【感想・ネタバレ】記憶するチューリップ、譲りあうヒマワリ 植物行動学のレビュー

あらすじ

《推薦》
養老孟司氏(解剖学者)
「生きることの本質を植物から学ぶ、植物学の最新の成果。非常に興味深い」

私たちはこれまで、植物を「受け身の存在」と見なしてきた。
動かず、しゃべらず、ただ生えているだけのもの。
だが近年の科学は、その前提を静かに覆している。

トマトは水分が不足すると音を出す。トウモロコシは虫に食べられると、その虫の天敵を呼ぶ。こうしたメカニズムは自然な現象か、あるいは植物が意図的に引き起こしているのか? 最新の植物行動学の見地から、生物の「知性」や「主体性」とはなにかに迫る!

 目も耳も脳もない彼らが、なぜそんなことを「知っている」のか?

「植物の生きかたは驚異的で、その限界がどこにあるのかを本当に知っている人は誰もいない」
──本書より

目次
プロローグ
第一章 植物の意識に関する疑問
第二章 科学界の意識はいかに変わるか
第三章 植物のコミュニケーション
第四章 鋭敏な感覚
第五章 耳を地面に当てて
第六章 (植物の)体は数を記録する
第七章 動物との会話
第八章 科学者とカメレオンつる
第九章 植物の社会生活
第一〇章 次世代への継承
第一一章 植物の未来
謝辞
訳者あとがき
原注
 

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Posted by ブクログ

ネタバレ

原題「The light eater」 に対する邦題が、「記憶するチューリップ、譲りあうヒマワリ」。
まず、邦題が素晴らしい!。

書かれている内容も、とても刺激的でした。
1970年代のベストセラーのせいで、植物の感覚や意識に関する研究が長らくタブーとなったこと、それでも、近年の研究からわかったこと。
植物は物理的接触を感じており、音を聞き、光から周囲を伺うことができるのみならず、近くの植物と自分の遺伝的関係もわかる、それら外部情報を得て、自分(根と枝先)が何処へ向かうか判断している。
植物間や動物と、コミュニケーションを行っている。
微生物も含めたコミュニティの中で生きている。
れっきとした生物である。

植物は、どちらかといえば、静物という無意識の思い込みがあったことに気づき、実は生物と意識して見たときには、今まで見ていたものとは違う世界が見えてくる。

読み始めて、この本の著者が、研究者でなく、ジャーナリストとわかった時には、正直なところ、なんだか少し肩透かし感(?)があったのだけど、ジャーナリストだからこそ(?)の面白い読み物になっているようにも思いました。


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2025年10月29日

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