【感想・ネタバレ】GROWTH――「脱」でも「親」でもない新成長論のレビュー

あらすじ

バラク・オバマが選んだ2024年の必読書。「どんなタイプの経済成長を追求すべきか? 誰のためのものであるべきか?…こうした問題に関心をもつ人の必読書だ」――ダロン・アセモグル(MIT教授|2024年ノーベル経済学賞受賞)「成長についてのこれまでの考え方が疑われている現在、きわめて重要な書だ」――ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授)「経済成長の追求は、人類にとって新しく、不可思議で、しかも危険な活動だ。…成長のジレンマを何とかしなければならない、という認識自体は高まっているが、そのための具体案として現在最も影響力をもっているアイディア二つが、あまりにも当を得ていない。…そのうち一つは、ビジネスライクな提案で、GDPという尺度をうまく修正すればジレンマを解消できるとしている。だが、これは僕たちが直面している試練の性質を理解していない。…もう一つは、よりラディカルな提案で、経済成長を一時停止する、あるいは意図的に後退させることによってジレンマを解消できるとしているが、ジレンマの片方=その代償だけにフォーカスし、成長の約束を軽視している。…本書では別の対策を示した。この別案は、経済成長の要因に関する人類のささやかな理解、つまり経済成長のプロセスは、新しいアイディアの発見と、アイディアという特異な資産を経済的に使うことによって、促進される、という理解に根差している」(おわりに)未来を根っこから考える中庸の道。

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Posted by ブクログ

経済成長を主要政策目標としない。もっと、配分を重視し、不平等な結果を少しでも、なだらかなものにしていく事が必要なのだと思う。
やはり、資産課税を強化し、相続税を40%を下回る程度に引き上げるべきであろう。非上場株、不動産の評価の引き上げも必要だ。

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2026年05月25日

Posted by ブクログ

経済成長について長い時間軸で俯瞰的に論じています。まずは、それだけでも評価されるべきでしょう。

しかし、重要なのは今後についてです。その為には、(本は後ろから読めと言われるけれど)本書の場合は第V部(第10章、第11章)を読めばよいかもしれません。

経済成長とトレードオフにあるものは、平等だけでなく、環境問題、コミュニティの健全さ、政治システムの効力、働く生活の質などいろいろあります。このトレードオフを弱体化させる手段として、著者は新しいテクノロジーに期待を寄せます。しかし、それにも限界はある。そのとき、私達は受け止めて、どうするかを決めなくてはなりません。

そこに道徳的な2つの問いが立ちます。私達は何を大事にすべきか? 私達は未来に対してどれだけの責任を負うのか? 
そして私達が決める際に、広い形の集団的熟慮が必要であると著者は述べます。実際に、古代にあったミニ・パブリックスが既に試みられつつあり、著者は希望を抱いています。

脱成長派も親成長派も批判する著者の見解は、妥当なものに感じられました。彼の言う解決手段としてのミニ・パブリックスの試みが日本でもなされているのか、知りたいところです。

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2026年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

過去の学者の経済成長理論などに触れながら丁寧に議論を展開されているのでボリュームは多いが、経済成長とそれによって引き起こされるトレードオフについて、過去から現在にかけてどういう議論が、どのような出来事に伴ってされてきたかを丁寧にまとめられており、"成長"に関する人類史の全体像をとらえるうえで大変有益な一冊だと思う。

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2026年04月30日

Posted by ブクログ

産業革命から始まった経済成長、産業革命がイギリスで起こった理由、これからも持続的な成長が可能なのか、成長を否定するのはどのようなリスクがあるのか、など著者の考えていることを丁寧に解説した書籍。GDP偏重に異議を唱え、成長を手放すような論調も否定している。私はまだ十分には理解できていないのでさらに勉強が必要。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

著者と同じ問題意識を持っているし、話の進め方が上手いので一気に読んだ。経済成長について経済学者もよくわかってないとのこと。著者の成長のメカニズムの説明、なぜ世界は経済成長至上主義になったのかよく分かった。人類は分配が苦手。
最後の提案を楽しみに読んだが、まぁそうだよな、というところ。多くの脱成長の人も同じ感覚じゃないだろうか。代議制だと難しいなら市民の熟議しかない。読みかけのプルラリティを読まねば。
経済成長のメリットを無視してはいけない、とあるが、お金が滞らずに回ること、そして人々の好奇心を満たす新しい事物が生まれること、この2つが大事なんだろうと思う。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

