あらすじ
コメ不足は予測できた。農業白書には「需要が供給を上回る」ことを明示したグラフさえ載っていた。それでもコメが消えたのは、需給をマッチングさせ価格を下げすぎないという、市場原理を無視した減反政策が続いているからだ。農相がパフォーマンスで価格介入したところで構造は変わらない。つまり、この人災はこれからも繰り返されるのだ。農業ジャーナリストが抉り出す「日本のコメ」の歪んだ現実。
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Posted by ブクログ
「コメ壊滅」と言い切ったタイトルが気に入って読み始めたが、「令和の米騒動」の真実を知り勉強になった。異常気象によるコメの不作が大きな要因だと思っていたが、長年による減反をはじめとした国の農業政策の失敗や、コメの不作を否定し続けてきた農林水産省の嘘による人災でもあると知って唖然。コメ好きゆえに近年の備蓄米放出を喜んでいた自分が浅はかだった。
農林水産省、JA、農林族の三すくみである「農業ムラ」というワードも初耳だったが、コメの出荷と価格調整が政治がらみになっているなんて消費者には怒りしかない話だが、年貢としてコメをお上に献上してきた歴史を振り返れば、そんなコメ事情も当たり前な気もする。ただし、現代は外食・中食産業にもコメ不足の影響を受けていて、その被害は甚大だ。
血税での補填で安価な備蓄米の放出とともに、カリフォルニア米をはじめとした輸入米の導入も家計を助けてくれているが、コメ不足の要因である「高温障害」「農家の高齢化」「コメ価格の高騰」を解決しないことには、家庭からコメが消えていくのも時間の問題かもしれない。
「ここまで問題が先延ばしされてきたのは、国民がコメ政策に対して無関心だったからでもあるのだ。」という著者からの結びの言葉に同感するものの、全体的に問題提議だけで終わってしまった感がする。具体的な対策案も提示してほしかった。紛争の絶えない世界情勢の中、年々増えている自然災害や高温障害の影響が続く我が国では、新政権での適切な政策を期待するばかりだ。