脇のナイトテーブルには1杯のブランデーが置かれてあった。

・・・翌朝、私は奇妙な音で目を覚ました。キッチンにおいてあったコーヒーメーカーがコーヒーを淹れ始めていた。そこに立てかけてあったカードにはこう書かれていた。
「あなたのお好きなブランドのコーヒーです。どうぞお楽しみください。」そういえば昨夜レストランで、どのブランドのコーヒーが好きか聞かれたのを思い出した。

・・・その時そっとドアをノックする音が聞こえた。人影はなかった。しかし絨毯の上に新聞が置いてあった。いつも読んでいるニューヨークタイムズである。

・・・その後私の泊まるたびに、素晴らしいサービスが繰り返された。
**********

 このような高級ホテルにも匹敵するような顧客満足の高いサービスが、じつはフランチャイズの方式で実現されているのです。
 つまり著者がフランチャイズ方式の採用で意図していることは、サービスの同質化であって「割り切り」ではないことがわかると思います。

 本書ではほかに、フランチャイズシステムを実際に運用するまでの手順を整理して記載しています。
 変な物語調のストーリー構成なのは、あちら(米国)さんのお約束なのでしょうが、起業を考えている人にとっては大変参考になる一冊なのではないでしょうか。

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2019年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良本です。段階的に成長していく企業の説明などがまとめてあります。

その中でも、お気に入りは。

フランチャイズに学ぶ「事業のパッケージ化」という考え方。

フランチャイズという制度は昔から存在していて、有名な商品を

一定のエリア内で取り扱う権利を売買するという仕組みは、

広大な米国市場で流通コストを抑えながら販売するのに優れた方法で、

コカ コーラなどが採用していた。

しかし、マクドナルドは発想の転換をして、フランチャイズを商標に限定せずに

事業を行うために必要な仕組みを全体に販売したのである。

マクドナルドのフランチャイズの考え方としては、誰でもハンバーガーが作れるような

仕組みが整っていること。

経営者が監督するもとで、アルバイトの高校生などでもテキパキと働くことが

できるという点である。

事業を拡大するにあたって、大事な判断以外はアルバイトなどで補うという

今では一般的な考え方ですが、昔はあまり馴染みがなかったのですね。。。

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2020年02月23日

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