●従来の経済成長を分析し、成長のジレンマを解消するための新たなアイデアを模索した本。
●経済成長のジレンマをいかに解消するか、その知見を学ぶ。→経済成長を最優先に追求するのではなく、価値ある別の目的の方向へ経済成長の舵取りを向けよう、という主張。
●経済成長か、それとも環境か」という二項対立に終止符を打つことを模索した一冊。本書は、経済成長そのものを自己目的化させてしまった現代社会の歪みと、それに対する「脱成長」という見当違いの自虐行為について、冷徹な批判を浴びせる。本書の主張で大切なのは、技術進歩の方向性は決して不可避な自然現象ではなく、税や補助金、法規制や社会規範によって人間が意図的に「方向づける」ことができるという指摘だと思う。放任された自由市場の価格メカニズムだけに委ねず、社会的価値と市場価値の乖離を埋める采配を振るうこと。それこそが環境破壊と成長の結びつきを断ち切る「グリーン・デカップリング」を実現し、人類が自らの意志で向かうべき未来を選択するための鍵なのだと著者は強く主張する。

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2026年08月23日

Posted by ブクログ

 もう一度整理してみよう。まず数学者たちは、人類がマルサスの罠を脱した経緯の概要を示している。人類は30万年にわたり、収穫逓減の呪いによって生存維持ぎりぎりの状態を続けていた。しかし新しい技術と、 それに伴う生産性向上が、収穫逓減の襲来を押し戻すことを、ソローースワン・モデルが説明した。ローマーがさらに一歩踏み込み、その技術進歩は先駆者たちが思っていたような数学的奇跡ではないと説明した。 アイディアという、特異な性質(非競合的で累積する)をもつ無形のものの発見によって、技術が進歩したのだ。


 ここであらためて考えてみたい。僕たちは近代の経済成長の始まりをどう理解すればいいか。経済成長の 「要因を語る最も優れた説明となるのは、モキイアの文化ファンダメンタリズムとローマーの数学的考察の他合ではないかと僕は考える。モキイアの説は、文化の変容が18世紀に人々を実用的アイディアの追求へと駆り立てたことを示している。そしてローマーのモデルが、それらのアイディアが経済成長に対して驚異的な影響をおよぼした理由を示している。この組み合わせ――「モキイア・ローマー・モデル」と呼ぶことにしよう――はさして意外性はないと思えるかもしれないが、驚くことに、これら二つの説を明確に結びつけている学者はほとんどいない。理由の一つは、経済学のさまざまな流派が、たとえ共通の関心事があったとしても、それぞれ孤立し分散していることだ。また別の理由として、つまらない個人的反感の表れでもある。
 たとえば経済成長を数学的に解明する流派の創始者であったソローは、文化のような非経済的要素で説明するという試みを「まったくの素人社会学」とはねつけた。その点ではモキイアも、経済成長に関する最も高い評価を受けた自著2冊のどちらにおいても、ローマーの研究に言及していない(ある批評家は「モキイアは経済学者の知識への関心の軌跡を細かくたどっているが、ローマーだけは例外で、いっさい取り上げられていない」と指摘した。しかし僕の考えでは明らかに、これらのアブローチを単独ではなく一つにまとめると、はるかにパワフルに、〈ロング・スタグネーション〉が終わりを迎えた理由を説明できる。
 もちろん異論はあるだろう。しかし僕の見る限り、モキイア・ローマー・モデルは、人類の過去について語り得る最も説得力ある説明だ。さらには未来に対するガイダンスとしても非常に役に立つ。モキイアが述べるとおり、近代の経済成長は産業的啓蒙主義で始まったが、彼が説明しているのは、実のところい回目の産業的啓蒙主義だった――人類が初めて、持続的な熱意と道徳的真剣さをもって、実用的なアイディアを追求していくことに本腰を入れた時代のことだ。経済的困難と不確実性の時代にある今、人類が直面している試練について考えるにあたっては、かつて発揮されたバイオニア精神をどうやってもう一度呼び起こすかという視点から考えることができるのではないか。今、2回目の産業的啓蒙主義を、かつてと同様の「できる」という感覚で起動するにはどうしたらいいのか。本書の後半でこのテーマに戻るつもりだ。だがその前に、経済成長が社会においてこれほど圧倒的優先事項になった経緯を調べていきたい。


 経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスは1950年代後半の著作で、「生産が重要であるという点は、 共和党も民主党も、右翼も左翼も、白人も黒人も、カトリックもプロテスタントにも違いはない」と書いた。
「共産党書記長にとっても、アメリカ民主化連盟の議長にとっても、アメリカ商工会議所の代表にとっても、 全国製造者協会の会長にとっても、共通の地盤だ」。ガルブレイスはこれを批判として書いていたし、彼は経済成長を優先事項とすることについて冷笑的だった。だが、これらの指摘は経済成長の多大なる実用的魅力をはっきりととらえ、浮き彫りにしている。これは「万国共通の魅力」をもったブロセスであり、分断された社会を団結させられる「見えない糊」であり、「優先事項の違いや・・・・・・集団間に生じる不愉快な選択を避ける、またはぼかしておく道」なのだ。政治リーダーたちが熱心に追い求めたのは当然のことだった。たとえばケネディ大統領は「上げ潮はすべての船を持ち上げる」という有名な表現を使って、この世界観をまさに正確に表現した。成長は社会に属する全員に利するものであり、それゆえに、ぜひ追い求めていくべきものというわけだ。


 しかし、経済成長の追求は具体的にどのように、これらの多様な問題の原因となっているのか? 本章では、その答えが技術に見つかるということを示したい。今の社会で選ばれ、開発・採用されてきた技術は、 経済成長を推進する力がある。前章までに見てきたとおり、持続的な技術進歩が〈ロング・スタグネーション〉の終焉をもたらし、近代の経済成長の開始を叶えた。そして人類の繁栄を示す指標のほぼすべてが上向いた。それこそが経済成長というものが差し出す約束だったのだ。だが、そうした上昇を維持するために僕たちが頼っている、まさにその同じ技術の数々が、経済成長を促すと同時に気候破壊、不平等拡大、雇用への脅威、政治の毀損、コミュニティ荒廃をもたらしている。こうした有害な影響全体が、僕たちが物質的繁栄のために支払っている代償だ。人類が作り出してしまった試練の根幹が技術であること、こうした技術に二面的な性質があることを理解して初めて、これらの問題に対処できずにきた経緯も見えてくる――そして、 未来のために何ができるのか学んでいくこともできる。


ふたたび、成長のジレンマについて
 これまで、ほとんどの社会が成長のジレンマに対して同じ反応をとってきた。さらなる経済成長を追求するのか、それとも人間が大事にする経済以外のものごとを守るのか、二つに一つだと迫られて、圧倒的に前者を選んできたのだ。本書で確認してきたとおり、20世紀初頭には、この選択を意図して選んでいると感じられていた。経済成長という新しい概念の約束は実際に叶えられつつあったし、わくわくするようなスピード感もあった。だが今日において、その選択は、むしろあきらめの行為に感じられる。成長のジレンマを何とか解消する方法はないものか、と想像力をめぐらせようとせず、多くの国が過去から引き継いできたアプローチ――ただただ同じような成長を同じように求め続ける―――にしがみつき、今回は何かうまいこと違うふうになるのではないかと希望的観測を抱いている。
 この第9章では、それとは別の道もありうると論じた。技術進歩の方向性を僕たちが形成できる、それに伴って経済成長の性質も変えていけるという発想は、1世紀にわたる知の変遷の果てに生まれてきたものだ。
 ここまでの章で見てきたとおり、経済成長に対する理解は1950年代に始まった。ソロー-スワン・モデルが、経済成長を生み出すカギは技術進歩だと示した。従来の資源利用では収穫逓減が生じるが、技術進歩だけは、その呪いに打ち勝てるのだと証明した。1990年代にはこの考えに進化があり、ボール・ローマ ―が、技術進歩で産出が増える理由を説明した。新たに生産性の高いアイディアを生み出すこと、そしてアイディアというものがもつ特異な性質を生かすことで、経済成長が促されるのだ。そして現在から20年ほど前に、この知はいっそう明確になった。人間は市場メカニズムから飛び出してきた技術を黙って受け入れるだけでなく、むしろ技術のあり方を決めていくことができるのだ、とダロン・アセモグルが明らかにしたからだ。そして何より今の僕たちにはわかっていることがある。経済成長を促す技術は必ず環境を破壊し、必ず不平等を広げ、必ず地域コミュニティを空洞化し、必ず自分たちでは制御できないテクノロジーに依存させるようになるという、そんな経済の法則は存在しない。経済成長に伴う有害な特徴の数々は、過去の技術的選択の結果なのだということが、今の僕たちにはわかっている。意図的であろうとなかろうと、そのとき目の前にあった具体的なインセンティブに反応して、それに沿った技術進歩が選ばれてきた結果なのだ。 とすると、勇気をもって大胆になる意欲が僕たちにあるならば、ここから僕たちが新たな任務を担っていけばいい。どれだけ成長したいかという決断だけでなく、どのような成長をしたいのかを決めていくのだ。次の章では、その具体的な方法を示していきたい。今直面しているトレードオフを、とりうる対策を、そして僕たちにつきつけられる道徳的問いを、正しく理解していくのである。

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2026年08月07日

Posted by ブクログ

経済成長は当たり前ではない。
むしろ人類史では“例外”だった。

『GROWTH』は、これまでの成長の前提を問い直し、
これから何を優先するべきかを考えさせる一冊。

成長か、それとも別の価値か。
そのトレードオフにどう向き合うかが問われている。

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2026年04月18日

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